20 事故
次の日、寮の部屋から出るのが憂鬱で仕方なかった。
エマは用事があるらしく、朝早くから出かけていてた。
もう、いいや!いっそのこと今日はずっとここにいよう!祝日だし!
そう思って本を開いた。
一章を読み終わったところでドアをたたかれた。
「はーい!」
「リリアベルさん、お客さんです。今受付にいらっしゃるんですけど、ウィリアム王子殿下です。」
寮の受付のお姉さんだ。
げっ。寮まで来るの?リアム様。
「す、少し待つようにお伝えください」
少しうわずった声になってしまっていたかもしれない。
「わかりました。あまり待たせないようにしてくださいね」
「はーい」
そして、遠ざかっていく足音が聞こえた。
どどどどどどうしよう!?
部屋を見渡してみると、窓が目に入った。
あそこから抜け出すか!
そう思って窓を開ける。ちょうど窓の下に出っ張ってる部分があり、そこから木に移れそうだ。私は靴を履くと、窓から出て出っ張りに足をかけた。
そして、木に移ろうとしたとき、足を滑らした。
「わぁっ!」
しまった。昨日の夜、雨が降ったせいで濡れてて…
ぎゅっと目をつぶって衝撃を覚悟してると、ふわっと落下のスピードが落ちた。
思わず下を見ると、リアム様が焦った顔で私を見上げていた。
「リアム様⁉」
私はゆっくりと落ちていき、リアム様の腕の中におさまった。
「えっと、ありがとう、リアム様」
リアム様は私をじっくり見た後、ほっとした顔になった。
そして、私の顔を見た。
「リリー、もう危ないことはしないって約束して。」
「…はい……申し訳ありませんでした」
私はうつむいた。さすがに今回は心配をかけてしまって申し訳ない。
「もし約束を破ったら……そうだね…閉じ込めてあげようか?」
「と、閉じ…!?」
リアム様が急にそんなことを言い出して、思わず顔をあげたらリアム様と目が合った。彼の顔を見ても冗談を言ってるわけではなさそうだ。
なぜ?
シンプルにそう思った。
「な、なんで…!?」
「リリーが危ないことするからでしょ?それに、約束破らなければいい話だよ」
「そう、ね…?」
「うん、そうだよ」
なんか、丸め込まれた気もするけど…なぜ?という疑問が大きすぎてよくわからない。
「じゃあ、リリー。今日は部屋でおとなしくしててね。話はまた今度にしよう」
リアム様がそう言ってくれてホッとした。今から話そうと言われなくてよかった…!
「わかったわ」
私は頷いて、リアム様の腕の中から降りようとしたが、リアム様に止められた。
「リアム様、そろそろおろしてほしいわ」
だけど、リアム様は微笑んだまま何も言わなかった。そして、そのまま部屋に連れていかれた。
「じゃあ、また明日」
「ええ、また明日。」
今日の残りは本を読んで過ごした。




