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理系蛮族日誌  作者: Thera
10/15

理系蛮族の睡眠事情・改

 

 念願のベリーパイを食べましたっ!


 あれですよあれ、初夏くらいに食べたいって言ってたベリーパイです。春先の季節限定だったみたいで、夏には店先からなくなってしまいましてね。食べれずに終わるのか……とちょっと寂しく思っていたんですが、似たようなやつが復刻したのです。即買いましたよね。

 最後の山入り──というかいわゆる卒論調査も終了しまして、気持ちよく年を越せる……


 と思うじゃないですか。でも、川辺でオス鹿と小鹿が戯れている様子を写真に撮ってたら、ヌカカっていう蚊の上位互換みたいなのに腕をめった刺しにされましてね。腕がものっすごくかゆいです。顎と喉もやられました。おのれヌカカ。


 しかも、卒論発表の前にまったく関係ない英論を読んで発表する事になってしまっているんで、これ書き終わったらさっさと読みに入ります。英論と共に過ごす年末。最っ高かよ(棒)


 さてさて、前置きはこの辺にしておいて、今日は理系蛮族の睡眠事情についてですよ。



〇〇〇



 私は『ステーション』と呼ばれる貸家を拠点に調査に繰り出しているので、テントを使う機会はありません。

 このステーションの家賃と共有車の維持費、割り勘とはいえ三カ所分出してると学生には手痛いんですけどねぇ……まぁ屋根の下で寝られるのは良い事です。

 私は調査中、このステーションの床に毛布と寝袋を敷いて、自分のパーカーを枕にして眠っていました。夏でもけっこう冷えるから、真夏以外は長袖だったんですが……


 ダニがね。ダニーちゃんがいるんですよねこの毛布。


 イエダニだけなら『あっちくしょう噛まれた!』で済むんですけど、たまーにマダニちゃんがいるんですよ。大型ほ乳類にひっついてる、噛まれて病気になったら致死率めっちゃ高い奴ですね。


 どうもこいつら、動物の調査に使ったネットとかについて家の中に入ってきちゃうみたいでね。

 柱をがんばってよじよじしている所を何度か叩き潰しました。世界から滅べとは言わないけど家の中からは滅ぶべし。


 まぁ、そんなわけでスタンダードな睡眠方法は寝袋でした。布団がある場所でも、なんかこう……イエダニ多そうだなぁとか、この布団だけじゃ凍え死ぬなって思う場所が多いんで、間に寝袋を入れてサンドウィッチされてました。山は夏でも簡単に凍えて風邪ひきますから、マイ寝袋は必須ですよ。



 さてさて、そんな感じで寝袋前提の調査ライフを過ごしてきたテラ。植物屋さんの調査を手伝うために、普段とはちがう調査地に行ったんですよ。


 そしたらもうびっくり。まずね、文化圏なんですよ調査地が。僻地って聞いてたけどバス30分で市街地に降りれちゃう。電波も通じる。スーパー近いから缶詰生活にならない。


 んでもって、財団経営の研究所のなかに宿泊施設があるとかで、庭園の中に宿泊施設があったんですよ……っ!


 いやー、抗生剤片手にダニと戦ってきた身としては、相当のカルチャーショックでした。なんでこれが僻地扱いやねん。植物屋さんリッチかよ!


 施設の案内を受けたところ、ちゃんと風呂があるし、部屋は和室まるまるひとつ宛がわれました。旅館にきたのか? って錯覚しましたね。

 私の調査地は風呂が使えず、銭湯まで行けない私は水なしシャンプー使ってたんで、もう風呂があるだけでありがたかったんです。


 台所設備も問題なし。私は技術的に手伝えることがないので、基本はご飯三食作ってればいいだけという素晴らしいポジションにいました。


 ただ、調査の特性上の問題がありましてね。調査地にいる間、私は全く動かないんですよ。市街地近くとは言え、冬の森の中。ずーっと座ってたらね、寒いんですよ。


 なんとかPDFとか読んではいたけど、体育座りしてぶるぶる震えてるだけっていう、悲しい状況になってしまいました。


 しかもねー、眠かったんですよ。確か一週間山行って、別の山日帰りで行って、そのままそこの調査地に行ったので、ぜんっぜんマイ布団で寝てなかったんです。


 やる事もないし調査地で寝たい。しかし寒い。ならばどうする。ならば……


 

 ──まぁ、寝ますよね。


 

 しかし地面にゴロンと寝るわけにもいきません。接地面を減らすのは緊急宿泊(ビバーク)の基本。地面にダイレクトに寝たりしたら、体の熱を全部持っていかれてしまいます。


 そんなわけで、参考にしたのはツキノワグマの寝床作成技術(ベディング)です。


 ツキノワグマは、暖かい春は草地で。暑い夏は風通しがいい木の上で寝てます。彼らはちゃんと寝やすい場所を知っているんですね。


 んで、秋から冬にかけての寒い時期は、木の枝を折って束ねて、その上で寝てたりするんです。ちなみに冬穴にも枝や葉を持ち込んでいるので、クマがいる冬穴の近くは枝が折れてたりするんですよ。


 まぁ、以前から『直接岩の上に座るよりあったかいのかなぁ』くらいには思ってたんですが。今回は、寝床作成の効果を検証すべく、彼らの行動を真似てみたわけです。


 まず、その辺から笹の枝を集めてきます。

 んで、それを折って束ねて、隙間には枯葉を詰める。

 その上に乗って、上着を被って寝てみたら……


 これが暖かいんですよ! 快適すぎて困惑するくらい! クマの知恵は侮れないなと思いましたね。


 私が知ってるクマは、雨対策で土を盛り上げて塀みたいにしたりもしてたんですが、まぁそこまではしなくていいわなという事で、笹にくるまってずっと寝てました。


 ちなみにイノシシがいるフィールドなのでダニを心配してましたが、ダニーちゃんには襲われませんでした。


 ……いま紅白見ながらこれ書いてるんですけど、なんか今、ヤドクガエルみたいなネクタイしたグループが歌ってますね。よゐことかの方が見たいなぁ。


 さてさて、飽きてきたので今日はこの辺でしまいです! みなさま、良いお年を!

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