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そこにくるみの木があったから  作者: タラ吉の助
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迷惑な話

ある日母が神妙な顔で話かけてきた。   だいたいこういう顔の時は私に迷惑をかける時だ。             私も自然と眉間にシワをよせ「何?」と言った。

はてさて今回の迷惑は、母が前の夫との間にできた息子Sの事だった。

Sは私が小学3年生の11月頃いきなり家にやってきて、母から兄だと告げられた。(30話)

Sは当時中学3年生。こちらに転校するにあたり校則で坊主になる事をイヤがり、母に頼んで頭の形が悪いから坊主になってイジメにあったらいけないからと学校側に交渉してもらい坊主を逃れていて、オールバックで中学に通っていた。

Sは部屋でタバコを吸っていたり、頭が痛いと言って高校の入試を行かなかったり、子供の私でさえ頭が痛いくらいで高校入試を行かなかった事にはあきれた。

父にその事を言うと、父は「行かなくてせいせいしてる。アイツの事だから入学してもすぐ問題を起こして辞めるだろうから、いらない金を使わなくてすんだ」とホッとしていた。

試験に自信がなく、不合格だと恥ずかしいから受けなかったんだと思う。

結局自衛隊に入隊してあれだけイヤがっていた坊主になっていた。

母はこの息子を幼児の頃に前夫の所に置いたまま実家に帰り、食堂で働いている所へダンプの仕事をしていた私の父と出会った。(こんな大きいダンプを持って仕事しているからカッコイイと思った)とその時母は思ったそうだ。

父が言うには母から家に連れて帰ってほしいと言われ、祖母と3人の暮らしが始まった。

もしかして私がお腹にできたのか、父が母の実家に結婚の承諾を得る為に行った時初めて結婚している事を知ったと言う。

「ケツを蹴り上げて帰ってやろうと思った」父がその時の心境を話した事がある。

そののち父のお兄さんが、前夫との交渉に入り前夫との離婚が成立した。

この話は伯父さんが亡くなる少し前私に話をした事だ。

その後、前夫は亡くなり母の息子は施設で育った。

だから戸籍を見ると私が父の子になったのは生まれて少し経ってからの事だったと思う(じっくり見る気になれないから)チラッとみた時生まれた年が翌年だったから。

そもそも母はSを引き取る時父や私の事は考えなかったのだろうか。

ただ、ただ罪滅ぼしに一緒に住みたかっただけなのか。

私の学校の朝起きもできないのに息子を呼んで世話ができると思っていたんだろうか。

私がお兄ちゃんができたわ~いわ~いと喜ぶとでも思ったのだろうか。

いきなり15歳の少年。いや、見た目はオールバックの青年。

あのまま施設にいて時々会って大人になるのを見守るくらいでよかったんじゃないかと私自身親になってそう思う。

しかも養子縁組までして。

父もイヤイヤだったが母に泣きつかれ仕方なくだった。

Sは四国にいた。

自衛隊も1年いなかったと思う。

すぐに辞めてそのままアパートを借りてアルバイトをしなが生活していた。

なにしろ車の運転免許証もないのだからたいした職にもつけていなかった。

そのうち彼女ができた。子供が生まれた。嫁の両親はどちらも公務員。

2人は結婚を反対され、嫁は一人っ子だったが親子の縁を切った。

Sは新聞配達など掛け持ちをしていたが親子3人の暮らしができなくなりうちを頼ってきた。

今回の迷惑はその引っ越しを手伝ってほしいとの事だった。

しかも当時の彼氏(今の旦那)も巻き込んでの引っ越しだった。

まだ瀬戸大橋は開通しておらず四国へはフェリーで渡った。

車を数時間走らせるSらのアパートについた。

車2台で行ったとか覚えていない。

私は物ひとつ持つのもイヤだったのでアパートには入らなかった。

少しするとSらがアパートから出てきた。

私の顔を見ると、彼氏を見たからか少しニヤニヤしていて私はムッとした。

ニヤけてる場合か、一文無しのくせに。

嫁も初めて見た。

少しぽっちゃりして化粧もせず度のきついメガネを掛けていた。

嫁は無表情だった。

普通はそうだろ。自分が選んだ道とはいえ知らない地で暮らすのは不安があるだろう。

そして2歳くらいの女の子がいた。

少し不憫に思えた。

そのまま家のほうへ帰るとSらは父が用意した町営住宅に入った。

新築の町営住宅。小さいが2階建てだった。

さっそく嫁は母の店で働かされた。

うちは日払い。明日のお金にも困ってるんだ働きなさいとの事だ。

そしてSは次の日からは自動車教習所

さすが父。抜かりはない。

父は女の子に男雛女雛しかいないけど雛人形を買ってやった。

私にはずっと買いそびれていた事を後悔していた父。私が生まれて2ヶ月でダンプを持って遠くに働きにでたのだから仕方ない。

Sは免許を取得すると隣町の工場で働き出した。

よく呑みに来ていたその工場の工場長への話は母がつけていた。

Sはマジメに働いているようで生活が安定しているようだった。

しかし前から気になっていた

母の多干渉だ。

ちくいち行動のチェックが入る。    日曜電話していなかったら行き場所を聞いたり、買い物だと言えば近くの商店で十分。ガソリン使ってまで行く必要があるのか。と言ってくる。

ムダ使いしてまた生活ができなくなったらとか、心配をしているのだろうが常識の範囲ならある程度は自由にしてやらないと。

Sらの行動に制限をかけるのだ。

すると嫁が母の店を辞めさせてほしいと言ってきた。

日中は子供を見て、Sが仕事から帰ると母の店に出勤する嫁。         いわゆるすれ違いだ。         私からも辞めさせてやるよう言ったが、母は首を立てに振らなかった。

ホステスがいないから1人じゃ店が回らないからと。

しかも母の店は年中無休。時々嫁は休みをもらう程度。ほとんど店に出ていた。

Sらがこっちに帰って2年経っていただろうか

そんなある日母が血相を変えて

「Sらと連絡が取れない」と言ってきた。

父と車で10分くらいのアパートに行ってみると物家の空。夜逃げだ。

それっきりSらと会う事はなくなった。

しかしそれから20年後くらいにまた私は迷惑をうけるのだ。

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