牢獄にいたのはスズキさん
一軒家の次は鉄格子の中にいた。さっきの電気で照らされた部屋ではなく、暗い刑務所を想像させる部屋だ。
最初の荒野に突っ立っていたときに似た急な見知らぬ場所への移動。だが今回は僕が意識がある状態で起きたことが決定的に違う。分かることはモトムラ君と握手した瞬間に起きた。
つまりモトムラ君、いやモトムラにはめられた?それとも偶然握手した時に未知の力が働いて荒野に目覚めた状況と同じになった?
今起きた現象をなんとか冷静に考えようとしたとき背後から人の気配を感じた。後ろを振り返ると簡易的なトイレと人が包まった毛布があった。ほんとに牢屋だなここ。
「ふわぁっと、やっと釈放ですか~。、、、うん?お前だれよ」
完全な寝起きボイスで聞いてくる男。見た目は中肉中背で、モトムラと比べ服装はおとなしめ、少し僕より年上の印象を得た。僕はモトムラにはめられたかもしれないことから目の前の男に警戒を解くべきではないと思い、何も答えず身構えた。
「何にも答えてくれないの?ははぁん、さてはモトムラにだまされた口だな」
「だまされたってやっぱりモトムラがこの牢屋にぶち込んだ元凶てことですか。いやその前にあなたは何者なんですか、そちらから自己紹介してもらえないですかね」
少し攻撃的な声音になってしまったが、謎の男は気にせず悪い悪いといいながら自己紹介し始めた。
「俺の名はスズキ、帝国所属の異世界人だ」
「異世界人?」
「ああ、その反応お前も異世界人か。こっちの世界の連中は自分たちを現地人、異世界転移してきた俺たちを異世界人って呼んでる。そりゃ向こうからしたら俺たちはまさしく異世界人だよな、はっはっは」
このスズキって男のば言葉が正しければ、やっぱりここは異世界だった。でもモトムラといい、スズキといい何で僕と同じ異世界転移者としか出会えないんだよ。ほんとにいるのか現地人とやらは。
ひとまず話が進まないので名前だけなのって相手の様子を見ることにする。もちろんモトムラの時のようにならないために下手な接触は避けた。だが相手は今まで一人で寂しかったからとこっちが聞いてもないこともペラペラとしゃべり始めた。
「まず今俺たち二人を牢屋にぶち込んだ犯人はモトムラだ。やつの法力、異能が原因だ。」
「ほうりき?」
「ああ、この世界で当たり前にある特殊な力さ」




