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第3巻 第1章 落ちぶれた勇者(3)

薄闇の底から、冷たい光がふっと滲み出している。死の森のなかで、その色だけがやわらかく、肌に触るように穏やかだった。大結界の膜が薄く震えるたび、星砂の光塵が舞い上がり、枯れた梢の間に偽の星座を描く。アレスは膝をついて、苔の上を指先で這わせた。水気の具合、葉脈の走り方、岩の縁が落とす影の角度――目の奥にある基準が、ひとつずつ要素を測る。彼の箱庭は、この膜の内側で、終わりなく修正される。


アレスは苔の端を小さく摘み、半分だけずらして置いた。微かな起伏が生まれ、次に落ちる露の滑り方が決まる。彼は息をひとつ、ほとんど音にならない溜め息を吐いた。


「――美しい」


その声は、彼への確認だったのかもしれない。言葉にすることで、彼は少しだけ落ち着く。整えられた線が、内側のざわめきをいったん鎮める。


背後で、足音とは違う気配が動いた。夜気の湿りから、金色の瞳がふっと溶け出す。エララだ。竜姫は今日も人間の姫君に似せた柔らかな衣をまとい、結界の光を尾のように引いて歩いている。その歩みに、草を折ることを許さない優雅さがある。だが、瞳の奥の光は、彼以外を寄せ付けない固さを帯びていた。


「朝露があなたの指先を、羨ましそうに見てるのね」


エララは微笑んだ。甘い声の底に金属の冷たさがある。アレスは振り返り、微笑みを返す。冗談めかした言葉の裏で、彼女の視線は作品そのものを見つめる鑑賞者より熱い。作品を触りたがる子どものようでもある。


「指が羨ましがるのは困るだろう。霜のつき方から彩度を逆算しただけさ。段差の連なりが、朝の光の梯子になるようにね」


「あなたの言葉一つで、わたしの胸にも梯子が掛かるの。登りたくて苦しくなるほど」


エララは傍らに膝をつき、苔に触れようとして指先を止めた。触れていいものといけないものを、彼女はいまや理解している。彼の景観には、無断で手を入れられない。敬意があるからこそ、彼女は距離を計る。


そのとき、地の底から低く、長い寝返りのような音がした。大地が吐息をひとつ吐く。結界がかすかに脈動する。アレスの肩に、見えない重みが落ちた。


彼は立ち上がり、結界の縁に視線を投げる。淡い膜の向こうで、死の森の黒がざわめく。枯木の葉が、存在しない風に揺れる。彼の手の中の世界は完璧だ。でも、その輪郭にまぎれた小さな震えがあるように思えた。


「……位相がずれている」


小さくつぶやくと、エララが首を傾げた。瞳の底に薄い金の膜が走る。


「何が?」


「結界の呼吸と、森の眠りの呼吸が一瞬合わなかった。ほんの刹那、音が擦れた。外から、誰かが叩いている」


エララの笑みが消える。柔らかな輪郭が、硬質な意志へと変わった。無音のまま彼女は立ち上がり、膜の縁へと歩を進める。歩後に星粒が流れる。


「先に行くわ。あなたに埃が付くのは嫌だから」


「埃も、対比としては有効だが」


「あなたの肌に付く埃は、許さないの」


首筋だけをかすかに振り返し、その言葉を投げる。アレスは言葉を返さなかった。視線は結界の向こうへ。近づく足の重さが伝わる――人の、意志の重さだ。勇者の歩みは、落ち着きと苛立ちが混ざった重さを帯びている。


膜の手前に、一人の男が立った。汗が額に光り、肩で息をしていた。衣は破れ、かつて祝福の光を帯びたかもしれない剣が手の中でくすんだ反射を返す。彼の目は燃えている。野望か救済か恐怖か、複数の感情が火花となって飛び散るのだ。


「――ここにいるのか。『楔』」


その名が耳に落ちると、アレスのどこかが硬く軋んだ。エララが一歩、前に出て男と対峙する。


「勇者。あなたの名を呼ぶ価値があるか、迷い続けているのよ」


「名は要らない。俺は――俺であることに意味はない。世界が求めているのは、楔を抜くことだ。箱庭の美に酔っている間に、根が腐る」


「世界? あなたがそれを言うの?」


エララの声が低くなる。竜の古い記憶を連れたような重みが、言葉に宿る。


「ここは美のための場よ。汚れた足で踏み荒らす者を、許すつもりはない」


「汚れてるかどうかは関係ない。神託を受けた。魔王の復活を封じる楔が、人になっていると。人の欲で打ち込まれた楔だ。抜け。抜けば復活の刻が来る。それを俺が止める。俺が、世界を救う」


勇者の声には疲労が混じる。真偽の定かでない神託を背負う者の疲れだ。拍手と功名心の泥が、彼の足を重くしている。


アレスはエララの後ろから、男を見た。胸のどこかで氷が音を立てて割れる。楔という単語が、身体の奥で幾重にも沈んでいく。笑うべきか、眉をひそめるべきか。彼はまだ決められない。


「楔だと?」


彼の声は驚くほど静かだ。勇者の視線が彼を突き刺す。結界の膜の振動が、彼の心拍と重なる。重ならない刹那の擦過音。その合間に、地の底から細いささやきが上がる。


――おまえは、聞こえるか。


結界自身の声だ。星と石と風が長い時間の末に得た、ささやかな意識。アレスは目を閉じ、耳ではなく身体で聞いた。


「……何を言うのか」


勇者は剣を振り上げる。エララの尾が、視えないのに確かに見えた。彼女の背から竜の影が立ち上がり、星の光が刃の輪郭に霜のようにまとわりつく。


「一歩でも踏み込めば、あなたの骨は苔より細く砕ける」


「試してみるか、竜」


「試すこと自体は嫌いじゃないけど、あなたの血の色は好ましくないの」


勇者は奥歯を軋ませる。乾いた血がにじむ。剣を強く握ると、結界が低く唸った。


――おまえは、楔だ。


今度ははっきりと、アレスの内部から響いた。手のひら、足裏、首のうしろ――防壁と接するすべてが熱を帯びる。星砂が彼の周りに集まり、苔の葉脈が古い図のように光を導いて地に薄い紋様を描く。彼の影が伸び、その中心に一本の杭の姿が重なった。木でも鉄でもない。概念でできた杭、形のない意志の杭だ。


「楔……」


アレスはその言葉を繰り返す。口の中に言葉が膨らむ前に、胸で重くなる。知らないはずの記憶が、引き出しの奥から滑り出す。夜の庭に最初の砂紋を描いたとき、風がどう変わったか。岩を配したあと、星座の位置がわずかにずれたこと。彼は自分の「美」に従って修正を続けた。その連続が、世界の別の連続を押さえつけていたのだと気づく。


「アレス?」


エララが振り返る。彼女の瞳に、彼女自身が見たことのない色が浮かぶ。恐れだ。いや、エララの恐れはいつも所有の影を伴う。彼女は彼を失うのを恐れ、失わせぬためなら世界すら燃やす覚悟がある。


「何を感じるの」


彼女の問いに、アレスは答える。


「封じの底が……嗤っている」


口の端が引き攣る。嗤う――世界が、彼を見てひそかに愉悦の皺を寄せるように感じる。彼が石を置き、砂を掃き、苔を撫でるたび、封じは安定する。底に眠るものは、かつて世界に炎と夜をもたらした王、魔王――名を持たぬ巨大な意志。彼の箱庭は、その楔の頭になっていた。


勇者が甲高い笑みをあげる。


「気づいたか。おまえが楔だ。執着が世界を救っている。いや、救ってしまっている。復活の刻は、おまえの指先で遅れている。俺たちの戦いを、おまえが先延ばしにしたんだ」


エララが叫ぶ。声が大気を裂き、膜に波紋を走らせる。


「アレスは何も知らなかった。世界が彼を利用しているのよ。美を鎖にするなんて、どれだけ醜いことか」


彼女は手を広げ、爪先のように光を尖らせた。勇者は剣を構える。だが彼の刃に、英雄譚の輝きはもうない。過去の光にすがるように振るう刃は、エララの光に弾かれる。


「やめろ」


アレスの声が、低く重く響いた。命じる声だ。彼は二人を見比べ、唇を舐める。舌に鉄の味がする。薄く笑って、自嘲を含んだ音を漏らした。


「楔、楔……可笑しい。私はただここを美しくしたかっただけだ」


「それが、世界を縫い止めていたの」


エララの声に震えが混じる。彼女は手を伸ばしかけ、ためらい、止める。触れたら、彼がもっと深く楔に固定される気がしたからだ。


「聞いて、アレス。竜の古い誓いがある。星々が低かった頃、世界は裂け目に杭を打とうとした。人の意志は脆い。だから、強靭な意志を求めた。『欠け』を許さぬ者。美に狂う者が現れたら、そこに眠るものの蓋を重ねると誓った。……あなたを見つけたの、世界が」


「無意識に……」


アレスの手が震える。苔を触るときの所作と同じ動きで、空気の目を整えている自分に気づく。彼の所作は一つ一つ、障壁の儀式になっていた。皮肉だ。美を追い求めれば追い求めるほど、楔として深く打ち込まれる。


「じゃあ、抜け」


勇者は唾を吐くように言った。目は激情に曇る。信仰か虚栄か他者の視線か、もうわからない。剣の切っ先をアレスの胸に向ける。


「おまえが楔なら、そこから抜け。抜かせ。俺が抜く。魔王が復活すれば、俺が倒す。おまえの美は、そのとき自由になる」


「自由……」その言葉が耳に蜂蜜のように絡みつく。長い影の杭が彼を地に縫い付ける場所から、自分を引き剥がせるなら。箱庭が自分だけの産物でいられるなら。しかし背後には世界が崩れる音がある。魔王が目を開き、配石が崩れ、砂紋が荒れ、星が落ちる。


「聞かないで」


エララが彼の手を強く握った。その掌は熱く、竜の血の振動が伝わる。指先に微かな震えがある。


「自由とかいう甘い言葉に耳を傾けてはだめよ。あなたはあなたの美で世界を繕っているの。誰かの命令じゃない。あなたが選んだ形だと、私は信じたい」


「似合わない、と言うのか」


アレスは苦笑した。彼は自分の生を趣味の延長で過ごしてきた。だが、その趣味が世界の構造と結びついていた事実は、誇りを傷つけ、同時に満足を与えた。


「あなたが選び直せばいい。今ここで。楔であることを、あなた自身の美として受け入れるのか。拒むのか。私はどちらでもあなたに寄り添う。ただし、拒むなら私は多くを焦がすことになる」


エララの言葉は甘く冷たく、脅しと慰めが同居している。彼女は事実を告げる。愛は過保護で、所有的で、献身的で、破壊的だった。それはアレスにとって慰めであり脅威でもある。


勇者が刃を障壁に押し当てる刹那、膜の向こう側の黒とこちらの星砂が混じり合って薄い銀の霧が生まれる。霧の中に古い図が浮かび上がり、星の運行が楔の周りを回るのが見えた。


――おまえは楔だ。無意識の楔。眠りを押さえるために、心の手が毎日砂を撫でる。おまえが指を止めたとき、眠りは目を開く。


その声が、アレスの喉を通って出た――かのように、彼自身が言った。


「やめろ」


それが勇者に向けられたのか、自分へ向けられたのか、エララに向けられたのか、彼自身もわからない。勇者は歯を食いしばり、剣を押しつける。膜に波紋が走り、アレスの手の甲に熱が走った。皮膚の下で、星の点が弾けるような刺激。


「やめろって言ってる!」


エララが動いた。尾が線を描き、勇者の手から剣を弾き飛ばす。剣は空中で光り、膜に当たって火花のような星砂を散らし、黒に呑まれた。勇者は後ろにひるみ、膝をつく。


彼の声は小さく、裂けた布のようだ。肩が震え、涙が頬を伝う。落ちる前に、光に溶けて消えた。


「俺は救いたかっただけだ。昔の俺は信じた。魔王を倒す物語に自分を無理やり押し込むべきだと。なのに世界は、おまえを選んだ。庭師を」


「庭師か」アレスはその呼び名に眉を動かす。自分をそう呼ばれることを侮辱とは感じない。庭師、結界師としての自分の仕事を示す名だ。だが勇者の口から出ると、彼の胸に決定的な裂け目が走る。英雄譚が彼を拒むように聞こえるからだ。


エララは勇者のうなじに手を置いた。撫でるのではなく、押すように。少しの力を込めると、彼の身体から音が消え、意識が薄れて地に倒れた。エララはその上に立ち、覗き込む。


「眠っていなさい。あなたの物語は、もう誰にも必要とされないの」


「残酷だな」


アレスが言うと、エララは彼を見上げる。瞳の金がわずかに柔らぐ。


「あなたを傷つけるものには、私は残酷でいるだけ。――アレス、楔の話を続けましょう」


彼女は手を取り、封じ中央の、彼が最も手を入れた庭の核へと歩く。そこには小さな聖域がある。水盤、砂紋、配石、剪定された木々。すべてが引き合って静けさを作る。彼は立ち、水盤に映る星の疑似像を見上げる。星がゆっくり降るように見えた。


「竜の記憶と、この封じの声が言っていた『楔』について聞きたい」


アレスの問いかけに、エララは頷き、一つ一つを言葉にしていく。その声音は重いが確かだ。


「無意識の楔。それは意図して打ち込まれた杭ではない。世界が意志を持ち始めると、誰かの意志に寄生する。大結界はかつて別の楔で維持されていた。前任者は選ばれたが受け入れられなかった。英雄譚は杭にはならない。だから世界は漂い続け、眠りが浅くなった。魔王の息が地表に触れ始めたとき、あなたが現れた」


「ただ庭を作っていただけだ」


「その庭が、世界の形を模倣した。いえ、世界の形を正した。あなたの『欠け』を許さぬ目が、ひとつの「欠け」――魔王の意志の形が際立つのを、常に磨り潰す。あなたが『一分の隙もない』姿を追うたびに、不完全が寄り集まって芯を作ることができなくなる」


アレスは静かに目を閉じた。彼の脳裏に、砂紋を掃く棒の軌跡が無数に走る。あの螺旋、あの直線、あの水の滴り方。すべてが、意識せずに、魔王の意志の共鳴を乱す。世界が障壁を欲し、彼の意志が結界を形にし、彼の美が楔をした。彼は笑った。


「私の美意識は、世界の媒介だったということか」


「世界はあなたの美を利用した。でも、あなたはどうするの」


「どうする?」


「楔であることを、あなた自身の美として引き受けるのか。それとも、楔を拒み、世界を揺らすのか。……私は、どちらでもあなたの傍にいる。ただし、楔を拒めば、私は多くを殺すことになる」


エララの声は、甘いのに冷たい。彼女は事実を告げる。彼女の愛は過保護で、所有で、献身で、破壊的だ。それはアレスにとって、慰めであり脅しでもある。


水盤の水面に、星の疑似像が落ちて、波紋を作った。波紋が重なり、円が走る。アレスはその模様が乱れているのを見た。乱れは中心に吸い込まれ、静けさが戻る。彼はいつものように手を伸ばし、波紋が作る微妙な光の歪みを修正するため、石の位置を数ミリずらした。すると、波紋は見事に均衡を取り戻す。


その瞬間、地の底の眠気がまた深くなった。彼の指先の動きが、そのまま世界の眠りの線に影響を与える。彼は目を見開いた。彼の行為が、小さな美の調整が、どれほど巨大な秩序を作っているか。


「……理解した」


アレスはつぶやき、エララに顔を向けた。彼の瞳は澄んでいる。揺らぎはあるが、それはすでに美の中に吸収される揺らぎだ。


「私は楔でいよう。無意識ではなく、意識して。無意識は、醜い。意思のない美は、わたしの美ではない。世界がどう感じようと、私がこの景観を守り、磨き続けることが、結果として眠りを深くするのなら、私はその結果を引き受ける」


勇者の倒れた身体の上に、星の疑似像が降り積もる。彼の顔は穏やかに見える。眠りの間だけでも、彼は英雄であることを忘れていられるのかもしれない。


「あなたの選択が好き」


エララが囁いた。彼女はアレスに近づき、唇を彼の耳に寄せた。


「でもね、その選択を邪魔するものは、誰であれ、私は焼く。勇者を運び出す者が来るなら、彼らも。この領地に埃を持ち込むすべての風も」


「風までは焼けないよ」


「風の筋を変えることはできるわ。あなたがそうしてきたように」


エララの笑い声が、星の光に溶けた。アレスは彼女の指先の温度を感じながら、自分の中で静かに何かを固めた。世界が押し付けた楔であることを恨むのは簡単だ。だが、彼は恨みを美に変える。自分の中の未熟な荒さが、視界の端で小さな揺らぎとなる。彼はそれを見つけ、整える。美は終わらない。世界の眠りも、終わらない。終わらせない。


光膜が、朝の光を受けてきらめく。星砂が跳ね、死の森の黒が淡く薄らぐ。彼の結界の内側は、世界の楔であることを受け入れ、新しい輝きを纏う。アレスは水盤に映る己の影を見た。そこには、人の形の杭が立つ。無意識ではない。彼は笑い、影に言った。


「さあ、今日も掃こう。砂は昨日の線を忘れたがる。線は忘れられるためにあるのではない。描き続けるためにあるのだ」


エララが柔らかく笑う。


「あなたが描く線、わたしが守る」


勇者は、しばらくして目を覚ますだろう。その時、彼は何を見るのだろう。アステリアの森の非の打ちどころのない姿が、自分を拒否する楔であることを。魔王の復活は遠のき、自分の物語は遠ざかる。それは没落である。だがその没落は、世界が穏やかに眠るための柔らかな布団にもなる。彼はそれを受け入れられるだろうか。彼の心の中に、まだ燃える火が残っているかもしれない。その火が再びこの封じを叩くなら、エララの尾が動き、アレスの指先が、それに対応するだろう。


大結界の秘密は、もう秘密ではない。無意識に打ち込まれた楔が、意識を得たからだ。意識を持つ楔は、抜けにくい。彼自身であるがゆえに。世界の底が、嬉しそうに、ほんの微かに鳴った。眠る者は、眠りに小さな身じろぎをした。まだ目は閉じたままだ。アレスは砂紋の棒を取った。彼の腕の運びは滑らかで、砂は彼の意思に従って波を作る。その波は、彼の世界を越えて、世界の眠りに静けさを伝える。


空の色が薄くなる。朝が深まる。死の森は、いつもと同じように静かだ。ただひとつ違うのは、アレスの胸の中に、重さが宿り、それが彼にとって重荷ではないということだ。重さは、形を与える。軽さは、散る。彼は重さを撫でるように抱き、今日もまた、景観を整える。楔として。結界師として。彼自身として。

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