第六十話「一家の思い! 大和ミラクルスパーク」
オクマーマはもはや『このまま何もしなければ、どちらにせよお終い』と判断し、奇跡的に命中する最後の可能性にかけてスパークの発射体勢に入った!
「大和! ミラクル……」
リボンから、大和ミラクルスパークが発射されようとしたその瞬間!
「オクマーマちゃん! 待ってくだちゃい!」
オクマーマが、自分の心の中に響いたその声を聞いた瞬間――オクマーマの動きがピタッ! と停止してしまう。
「…………!」
そしてフリーズしたオクマーマの体から、ホログラフィーのように浮かび上がるキミナの姿! 魂の中で休眠していたキミナの自我が、この危機のショックで一時的に目覚めたのである!
「パパ……」
その姿に、自分の記憶に時々あらわれた赤子の面影を見たサイボーグテツは――思わず動揺し、動きを止めてしまうのであった。
「おっ……お前はっ⁉ ウウッ……、頭がっ!」
「パパ……。やめてくだちゃい……。キミちゃんのパパは……良い人のはずっちゅ……」
目覚めたキミナの自我は、改造されたサイボーグテツの中に閉じ込められている『本来のテツの人格』に直接呼びかけたのである。
「キミちゃんは……また、オネンネしたくなっちゃいまちた……。オネンネしまちゅ……」
ホログラフィーのように浮かび上がったキミナの自我はそう言うと、スーッと姿が消えて再び休眠してしまう。それと共に、一時的にフリーズしていたオクマーマの自我が表に復帰するのであった。
「…………あっ⁉ オ、オクマーマは……今、なにをしてたんでちょうか……」
するとサイボーグテツの方は、突然体が動かなくなり苦しみ始めたのである!
「ウウッ⁉ こっ、これはっ、どうしたことだっ⁉ かっ、体がっ、動かん!」
キミナからの呼びかけによって――サイボーグテツの悪人格を抑え込むように、改造された脳内に閉じ込められていた『本来のテツの人格』が表に出てきたのだ!
「こっ、この体はっ、もはや俺の……大和テツの体ではないっ……。もう、大和テツは死んだんだ……」
「だっ、誰だお前はっ⁉ お、俺の、完璧なはずのサイボーグボディの中に、なんでこんな正反対の別人格が残っているんだっ……! くっ、くそうっ、やめろ!」
まるで一人二役の芝居でもしているかのように、必死に体の自由を奪い合うサイボーグテツの悪人格と本来の大和テツの善人格。
「まるで、二重人格みたいになってまちゅ! 本来の所長ちゃんの、正義の人格も残っていたっちゅかっ⁉」
「お、俺が悪の人格を抑えているうちに、俺の体ごと鉱石を破壊してくれっ! はっ、早くっ!」
「所長ちゃんっ!」
一瞬ためらってしまうオクマーマの中に、あのアイコの声も響く!
「なにがあっても悪には屈さず、最後まで善行を貫き通して欲しい……」
(あっ! 今まで声質が不明瞭だったあの声が、初めて女の人のような声で聞こえたっちゅ! そっ、そうっちゅ。この声は、多分アイコママの声っちゅ! ママが、キミナちゃんによく語り掛けた言葉の中の一つなのかもしれまちぇん。今のオクマーマになら……それが、なんとなくわかりまちゅ!)
「なにをグズグズしているんだ! お前は正義を守るのが使命のはずだっ、ためらわずに撃てっ!」
必死にサイボーグテツの悪人格を抑え、体の動きを止めるテツの善人格。
(オクマーマは、テロを止めるために……例え所長ちゃんでも、倒さなくちゃいけまちぇん。所長ちゃんは、オクマーマにとってもパパっちゅ。心に眠るキミナちゃん! 心に響くママ! オクマーマは、これでいいんでちゅよねっ⁉)
オクマーマのリボンが、再び最大発光する!
「やっ、やめろーーーっ!」
「大和っ! ミラクルスパーーーーーーク‼」
オクマーマのリボンから、最大出力の念波が放出された!
「うわぁぁぁーーーーーーーっ!」
サイボーグテツの体を貫いたスパークは、体内にある鉱石を粉々に粉砕するのであった――。




