第26話:女はみんな、間抜けな子犬が大好き
午前中、大佐とお爺ちゃんがソフィーの部屋でネズミ退治に精を出していたので、ソフィーはお婆ちゃんの部屋へと避難し、おしゃべりをしていた。
「フィーちゃん、特権は楽しいかい?」お婆ちゃんが小声で言った。特権でいじめられている当のご本人たちは、隣の部屋にいるからだ。
ソフィーはにっこり微笑んで、こっくりと頷いた。
「でもね、よく覚えておくんだよ。『特権』は行使しても、濫用しちゃいけない。これからはなるべく控えめにするか、それが無理なら、いっそ一切やめるくらいのほうがいい。男女ってのは、互いに敬意を払い、思い遣りの心を持って初めて、長くうまくいくもんなんだからね」
ソフィーはお婆ちゃんの知恵に感心した。でも、ちょっと考えてから聞いた。
「あの……月に一度だけって、どうでしょう……?」
お婆ちゃんは笑った。
「あんたって子は、本当にお優しいねえ。私なんて若い頃は、毎週一度はこれを使って、あの爺ちゃんをからかい倒してやったもんだよ」
そう言い終えると、二人は声を揃えて、大声で笑い転げた。
一方ソフィーの部屋では、大佐とお爺ちゃんの協力で、ようやくネズミを捕まえた。壁の穴も全部ふさがった。すると、隣の部屋から女たちの大笑いが聞こえてきた。
「いったい、どんな話をしてるんだろうな。あんなに大笑いして」
大佐が首を傾げながらそう尋ねると、
「大方、隣の家で飼ってる二匹の子犬が、昨日家に遊びに来たんだが、そのとぼけた顔が可愛かったって話でもしてるんだろうよ」
お爺ちゃんは、こともなげにそう答えた。
大佐は頭をぽりぽりと掻きながら笑った。
「そうだね。女はみんな、間抜けな子犬が大好きだな」
それからふと、彼はソフィーのベッドへと目をやった。枕のそばに、赤と白の縞模様のハンカチが置いてあった。





