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第六十一話「オクマーマに悔いはなし」


          挿絵(By みてみん)



 大和ミラクルスパークによって体を貫かれ、体内にセットしてあった鉱石も粉々に粉砕されてしまったサイボーグテツ。体が吹っ飛ばされ、地に倒れ伏せてしまう。


「ウググッ!」


 一方でオクマーマの方も飛行する念波パワーを失い、地に落下してしまうのであった。


「ウウウッ……。や、やったっちゅ。念波兵器のテロを、防いだっちゅ……」




 その頃、国の施設に幽閉されている斉田博士は――。


「やはりワシの技術では、時間までに兵器の場所を突き止められぬ……むっ、無念じゃ! そろそろ、タイムリミットじゃて……」


 オクマーマがテロを阻止出来ない限り、もう殺人念波が発動する可能性がある。

 そう、心の中で覚悟を決める斉田博士であった。


(ワシは……。正義漢だった所長の意思を受け継いで、悪に一人で立ち向かったオクマーマちゃんのことを……。例えテロの阻止に成功しようが失敗しようが、ワシの心に刻んで決して忘れないじゃ。ありがとう、オクマーマちゃん)


 そして、研究所時代に撮影したテツや所員たちとの集合写真に目を移す。


(もし兵器が発動したのなら、ワシも今すぐみんなのところに行きますじゃ……。天国でまた一緒に会いましょうぞ、みんな!)


 しかし、その時。

 斉田博士のレーダーが突然『ビクッ!』っと大きく反応し、各地にある子機の場所を一斉に特定させたのである!


「おおっ⁉ こっ、これはっ!」


 オクマーマが念波鉱石を破壊したことにより、各地の子機にフルチャージされていた念波のバランスが崩れて歪みが発生したのだ。


「もしかして、オクマーマちゃんがやってくれたのじゃろうかっ⁉ これで、全国にある子機の場所がわかったぞよ!」


 しかしレーダーの反応だけでは、斉田博士側には鉱石が破壊されたかどうかまでは不明である。あくまで子機が一時的になんらかの歪みを出力し、場所が判明しただけであるのだ。


「とっ、とにかくじゃっ! 今からでも、すぐ特殊部隊をこの各所へ解除に向かわせるんじゃっ!」


 斉田博士は見張っている政府のSPに、すぐさま子機の場所を伝達する。

 例え時間的に手遅れであろうが、望みを捨てずに特殊部隊を向かわせるのであった。


「これらの場所じゃと……。全部の子機を発見解除するには、どんなに早くても三時間以上はかかるじゃろう。じゃが! 今オクマーマちゃんが必死に頑張ってくれて、そこでなんらかの異変が起こっているかもしれないのじゃ。ワシらも、最後までやれるだけの最善を尽くすのみじゃ!」





 そして、火口付近では――。

 ふっとんだサイボーグテツとオクマーマが、お互いにしばらく倒れたままの状態であった。


 しかしまだ動けないオクマーマより先に、貫かれた胸を手で押さえながら必死に起き上がるサイボーグテツ。


「お、おのれぇぇぇ、よくもっ! 今回の作戦が失敗すれば、俺はどっちにしろザラス団によって抹殺される運命なのだ……。このままタダでは死なんっ、お前も道連れだぁぁぁ!」


 サイボーグテツは、最後の力を振り絞り――動けず倒れたままのオクマーマの体をムンズと掴み取り、そのまま腕に包んで火口の中へと身を投げるのであった。


 サイボーグテツに抱きかかえられたまま、観念して火口を一緒に落下していくオクマーマ。


(も、もう……抵抗出来る力が残っていまちぇん……。でも、どっちにしろ鉱石は壊れてまちゅ。あと数時間で、体内の残った念波エネルギーが切れた時に死んじゃうんでちゅから……遅かれ早かれ、同じことっちゅ……)


 だんだんと熱が上がり、体から煙をあげ始めるオクマーマの体。


(熱いっちゅ……。でも、オクマーマはテロを止められて本望っちゅ。悔いはないっちゅ。それが、キミナちゃんにとっても……オクマーマにやって欲しかった願いだったはずっちゅ。オ、オクマーマは……これで良かったんでちゅよね? キミナちゃんっ! ……ウウウッ!)


 オクマーマとサイボーグテツの体が焦げ始め、二人から激しく煙が立ち上がる! 


(研究所で目覚めたあの日から、長いようで短かったっちゅ……。改造されても、この所長ちゃんはオクマーマにとってもパパっちゅ。最後にパパと一緒に死ねるなら、オクマーマは満足っちゅ。も、もう、体が燃えそうっちゅ……。熱っ、アッ、アアアアアーッ!)




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