悲惨な過去と悲劇の主人公
数々の障害を乗り越えついに華琳の元にたどり着いた一刀
だが、時既に遅く、華琳の体はゴルドによって乗っ取られてしまった。
そしてゴルドは魔力で華琳の姿を成長させた姿へと変化させたのだった。(背は伸びたが胸は変わらず)
「くそっ!華琳、目を覚ましやがれ!体を乗っ取られるだなんてお前らしくねぇぞ!この貧乳ドチビ! 」
一刀は体が乗っ取られているとはいえ精神の中では華琳の意識があるだろうと悪口混じりで呼び掛けるが
「無駄だ。この女の精神は俺によって封じられているからな 」
精神すらも封じられていては何度呼び掛けても無駄であった。
「くそっ!っていうか、華琳の姿で俺って言うんじゃねぇ!!名前ありの台詞だったら突っ込みが入ってるぞ! 」
一刀も妙なところを突っ込んでいた。
「とにかく、この体を返してほしくば俺ごとこの女を殺すしかない。だけどお前にそれができるかな? 」
「くっ!? 」
できるはずがなかった。
確かに普段一刀は華琳と口喧嘩しているがそれとこれとは別の話である。
一方
「まぁ、俺は構わず攻撃しまくるけどな 」
バチバチィッ!!
華琳の体になったゴルドは手に魔力を流すと
「そらよっ! 」
ドドドォンッ!!
一刀達目掛けて火球を放ってきた。
「うわぁっ!? 」
サッ!
一刀は風を脇に抱え、何とか火球を避けた。
「な┅何で魔法使いでもない華琳が魔法を使えるんだよ!?しかも無詠唱で!? 」
魔法を詠唱無しで発動する。
言葉で言うのは簡単だが実際はかなりの集中力が必要とされる高度な技法である。
すると
「言い忘れていたが俺は魂を移す時、習得魔法を新たな魂へ移すことができる。恨むなら俺を倒した相手の中に無詠唱の魔法使いがいたことを恨むんだな 」
ゴルドは今まで多くの魔法使い達と戦ってきた。
その中には無詠唱の魔法使いも存在した。
世間で伝えられているゴルドはロンズデーライト兄弟の中でも最弱扱いされ倒してもすぐにまた現れると言われているが、それはゴルドが倒される度に魂を相手と入れ換えているからであった。
何とかゴルド華琳の繰り出す火球を避け続ける一刀であったが
ドォンッ!!
「がっ!? 」
ついに一撃を食らってしまうと
「隙ありだな! 」
ドドドォンッ!!
攻め込むチャンスと考え、一刀に大量の火球を繰り出しまくった。
「風、お前だけでも逃げろ! 」
バッ!
「お兄さん!? 」
一刀は風を投げると
ドドドォンッ!!
「がはぁっ!? 」
自分は火球を食らいまくるのだった。
「フッ!無様な姿だな、愛とかいうもののせいで俺を攻撃できぬとは甘い奴め 」
一刀を馬鹿にするゴルド華琳
すると
「うるせぇ、お前にはわからないだろうが愛情ってのは枷じゃねぇ、力になるんだよ! 」
傷つきながらも一刀は立ち上がりゴルド華琳に向かってそう叫んだ。
「愛情だと、くだらなすぎてヘドが出る 」
「何だと! 」
「ならば教えてやろう。俺達ロンズデーライト兄弟を悪にしたのは身勝手な愛情のせいだとな! 」
そしてゴルドは自らの生い立ちを語り出した。
数十年前、魔法世界にロンズデーライト一族という貴族の魔法使いがいた。
しかし、彼らの一族は子が一人しか残せぬという一族であり、現当主であるラルド・ロンズデーライトも頭を悩ませていた。
だがしかし、彼と妻との間に何と四人も子が生まれ将来有望と思われた。
この四人こそが後のロンズデーライト兄弟である。
ところが!?子供達を魔力判定した結果
長男ゴルドは不明
次男シルバは無魔力体質
三男ブロンは召喚獣を食らえば強くなるという化け物
長女プラナは他人の召喚獣を操るという気味が悪い
といったとても世間には出せない魔法使い達であると知ったラルドは子供達を殺すことを決意し、妻もこれに賛同した。
だが、この暗殺計画を聞いた四兄弟は殺される前に親を殺したあと屋敷に火を放った。
それからというもの、四兄弟は次々と魔法使い達を殺していき、彼らを倒そうと名乗り出た優秀な魔法使いはゴルドによって魂を入れ換えられた。
だが魔法使い達は苦心の末に四兄弟を封印することができたのだった。
「わかるか!俺が親から教えられた愛情は憎しみしかない!俺はこの世で愛が一番嫌いなんだ。愛と書いて『愛』と読むほどにな! 」
確かに四兄弟は悲惨な過去を過ごしてきたようだが
「馬鹿かお前 」
一刀はそんなゴルドを馬鹿にした。
「悲劇の主人公を名乗っているところ悪いけどな、お前だけが辛い人生を過ごしてきたと思うな!俺だってサタンがついた時に親を失い、周囲からは煙たがれ、女の子達からは変態扱いされてるんだぞ! 」
前半はともかく後半は自業自得である。
一刀はゴルドに向かって叫ぶが
「この俺に説教か、いい度胸じゃないか 」
バチバチィッ!!
ゴルド華琳は魔力で黒い弓を作り出すと
「褒美として死を与えよう 」
ぐぐっ┅!!
そう言いながら弓を引くゴルド華琳
「くっ!? 」
対する一刀はダメージでまともに動けず
「くたばれ! 」
シュパァッ!!
無惨にも弓から魔力で作られた矢が一刀目掛けて放たれ
ドシュッ!!
「お兄さん!? 」
風の叫び声が響いたのだった。




