やっとの想い
陽太が去って、しばらくの間・・・
俺達の間には会話はなかった。
ただ黙って同じ方向に向いて歩いていた。
しばらくして
「なぜ?」
真里菜がつぶやいた。俺が真里菜の見るとうつむいて、少し悲しそうに見えた。俺は思わず
「ごめん・・・」
俺の言葉に真里菜は立ち止まって俺の方を振り向いた。その目には涙が浮んでいた。はっとした俺・・・その時だった。
パチーン!!
俺の頬を真里菜の平手が襲ってきた。
「っ!!」
俺は叩かれた頬に手をやり振り返ると目の前で真里菜が俯いていた。
「バカ!!」
「バカって」
両手で俺の胸をたたき泣き始めた真里菜は、
「だってバカじゃない!!」
「・・・・」
「だって・・・だって」
そういいながら両目をこする真里菜に話しかけた。
「ごめん」
何度も謝る俺に真里菜は首を振る
「そんな言葉ほしくない・・・」
「・・・・・」
俺の頭の中は真っ白だった。謝っているのになぜ?
一体どうしたらいいんだ。
俺はただ言葉もなく真里菜を見つめた。
すると真里菜は、俺の胸をドンと両手で突いて走りだした。
俺も慌てて真里菜を追いかけた。このままじゃいけない・・・その想いが俺を動かした。
「待て!!」
俺がそう叫んでも真里菜は止まってくれない。
俺は、真里菜をしばらく追いかけた。
そして、ようやく追いついた俺は、真里菜の手を掴んだ。
「待てってば!!」
俯いたままようやく立ち止まった真里菜・・・
俺は真里菜の肩に手をやり俺のほうを向かせた。
しかし、真里菜は俯いたままで俺のほうを見ようとしない。
いざ言おうとすると・・・こ・・言葉が出ない・・・
しばらく黙る俺達・・・その沈黙を破ったのは真里菜だった。
「な・・・なんなのよ~!!」
「・・・・」
「黙ってないで何とか言ってよ~!!」
そう言って真里菜は俯いたまま俺の胸をドンと叩いた。
「・・・・」
しばらくして・・・言葉が出ない俺に・・・
「わたしのこと・・・嫌いなの・・・?」
絞り出すような声でつぶやいた真里菜は、俺の胸を叩くのをやめてしまった。
「す・・・好きだ・・・」
言ってしまった俺が驚いた・・・あれだけ必死になって言おうとして出なかった一言がポロッと出た。
「えっ?」
顔を上げ涙目のまま俺を見つめる真里菜
顔がこれでもかというくらい熱くなり、心臓の音が俺の耳まで聞こえた。
そして
再び声が出なくなった俺・・・
「・・・・」
しばらく見つめ合っていると真里菜が口を開いた。
「今・・・なんって?」
「・・・・」
固まって何も言えない俺
「なんて言ったの?」
真里菜の言葉に誘導されるかのように俺は再びあの言葉がでた。
「す・・すき・・だ・・ま・・真里菜の・・・こと・・・が」
真里菜は目を潤ませ俺の胸に抱きついた。
俺自身もう何がなんだかよくわからない状態だった。
気がつくと俺は両手で真里菜を包んでいた・・・
一体どのくらい時間がたったのだろう・・・
胸の中の真里菜がつぶやいた
「あきらさん・・・」
その声に俺は両手を緩め真里菜のほうを見た。
真里菜もじっと俺を見つめ両手を首に回してそっと目を閉じた。
徐々に近づく真里菜の顔・・・
そのまま俺は震えを押さえ、必死に真里菜とキスをした。
しばらくして、真里菜の唇の感触が離れていった。
この日から俺達の日常が変わった。
数日後・・・・
「ごめんなさい・・・好きな人がいるの」
例の男子を振った真里菜・・・
しばらくこの話題で学校は盛り上がっていた。
そんなことは気にも留めない様子の真里菜はいつものように俺の家に来ていた。
「あきらさん、早く!」
そう言って、俺の許可もないまま部屋に向かう真里菜
「また、DVDか」
「ひど~い」
真里菜が少しむくれた時、キスをした。
「もうっ・・もうちょっと雰囲気をだしてよ」
「ごめん」
そう言って俺はテレビの前に座っていると
DVDをセットした真里菜が俺の横にそっと座ると自然と肩にもたれかかってきた。
「真里菜・・」
「なに?」
「今度の日曜日・・・どっか行こうか」
「うん」




