第五十九話「家族だからこそ」
サイボーグテツから、人間は不完全で欠陥だらけだという現実を突きつけられてしまったオクマーマ。
「確かに……。世の中には、いくら説得しても死ぬまで改心しないような悪人もいるのは事実っちゅ。所長ちゃんだって、過去酷い目にあったことは知ってまちゅ……」
「ほ~らみろ! そんな人類など、この際滅んでしまえばいいのだ!」
「で、でもっ! だからといって、テロして全滅させていいことにはなりまちぇん! それに、マユミおねーちゃんやノリオちゃん、シンパチおじいちゃんのような良い人だっているっちゅ! 所長ちゃんだって、本来は良い人のはずっちゅ!」
「ええ~いっ、言うなっ! お前がなにをホザこうが、もうまもなくチャージは完了する! 人間を滅ぼした後は、念波ロボであるお前は処分せずザラス団の手先として雇ってやろう。念波ロボの生みの親は俺だ、子供は親に従うものだぞ? ハッハッハ!」
「いくら親でも、ダメなものはダメっちゅ! 逆に親だからこそ、家族だからこそ、なおさら子供であるオクマーマが……間違いを糺さなきゃいけないんでちゅっ! オクマーマ・サーベル!」
オクマーマはヤワなサーベルとシールドを取り出し、再び突撃するが――当然かなうわけもなく、あっさり弾き返されるだけであった。
「ウウウッ……。おっ、おはぎパーンチ!」
オクマーマは、苦し紛れのおはぎパンチを発射した瞬間――パンチの方に魂を乗り移らせ、サイボーグテツの防御をかいくぐりながらパンチを胸元まで到達させることに成功した!
「おっ⁉ なんだこれはっ? ……そうか、おそらく魂をこっちに乗り移らせたんだな。しかしこんな小さい非力な手で、俺の胸元を必死に引っ張ったところでどうにもならんぞ」
胸元に引っ付いている昆虫でも捕まえるかのように、おはぎパンチをムンズと掴み取るサイボーグテツ。余裕の笑顔で、オクマーマの動かない本体の方へパンチを投げ返してしまうのであった。
パンチと魂を本体に戻らせたオクマーマは『やはり鉱石をそのまま奪うのは、もはや不可能』と判断し、ついに覚悟を決めるのであった。
「こうなったら……。やっぱり、最後の手段しかないっちゅ!」
満身創痍のオクマーマは、飛び上がって大の字になり叫んだ。
「オクマーマ・リボン! 念波エネルギー・チャージ!」
オクマーマのリボンが、強烈に発光を始める!
(うぬっ、これはっ⁉ リミッターがかかっているはずなのに、耳のリボンのところだけは……強大な念波パワーが集中し始めているのを感じる!)
リボンの発光が、どんどん眩しさを増してゆく。
「ま、まさか……? お前は、鉱石そのものを破壊するつもりかっ⁉ 鉱石を破壊したら、お前にも念波が二度と供給されなくなって不死身ではなくなってしまうぞ! いやそれどころか、体内に残っている分の念波エネルギーも数時間後には尽き、そこで完全に死んでしまうんだぞっ⁉」
「正義の念波ロボ・オクマーマは……死んででも、人々を守りまちゅっ!」
サイボーグテツの体内にある鉱石へ、狙いを定めるオクマーマ!
しかし、大和ミラクルスパークを発射しようとしたその時――。サイボーグテツは念波パワーを発揮して、狙いを定められないように高速移動を開始してしまうのであった。
「ああ~っ!」
まるで分身しているかのように、体がブレて見える状態のサイボーグテツ。
「フフフッ、甘いな! これでお前は、鉱石を狙うことが出来ない。残念だったな、ハッハッハ!」
「こっ、これじゃ……。多分、マグレ狙いで放っても当たらないっちゅ! 一体、どうしたらいいんでちょうかっ⁉ もう時間がないっちゅ!」
そんな、焦るオクマーマの脳裏には――マユミ、ノリオ、斉田博士たちが語り掛ける姿がグルグルと頭の中をめぐるのであった。
「オクマちゃん! また今度、海に行きましょう!」
「僕はなにがあっても、君の味方だぞ! オクマちゃん!」
「オクマーマちゃん! ワシも最後まで、希望を捨てないじゃよ!」
(マユミおねーちゃん……ノリオちゃん……シンパチおじいちゃん……。オクマーマは、みんなを死なせたくないっちゅ! 魂の中でオネンネしているキミナちゃんっ、もしキミナちゃんだったら……どうしまちゅかっ⁉ 教えてくだちゃいっ!)
「まもなくチャージ完了だ……。さらばだ、俺を散々攻撃してくれた大量の愚民ども!」
サイボーグテツは、ついに自分の胸にある起動ボタンらしき物を押そうと手を伸ばしてしまう!
「ダメっちゅーっ!」




