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そこにくるみの木があったから  作者: タラ吉の助
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のぞく女

その日の朝、昨晩から泊まりに来ていたWと店に出勤だ。           私達は、私の原付きバイク、ウォルターウルフに2人乗りをして、1キロほど先の店へと向かった。        さすがに2人乗ると前に進まない、私達はキャラキャラ言いながら店に着いた。バイクを停めながら私はいつもの光景を見てWに声をかけた。「見て、あそこ」と言って、店の前にあるラーメン屋に目配せをした。うちの店との間は、クラウンがようやく通れる道幅道路より少し下がっている。ほぼ半地下に近い感じの店。私が中学の時、焼きそばを配達してくれた店だ。そこはおばさんが1人店を切り盛りして、私より10歳くらい年上の息子と、私より3歳年上の娘がいた。息子は窃盗を繰り返しては、刑務所を出たり、入ったり。娘も高校までは、ブイブイ言わせていたみたいだが、今ではただの無職。ずっと家にいる。          店のメニューは、ラーメンとうどんと、鉄板焼きそば。どれも美味しい。その店の換気扇のしたに、小さな窓があり、窓の外側だけブロック塀で囲まれていた。その小さな窓は、全くの透明ではなく、でこぼこした模様のガラスだった。そこの窓を1センチほど開けて、隙間からそこの娘がずっとこちらをのぞいているのだ。毎日同じ黄色のトレーナーを着て。ガラスにべったり張り付いているので眉までハッキリ見える。片目は隙間にあるので、白目の所まで見える。それを見てWも、「うわぁ、気持ち悪い。」私達は、そそくさと、店の玄関を開けて2階に上がった。私は改めて「いつも、あんな感じでのぞいてるの」とWに言った。私から近くに行って、ジーッと見てやっても、微動だにしない。         店のベランダから見下ろしてやったら向こうは、上目遣いで下から見上げる。ちゃんと目の動きまで丸見えなのに、その女は半地下で目の前のブロック塀が隠してくれていると確信しているらしい。だが、上から下をみる方が遥かに見えやすいのだ。         夜は夜で、ラーメン屋の灯りがあり、外は暗い。どう見ても、暗い場所から明るい所は見えるのだ。夜になればもっとハッキリその女の眉、目、鼻、すべて見えてくる。全く毎日毎日ずっといるのだ。ある日は隠れて私が見ても窓にべったり張り付いてまっすぐを見ていた。そんなある日、男がその女を連れて来店した。2人カウンターに座り世間話をしていたが、初対面ぼかった。男は女に店を手伝っているのか聞いていた。うどんくらいなら出来ると女は言っていた。         ラーメン屋のおばさんも大変だ。私が小さい頃一度このラーメン屋にあずけられた事があったが、旦那を一度も見た事がない。母が言うには体が弱くずっと入院しているとか。しかしあずけられた時、郵便局の服を着たおじさんが茶の間でラーメンをたべていた。おじさんが正座をしていたので、ここのお父さんじゃないなと、子供ながらに変な理由で感じていた。郵便局の服を着たおじさんは、おばさんの彼氏だったと、あとから聞かされた。      

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