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怨嶽山  作者: 都山 夕
2/7

第2話

休憩を終えて歩き出すもののオカルト研究会の女子2人は明らかに遅れ始めていた。


「はあはあ疲れたー」


「うん、ほんと疲れたし暑い〜」


さっきから女子達はこんな会話しかしていない。


しばらく歩くとオカルト研究会の5人はほぼ無口になり、もくもくと歩き続けていた。


おれは、オカルト研究会の女子に声を掛けてみた。


「ちょっときつそうだけど大丈夫?」


黒髪の女子が答える。


「ええ、まだなんとか大丈夫です」


「私もまだ歩けます」


2人とも歩けるとは言ったものの足は明らかに重そうだ。


おれは、少しでも気が紛れるように会話をした。


「どうして2人はこの山に登ろうとしたのかな?やっぱりオカルトの噂で?」


その質問を投げかけると2人のテンションが少しだけ上がった。


「そうなんですよ!やっぱり山って心霊現象が起こりやすいみたいで、この山って標高2424mじゃないですか!だからオカルト好きなら絶対に行きたいスポットのひとつなんですよ!」


「へえ、この山の噂ってどんなの?」


痩せたメガネのもう一人の女子が答える。


「つくり話っぽいのもあるんですけど、やっぱり目撃情報が多いのは子どもとか赤ん坊の霊が多いんですよね。写真を撮ったら背景にびっしりと赤ん坊らしき顔が無数に映ったとか、あとは女性に多いんですけど足を引っ張られたりする感覚があったという体験をしたも何人もいるんです。


おれも長年登山をしているが、話には聞いたことがあっても、実際目にしたことはなかった。ここ最近の登山ブームの前からおれの村人でもたまに奇妙な体験をしたようだ。


「そうそうあと特に多いのが赤ちゃんの泣き声が聞こえるみたいなの」


「私もそれ知ってる!こんな険しい山に赤ちゃんなんているはずないのに、赤ちゃんの泣き声が聞こえるんだってね!それもひとりのじゃなくて赤ちゃんが大勢いるみたいな泣き声なんだって」


「えーー!怖い〜!!」


いつの間にかおれは話から取り残されていた。女子2人は怖い怖いいいながらも笑顔だった。これなら、もう少し登れるだろうか。


登山部の部員たちはオカルト研究会が持ってきた荷物を持ったり、背中を押してやったりしていて彼ら自身もだいぶ体力を失っている。


プランとしては日帰りコースを計画してはいるが、もしも予定よりもずっと遅れてしまったり天候が悪くなった場合には恩嶽山にいくつかある山小屋で夜明けを待つしかないだろう。


時刻は昼すぎになり、やっと恩嶽山の中腹あたりまでやってきたところで、長めの休憩をとりながら昼食をとることにした。


各自持参した弁当やおにぎりを食べる。オカルト研究会もまだ食事をする元気はあるようだ。


「はいチーズ!」


オカルト研究会の男子メンバーが写真を撮り始めた。カメラはデジタル一眼レフカメラだ。


「なにか映っているか?」


「いやあ、今のところはっきり写っているのはないけどオーブらしき光は映っているよ」


「ええーほんと〜?」


デジタル一眼カメラの液晶画面でその写真に見るためにオカルト研究会だけではなく登山部のメンバーも集まる。おれも顔をのぞかせてみた。


「ほら、この岩場の辺りに白っぽい光の玉みたいのがあるだろ?これがオーブだよ」


「へえ、これがオーブっていうんだ〜」


登山部が感心している。


「こっちの写真には2つ入ってるよ」


「これってカメラのレンズの汚れとかじゃないの?」


登山部が言う。


「まあ、みんなそう思うんだよね。でもほらレンズにホコリとか付いてる?」


そう言って、カメラを見せる。


「付いてないみたいだな」


「でしょ?言っとくけど拭いてないからね。世の中には科学で説明できないことがたくさんあるってことだよ」


「なるほどねえ」


「もっと上に言ったらきっとすごい写真が撮れると思うんだ」


そう言って武田という少年は目を輝かせている。



一方オカルト部の男2人は何やら古い本を眺めながら辺りをキョロキョロ見渡しては、指を差している。

2人はおれの視線に気が付くとしれっと本をリュックにしまった。知られはいけない本なのだろうか?


「さあ、そろそろ行きましょうか。これからはだんだん寒くなってきますから皆さん上着を着てください」


みんな持参した上着を来ている中、オカルト研究会は数人は上着を持ってきていないというので、おれの予備の上着を貸してやり、登山部の部長松井もオカルト研究会に上着を渡していた。


おれは松井に声を掛ける。


「これからもっと寒くなってくるけど大丈夫かな?」


「ちょっと不安ですけど、本人達は登る気でいますからもう少し様子を見てみましょう」


「わかった。でも、ひとりでも体調を崩したりしたらすぐにみんなで下山するからね」


「はい。わかりました」



このまま登っていいのだろうかという不安はあったものの、長めの休憩をとり気力が戻った学生を見てなんとかなるとかなと思ったのが甘かったのかもしれない...。




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