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リアース戦記 ~鉄壁のルーク~  作者: ナナすけ
小さな英雄の章
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第29話:飛燕

 地球の日本の戦国時代には刀術流派が多く存在した。

 その各々の刀術流派には、各自の奥義と云う技もあった。


 小野派一刀流の金翅鳥王剣。

 直心影流の八相発破。

 柳生新陰流の斬釘截鉄。

 無外流高橋派の天流乱星。

 卜伝流の一の太刀。

 そして、宮本武蔵の二天一流の虎振もそうである。


 武蔵の二天一流を受け継ぐクロード。

 ルークも又、それを受け継いで行く者なり・・・




 リアース歴3234年 1の月15日。


 辺り一面が銀世界。

 今年は雪が多い。

 すでに積雪が50cmくらいであろうか?

 今日も朝から、シンシンと雪が降っている。


「ルーク、何度言えば分かるでござる!足運びはこうでござる」


 クロード師匠に怒られた。

 師匠の吐く息が白い。

 寒いってばよ~。

 足場が雪で、思う様にいかないんですよ。


「もう一度!」

「ハイ!」


 師匠から二天一流の教えを受け始めてから2カ月が経った。

 二刀流になるには、右手左手に一本ずつの刀を持たなければならい。

 しかし、俺にはまだその腕力が足りない。

 特に左腕は。

 腕力強化は朝晩、稽古がない時の自己鍛錬とされ、稽古は主に木刀を持っての立ち合い稽古である。

 木刀の二刀流でも腕が厳しい。

 もう腕がパンパンだよ~。

 師匠の稽古は父の時と違って精霊術が禁止である。

 二刀での戦い方を実戦の中で覚えさせて行くらしい。

 ひたすら立ち合い稽古の毎日である。

 この2カ月くらいで二刀を使った身体や腕、足の運び方が少しだけ分かって来た。

 今は足運びを集中的に注意されているところです。


「ブーツでのすり足は大変だと思うでござる。

 拙者もそうであったからのう。

 良くはなって来ているでござる。

 頑張るでござるよ」

「ハイ、師匠!そう言えば、師匠。

 二天一流って奥義とか、必殺技とか、そう云うのってあるのですか?」


 ちょっと疲れて来たので、話を振ってみた。

 旨く行って休憩出来ないかなぁ・・・


「奥義でござるか?勿論あるでござるよ!

 では、休憩も踏まえて少し見せて進ぜよう」


 お!ラッキー!

 旨く行ったでござるよ。


「武蔵先生が得意だった『虎振』。

 これは一刀術で、刀をこの様に脇に構え、切り込んで来る相手の太刀を踏み替えてかわしながら横面を切る。

 脇構えで後方を向く刀がまるで虎の尾の様に見える事からついた名でござるよ」


 へぇ~、宮本武蔵が得意だった技か。


「次は『飛燕』。これは、拙者がこの世界に来て編み出したオリジナルの技でござるよ」


 師匠が木刀を地面に置いて太刀を持った。


「飛燕はこの太刀でないと出来ない技でござってな。

 前世の飛天〇剣流の抜刀術をヒントにした技でござる。

 しっかりと見ているでござるよ」


 飛天〇剣流?

 緋〇剣心?比〇清十郎?

 なんで漫画の世界の技を知っているんですか~?

 それとも実在したの?

 突っ込みどころ満載だよ師匠~!

 師匠は左手で太刀の入った鞘を持ち、右手で柄を持つ。

 左足を引き、半身となり、身を屈め、抜刀の構えをする。

 大きく息を吸った。


「飛燕!」


 言葉を発すると同時に右足を大きく踏み込み凄い速さで刀を抜く。

 抜かれた刀は斜め上へまで振り抜かれる。

 ん?何?

 何か凄い事起こった?

 あ!

 20m先の木に刀傷だ。

 あぁ~!

 斜めについている刀傷の所・・・上の部分の木がスライドして倒れた。

 なんじゃこりゃ?


「これが飛燕でござるよ!

 太刀を抜く素早い振りで風圧を起こし、その風圧と風の精霊術が重なった威力で離れた敵に攻撃を加える技でござる。

 かまいたちみたいなもんでござるかな」


 すっげぇ~。

 カッコいいぜ師匠。

 あ!あれ?


「ねぇ、師匠!師匠って精霊術が使えないって言っていましたよね?」

「お!良いところに気付いたでござるなぁ」


 師匠がニヤニヤしてやがる。


「ルーク!拙者のこの太刀の柄の底を見てみるでござるよ」


 柄?

 何でそんな所?

 俺は師匠の太刀の柄の底を見てみる。


「あ!」

「分かったでござるか?それは風の精霊術を付与した魔石でござるよ。

 だから精霊術の使えない拙者でも出来たのでござるよ」


 なるほどねぇ、魔石か。

 う!師匠がドヤ顔である。

 父よ!父のドヤ顔はもしかして師匠譲りだったのですか?

 何かむかつく~。


「この飛燕の威力は、火のファイヤーボールや風のウィンドエッジよりも強力でござるよ。

 ただの術だけと違って、太刀による風圧の威力と風の力が合わさるからでござる。

 素早く居合が出来る刀だからこそ出来る技。

 他の剣や槍では重くてこうはいかんでござるよ。

 まぁ、矢と風の力が合わされば飛燕に匹敵するかもでござるな」


 そっか!

 刀だからこそ出来る技なんだ。

 飛燕か!中二病っぽい技だよね・・・


「師匠!俺も早く飛燕を覚えたい。これがあれば離れた敵だって・・・」


 俺のへっぽこ弓よりよっぽど良いよね。

 自分で言って悲しくなって来た。

 くすん!


「飛燕を覚えるには、まず素早く抜刀出来なければいかんでござるな。

 腕力を鍛える事がまず第一。

 次に飛燕の軌道の安定が必要でござる。

 何回も何回も繰り返して体に覚えさせる事が第二でござるかな。

 先が長いでござるよ!」


 う~、やっぱり難しそうだね。

 でも、やらなければ。


「飛燕は一撃必殺でなければいかんでござる。

 ロディはこの技を隠し技としていたでござるな」

「隠し技・・・ですか?」

「そうでござる!隠し技をいくつも持っている方が戦いは有利になるでござるからな。

 武蔵先生の二刀も本来は隠し技でござった。

 ルークも隠し技を用意しておくようにするでござるよ」

「ハ・ハイ!」


 隠し技か~。

 俺は基本一刀で戦って、隠し技で二刀だな。

 ゴーレムの2体生成も隠し技になりそうだな。

 後は飛燕もか。

 師匠と話はためになるなぁ。

 まだまだ頑張らないといけないな・・・

 あ!ハンナ師匠の所に顔出すの忘れていた。

 やっべぇ~!

 絶対、機嫌悪くなっているよ。

 ハァっ!俺の身体がもたない・・・


 ルークの修業はまだ始まったばかりであった・・・


次回『第30話:目指す道』をお楽しみに~( ̄∇ ̄)ノ

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