第39話 領地を巡ろう
―side アクシア―
「あははははは!はやいはやーい!」
俺は今白虎さんに乗って領地を移動している最中だ。後ろからはエリックが青龍様に乗ってやってきている。初めてで青龍様に乗りこなせるエリックはやっぱりすごい。本当になんでこんな辺境で子守りなんてやっているんだろう?彼はもっと大きな舞台で勝負するべきだ。いや、俺がその舞台に彼を連れていってあげよう。
なーんて言うけど俺のパパンの領地はつい最近まで結構貧乏だった。辺境を任されているため、軍事費として補助金が出ていたらしいが、それも領地を運営するのにギリギリの額。最近プラスチック事業が軌道に乗ったっためやっとその状況から抜け出せたのである。
そんな経緯があるから、おそらく俺たちの領地は至る所がボロボロだろう。実態把握のために俺たちが乗り出したってわけ。
「おー町が見えていた」
シュタイン辺境伯には3つの商業都市と、5つの人が住む町がある。住んでいる人は軍人とその家族が大半だ。ど偏見だけど、脳筋な領地だと思います。
「結構大きいですね」
「中々、栄えているのではないか?」
目の前にはガヤガヤと騒がしい商店街が見える。
その後ろには豪華な建物。あれが領主の館かな?
それにしても、これだけ騒がしい商業都市を保有しているのなら、うちの町は思ったよりも安泰みたい。
いや、まだ油断するのは早い。
領地の良し悪し--すなわち豊かさを決めるのは売り上げの大きさではなく、純利益の大きさである。純利益が大きいと富が溜まっていくからである。大事なのは規模の大きさではなく、富の蓄積なのだ。
だから実際に町に住む色々な人の意見を聞くまでは、判断はできない。
「失礼しまーす」
「これはこれは僕、迷子?どうしたの?」
「あれ?エリックは?」
俺は後ろを振り返る。すると、遠くからもの凄い勢いでこちらを追ってきているエリックと青龍様が目に入ってきていた。
「エリック?ギャーーー!ど、ドラゴン」
「あっ!大丈夫!あれ、家族家族!」
「家族?あっ!もしかして、今日来ることになっていたアクシア様とエリック様!?」
「そー」
「お、お待ちしておりました!すぐに上のものの元へ案内いたします!」
事前根回しを父上に頼んでおいて良かった。
このようにいきなりじゃ驚かされるからね。
ママが絶対やりなさいって鬼のような顔をして言っていたって言うのもある。むしろ、それが大半の理由だ。
最初はお忍びで行こうとしていたからね。もしあのまま本当にお忍びで行こうとしていたら……おーこわ。
それはそれとして、俺たちはこのまま、この町の領主代行に挨拶しに行くのだった。
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