第57話:困難極めた護送作戦
午前10時、約80人の被災者が事前に手配された2台の兵員輸送車に乗り込んだ。車両の設計上、本来1台あたり30人しか乗れないため、車内はかなり窮屈だった。2人の少年兵が輸送車を運転し、大佐がジープで先導した。
全員は午前10時30分の停戦発効を待ち構えていた。車での移動時間は約15分を見込んでおり、何事もなければ大佐と少年兵は30分以内に輸送任務を完了して戻ってこれるはずだった。待機中、少年兵たちは大佐の指示で、北方帝国の国旗と南方共和国の国旗を3台の車両のルーフにしっかりと掲げた。
10時30分、砲撃音と機関銃の音が次第に止み、全員は予定通り出発した。
最初は順調だったが、車列が約5分走行したところで、大佐は前方の道路が大量のがれきで塞がれていることに気づいた。おそらく先ほどの砲撃でいくつかの建物が破壊されたのだろう。大佐が前日に下見をした時は、同じ場所は何も問題なかった。いずれにしても、前方は絶対に通行できなかった。しかし幸い、情報担当である大佐は近隣の道路や地理に非常に詳しかったため、即座に決断し、迂回した。
最終的には連合軍の占領地に到着できたが、迂回の代償は大きかった。停戦時間の30分は、片道だけで使い切ってしまった。この時間帯に引き返せば、攻撃目標になるか、流れ弾に当たる危険性が高かった。
さらに深刻な問題は、相手側の指揮官が、帝国軍が被災者輸送に大佐級の高級将校を派遣したことを予想しておらず、大佐を拘束しようとしたことだ。被災者たちは指揮官の意図を知ると、大佐と指揮官の間に立ち、大佐を解放するよう要求した。
指揮官は数人の被災者と話し合った後、大佐を解放することに同意し、即座に相手側に30分の停戦延長を要請すると言った。返答を待つ間、指揮官は部下に命じて、3面の西側解放連合の旗を車のルーフに固定させ、3台の車すべてにガソリンを満タンに補給させた。
「自己紹介は不要だと思いますが、いかがですか? ジュリアン・シンクレア大佐」指揮官が言った。
「おっしゃる通りです、モンゴメリー少将。」大佐が答えた。「我々は初めて会いましたが、実はもうずっと前からお互いのことを知っています」
停戦は無事延長され、3台の車両は出発できるようになった。出発の前に、二人の少女がそれぞれ自分の少年兵の恋人に贈り物を渡した。二人の贈り物は基本的に同じもので、どちらも弾力があり、ピンポン玉ほどの大きさのゴムボールだった。ただ一つは赤、もう一つは青だった。少女はボールを落として手元に跳ね返ってくる遊び方を実演してみせた。それは別れてもまた戻ってこられるようにという願いを込めていた。少年兵はボールを受け取り、少女の母親がいない隙に、それぞれ自分の恋人にキスをして別れた。





