馬鹿
誤字報告して下さった方、ありがとうございます。
右胸の上部に激しい痛みと衝撃が走り、私は力を無くしてズルズルと地面に座り込んだ。
誰かに名前を呼ばれているようだけれど、ドクドクと血が体中を巡る音の方が大きく感じて聞き取れない。
痛い、痛い、痛い…
力が入らない。
何で…?
ああ、そうだ。
蓮…
すぐ側に…蓮がいる。
蓮の顔が見たくて目を開けたけど、何故だが目が霞んで良く見えない。
その代わり、ぼやけた視界の向こうに、今にも泣きそうな表情をした亡き旦那の顔が見えた。
何よ、今頃。
どれだけ願っても、夢にも出てこなかったくせに。
馬鹿。
私と蓮が、どれだけ悲しかったと思ってるのよ。
馬鹿、馬鹿。
そんな情けない顔するぐらいなら、私達を置いて勝手に死んだりしないでよ。
もしかして、私を心配してるの?
必要ないわよ、馬鹿。
貴方が死んでから3年も経たないうちに再婚した薄情な女なんか、ほっときなさいよ。
もっと大事な事があるでしょう!?
馬鹿、馬鹿、馬鹿。
本当にあなたって人は、言わないとわからないんだから。
言いたい事はたくさんあるのに、力が出ない。
自分の体じゃないみたい。
蓮の顔が見たいのに、瞼が重くてこれ以上目が開けていられない。
ねえ、最後のお願いを聞いてちょうだい。
これまで放ったらかしだったんだから、きいてくれてもいいでしょう?
あなたは、あの子の父親なんだから。
どうか、お願い。
「尚紀さん…蓮を…守って」
あなたと私の、大事な宝物。
蓮。
蓮。
愛してるわ。
読んで下さってありがとうございます。
信じてもらえないかもしれませんが、ハッピーエンドを目指しています。




