<エピローグ> とある親父の人生訓
『人生は「クソゲー」だ』
これは俺の人生訓みたいなものだった。
当てはまる事象が多すぎて、否定する気にもなれないほどだ。
しかし、この世の中には、どんな「クソゲー」をも罵りながら研究し、攻略し、やがて名作へと昇華する。そんな「勇者」達も存在している。
だがそれは、俺にはとても真似できない事だった。
俺は「クソゲー」は大嫌いだ。
理不尽な仕様を罵って、罵倒して、円盤を叩き割りゴミ箱に放り込むぐらいには嫌いだ。
だけどいくら人生が「クソゲー」だからって、自分の人生を投げ出すつもりはなかった。
例え、基本装備がブサメンでも。
特殊能力なんて授かっていなくても。
装備が貧弱で、相手がチートな大魔王だったとしてもだ。
投げ出せば全てが終わってしまうし、やり直すためのリセットボタンなんて便利なものは存在しないからだ。
だから、人生だけは投げ出さない。そう決めていた。
だが「クソゲー」ってやつは、まともな方法ではクリアできない。
そう悟って、俺はその時決めたのだ。
敵が強大なら立ち向かわない。立ち回りを考えて、遭遇すらしないように手を尽くすのだ。
「なさけないって?」
いやいや、それが大人の処世術ってやつさ。
チートな魔王には、チートな勇者が立ち向かうべきだろ?
そうだな、任せっぱなしも癪に障るからせいぜい勇者の奴を助けてやろう。
うむ「勇者を助ける酒場の親父」なんていいかもしれない。
勇者にアレコレとクエストを発注して稼がせたり、仲間を紹介したりするんだ。クエストの仲介料でがっぽりと儲かるし、自分が危険な目にも遇う事も無い。
勇者御用達の店ともなれば、冒険譚が目当ての客で、店も大儲け出来るだろう。
せいぜい勇者たちには頑張ってもらう必要がある。その裏で、俺は楽して大儲けするのだ。
そうと決まればやることは山積みだ。店を大きくしたいし、新メニューの開発も必要だ。クエストを発注してもらうため、街の人達からもっと頼られるようになる必要もある。
それに今の生活を、もっと便利に快適にしたい。
ああ、忙しくてしょうがない。
まあ、将来楽して大儲けするためだからしょうがないかな。
「若いころの苦労は買ってでもしろ」って言うよな、俺、もう親父だから若くないけど。
俺は、眠りに落ちる前の心地よい微睡の中で、何の脈絡もない思考で今後の人生計画を立てながら、腕の中で眠る柔らかな肢体を堪能しつつ心地よい眠りに落ちていくのだった。
作者イメージ的に一巻分が完了したので、一巻分のエピローグを差込んで見ました。
お話自体はまだ続く予定です。
おつきあいいただければ幸いです。




