第47話:少年期の終わり
2章のラストです^^
リアース世界では、地球と同じ様に年齢で区分している。
生まれたから4歳までが幼年期。
5歳から14歳までが少年期。
15歳から29歳までが青年期。
30歳から49歳までが中年期。
50歳から老年期。
ルークは今、少年期の終わりに差し掛かっていた・・・
リアース歴3235年 7の月19日。
エターナのご老公の対面も終わり、ジークと合流した俺達は3人で安い宿に1泊した。
酒場と一緒になっている宿で、師匠とベルクーリさん達は朝方まで飲んでいたらしいよ。
バカ騒ぎが3階の部屋まで聞こえて来ました。
ギルドの仮眠室しか泊まった事がなかった俺には何だか新鮮でした。
朝、師匠を起こすとケロっとしていました。
この人、本当に何者だよ・・・
翌朝、3人で教会に向かった。
ルタの村のマレさんのお手紙を届けなければならなかったし、師匠に一応アイシャを紹介しておこうと思ったんだよねぇ。
「おはよう御座います~。お手紙をお届けにまいりました~」
何時のも様に恐る恐る教会のドアを開ける。
教会はちょっとトラウマで・・・
「お!ルークの兄貴だ。皆~、鉄壁のルークが来たぞ~」
マシューが出て来た。
今、兄貴って言ったよね?
前はルークの兄ちゃんって言っていなかったっけ?
「兄貴聞いたよ!アイシャ姉ちゃんと結婚するんだって~。
だったら俺の兄さんみたいなもんだから、兄貴って呼ぶからね」
なるほど、それで兄貴か。
又義弟が増えた訳ですな。
「なんですかそれは?」
ジークが俺とマシューの間に入り込む。
「僕は兄さんの結婚なんて認めていませんよ。
それに兄貴ってなんですか!兄さんは僕の兄さんです!」
ジークが鼻を膨らませながら興奮して言う。
マシューがビビッて後ずさりしている。
ジーク、余計な事はしないでくれよ~。
「お前は少し黙っているでござるよ!」
ゴツン!とジークの頭に鉄拳が落ちる。
「い・痛いですよ師匠~」
ジークが頭を押さえてうずくまる。
そこへアイシャと他の子供達がやって来た。
「ルークお帰りなさい・・・」
「「「わ~!鉄壁のお兄ちゃんだ~」」」
子供達の声でアイシャの声がかき消される。
子供達が俺の周り集まる。
ア・アイシャ・・・愛しのアイシャに触れられない!
せっかくの再会を邪魔しよったなガキ共。
イナリがポーンとジャンプしてアイシャの胸に飛び込む。
グヌヌヌヌ!
羨ましいぞイナリ。
あ!イナリの奴、俺を見て笑ったぞ。
イナリよ!後で成敗してくれるわ~。
「君がルークの婚約者でござるな。私はルークの師匠でクロードと申すでござるよ」
師匠が俺よりも早くアイシャに声を掛け、握手を求める。
「よ・よろしくお願いしますクロード様!」
アイシャが赤い顔で握手した。
うぐ!何か腹立つ。
師匠を殴りてぇ~。
「あなたがアイシャさんですか?
僕は兄さんとあなたの結婚を認めませんよ!
兄さんは僕のものなんだか・・・痛っ!師匠痛いですって!」
師匠に又鉄拳を食らうジーク。
お前本当に少し黙っていてくれよ・・・
「ル・ルーク!あ・あなたはもう浮気を・・・」
こ・怖いですアイシャさん!
アイシャから怒りのオーラが。
イナリが怯えて仰向けになってお腹を出す!
それは服従の意味か?
相棒よ!俺とお前の絆って・・・
「ご・誤解だよアイシャ!ジークはこれでも男の子だ。
顔は女の子みたいで綺麗だけど、正真正銘の男の子なんだってば!」
慌てて説明する!
言い訳ではないのだよ。
そこのところ間違わないでね。
「男の子?こんなに綺麗なのに?」
頭を抑え込んでいるジークにアイシャが覗き込む。
「ぼ・僕は男だぞ!でも兄さんは渡さない。
に・兄さんは僕のものだぁ~!」
言い切りやがったよこの馬鹿。
話がややこしくなるから黙っていてくれ~。
「だ・誰が僕のものですって~!ルークは私のものです!」
大きな胸を突き出してアイシャも言い切った。
胸がプルンと揺れる。
しかし、今はエロ気など全く感じない
や・夜叉が見える!
怒気が半端ないです。
愛子って、嫌、アイシャって元からこうだったっけ?
俺の知らないアイシャが・・・
ジークはアイシャの怒気で震えだす。
俺の顔を見て助けを求める。
プイっ!
俺は顔を横に向ける。
今のアイシャには逆らいません。
ジークよさらばだ・・・
俺はジークを見捨てる。
「お・お姉様と呼ばせて下さい!以後、忠誠を誓いますのでどうかお許し下さい」
ジークが土下座した。
ジーク、イナリに続いてお前までもか。
こうして、イナリとジークはアイシャの下僕となったのであった・・・
「オホホホホホ!先ほどはとんでもない姿を見せてしまってゴメンなさい」
ニコっと笑ってお茶を進めて来るアイシャ。
師匠の顔が若干引きつっているのは気のせいでしょうか?
周りの子供達も少し怯えています・・・
「ジークって歳幾つ?」
マシューがジークの歳を聞く。
重々しい空気が少し和らいだ。
グッジョブだぜ。
これで雰囲気が変わって行ってくれれば・・・
「僕は11歳。11の月4日で12歳だよ。
12歳になったら兄さんの様に冒険者見習いになるんだ」
「お!俺と同じ歳か。俺は10の月13日で12歳だ。
俺も12歳になったら兄貴や姉ちゃんの様に冒険者見習いになるぜ。
俺達も義兄弟みたいなもんだし、一緒に頑張ろうぜ!」
「う・うん!」
おぉ、新たな男の友情だ。
何だかこう云うの好きだな。
「アイシャ!今、マシューが『姉ちゃんの様に』って言ったけど、もう冒険者見習い登録したの?」
やっとアイシャとの会話だ。
「うん!この間行って来たよ。私、弓の師匠が出来たんだよ。
私って聖の外に風の精霊術も使えるじゃない。
弓と風って相性が良いんだって!」
アイシャがニコニコと話して来る。
あぁ、この笑顔を待っていたんだよ俺は。
ああん、何時までもこの笑顔を眺めていたいよ~。
そう言えば、前世の愛子って弓道部だったっけ。
「ほう!アイシャ殿は聖と風の精霊術が使えるのでござるか。優秀でござるなぁ。
確かに弓と風の組み合わせは相性が良いでござるな。頑張るでござるよ!」
「ハイ!クロード様」
「弟子の嫁になるなら、拙者にとっては娘みたいなもんでござるな~。
凄く嬉しいでござるよ」
「ありがとう御座います、クロード様。
不束者ですがよろしくお願いいたします」
和んで来て良かった。
本当に良かったよ~。
これで無事に顔見せは終わったかな。
ジークの引き継ぎの件もほぼ終わり。
後は成人を待つだけだ。
成人まで後10カ月。
父さん、成人までもうすぐだよ!
俺の少年期は終わろうとしていた・・・
ここまでが2章となります^^
夕方にもう1回更新いたしますが、1章&2章の登場人物紹介となります。
登場人物紹介もお楽しみに~^^ノ




