表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/71

第三十四話「オクマーマ、爆散!」

 

          挿絵(By みてみん)



 情報を得た警察は、真の取引現場へ機動隊をすぐに出動させていた。

 そして、あっさりと取引現場を包囲するに至ったのである。




 マユミのような少女から『麻薬取引』という場違いな通報であっても、警察が疑わず聞き入れたのは一つの理由があった。


 実はノリオが『もしこの日に、こういうタレコミがあったら、それはイタズラではなく本心通信のスクープだから本当にすぐ出動してほしい。責任は、すべて本心通信の編集長・南部ノリオがとる』と、先に手回ししてくれていたのだ――。




 まさかの完全包囲をされてしまった悪人たちは、青天の霹靂で困惑してしまう。


「あれほど完璧だったこの場所が、どうしてバレた⁉」


 センサーに頼らず、目視で車の中を必死に探る悪人たち。

 すると、誰も見たことない『シッポがないクマのぬいぐるみ』のようなものが、トランクの片隅に入っているではないか! 


「これだっ! これはメカが使われてはいないが、これ以外に盗聴元は考えられない! チキショーッ!」


 オクマーマの魂が離脱している、空の本体を発見した悪人たちは――もう逃げられなくなってしまったという、激しい怒りにまかせ――オクマーマの体を、思わずナイフでザクザクと切り刻み始めてしまったのだ!




 マユミに通報してもらった後、そろそろ本体の方へ魂を戻らせようとしていたシッポのオクマーマであったが……突然、死ぬほどの悲鳴をあげてしまう!


「アアーーーッ!」

「どっ、どうしたのっ⁉ オクマちゃんっ!」

「痛いっちゅーーーーーー!」

「オ、オクマちゃんっ……、あっ、あああっ……」


 目の前で、オクマーマのシッポが死ぬほどの悲鳴で痛がっていても、なにもしてあげられないマユミ。なすすべなく、泣きながらシッポを包むことしか出来ないのであった。




 悪人たちは切り刻まれたオクマーマの本体を地面に叩きつけ、足でグリグリと踏みつけて怒りを爆発させる一途であった。


 もうその頃には、シッポのオクマーマは地獄の痛みで気絶してしまうのであった。声が止まり、ピクリとも動かなくなってしまう。




 そして現場では、警察に追い詰められた悪人たちがさらに自暴自棄となり――切り刻まれたオクマーマの体の中にダイナマイトを詰め、火をつけて警察の方へ投げつけてしまった!


「危ない!」


 思わず盾を構える、警察の機動隊。

 飛んできた、ダイナマイト詰めのオクマーマは――空中で大爆発! 


「うわあっ!」


 体がバラバラになり、火がついたオクマーマの首、手足、細かい部位が、盾に当たって跳ね落ちる!


 そこから悪人たちはさらに抵抗しようとするも、武器はもう切れてしまっていた。機動隊は突撃し、現場の悪人を無事に全員逮捕したのである。




 それから――燃え尽きたオクマーマ本体の灰は、マユミの元にあるシッポへ自動的に集結した。


「あっ、これはっ⁉ も、もしかして……オクマちゃん本体の灰なのっ⁉」


 マユミはオクマーマに聞いていた話から、その灰をシッポと一緒に静かな場所へ丁寧に安置するのであった。




 それから時間経過と共に、だんだんとオクマーマの姿に修復されていくのを目の当たりにしたマユミ。


(ほ、本当に……。オクマちゃんは……不死身なんだ……)


 そして数日で完全修復され、気絶していた自我も目覚めるオクマーマ。


「うう~っ。また復活したっちゅ……」

「オ、オクマちゃんっ! よ、良かった~っ!」


 完全復活したオクマーマを、涙目になりながらおもいっきり抱きしめるマユミ。


「じ、事件は……。どうなったっちゅか?」

「オクマちゃんのおかげで、無事解決したわよ!」

「そうっちゅか! 良かったっちゅ!」

「で、でも……。私、オクマちゃんのあまりにも悲痛な姿が……もう見ていられないわっ! いくら正義のためでも、あんな危険なことはもうやめてっ!」

「マユミおねーちゃん……」


 オクマーマは、自分を大事に思ってくれているマユミの心が本当に嬉しかった。

 それでもオクマーマは『自分しか出来ないことだから、やるしかない』と、マユミに言うのであった。


「じゃ……せめてっ! せめてオクマちゃんが、痛みを受けずに済む方法を第一に考えてほしいわ! お願いっ!」

「わかったっちゅ。なんとか、考えまちゅ!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ