表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆっくり話して/婚約者の死刑待ち  作者: 香詠 Koei
第3章 別れまであと3ヶ月
59/70

第59話:あなたの妻になりたい。たとえ、名前だけの妻でも

ソフィーが生まれて初めて拳銃というものに觸れる。その「初めて」を彼と一緒に迎えられたことが、何よりも彼女には嬉しかった。


(大佐は、私の他の「初めて」にも立ち会ってくれるだろうか? 例えば……初めてのキスとか?)


大佐は真剣に拳銃の構造や使い方を説明していたが、ソフィーの心はそれどころではなかった。彼女はただ、大佐のイケメン顔を見つめ続けていた。この男が自分の人生から消えてしまう前に、彼の姿を深く脳裏に焼き付けて、決して忘れないようにしたかったのだ。


大佐はソフィーが説明に集中していないことに気づいたが、怒ったり不満そうな顔を見せたりはしなかった。むしろ微笑みながら、彼女の後ろに回った。そして、後ろからソフィーの両手を握り、まだ銃を持たないうちに、まずはその正しい構え方を教えたのだ。


ソフィーは大佐のたくましい筋肉と体温を感じ、さらに間近で彼の男性の香りを吸い込むことができて、とても心地よくなった。その結果、なおさら説明に集中できなくなってしまった。


大佐がソフィーの手を離し、ホルスターからリボルバー拳銃を取り出した。安全装置を解除してソフィーの手に握らせ、そしてさっきのように彼女の両手を掲げさせて、狙いを定めさせた。


「撃てっ!」大佐が命令した。


ソフィーは引き金を引いた。人生初の銃声だったが、弾がどこへ飛んだかはわからなかった。


大佐は笑って言った。

「初めてにしては、なかなかいい感じだよ。別に人に向けて撃つ必要はない。普通は、銃を突きつけるだけでほとんどの悪人は逃げ出す。それでも逃げないなら、空に向かって一発撃てばいい。相手は本物の銃で弾も入っているとわかれば、まず間違いなく逃げ出すからね」


ソフィーは二発目を撃った。「パン」という音とともに、今度は見事に的に命中した。


「飲み込みが早いね。何度か練習すれば大丈夫。そんなに難しくないよ」


(彼は本当に細やかで、忍耐強い。もし彼と結婚できたら、子供の宿題はきっと彼が見てくれるだろうな……)


そんなことを空想していたソフィーだったが、この空想が永遠に叶わないかもしれないと思い至り、大佐に言った。

「私は身分が欲しいの。たとえ、未亡人になるとしても、ちゃんとした身分が。」


大佐はしばらく沈黙した後、口を開いた。

「私には何の準備もできていない……それに……永遠に君のそばにいることはできない。何の約束もできないんだ」


「指輪も、ウェディングドレスも、約束も、全部いらない。ただ、あなたの妻になりたいの。たとえ、名前だけの妻でもいいから。女の方からプロポーズしてるんだよ。どうか、私の願いを叶えてくれない?」


大佐はソフィーを見つめた。何か説明しようとしたが、言葉が見つからなかった。ただ、こう言うしかなかった。


「じゃあ……今から教会へ行こう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
My Page
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ