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いつもの仲間と異世界道中!  作者: ミドリムシ
学園編
46/70

第四十四話 監禁


そして考えるがやはり出てこず、第2回戦の時間が迫って来たので戻ったのだった。


『2回戦の第1試合は一条選手対セリヌッス選手です!1回戦ではどちらも華麗な剣術をお見せしてくれました。次の試合はどのような展開になるのでしょうか!期待の1戦です!』


宮本がテンションを上げて盛り上げるように言うが、生徒の反応は薄かった。だが試合自体には興味があるようで舞台上にいる2人をしっかりと見ていた。


宮本は次は佐東の番だ、という風に隣にいる佐東を見ると腹を抱えて蹲っていた。


「どうした?我慢できないなら行ってきてもいいぞ?」


「ごめ…もう…無理。逝ってくる」


「ん?今なんか違う意味に聞こえたような…佐東!そっちにトイレは無いぞ!!」


佐東は既に限界に達しそうだった。立ち上がったはいいが足が小鹿のようにプルプルと震えていた。間に合えよ、と宮本は心の中で思って見送った。


宮本は視線を舞台上に戻した。今は一条とセリヌッスに審判の先生が注意事項などの説明を行っている最中だった。直樹がその先生を見るとヘンリーだった。そしてそのヘンリーを見ながら、第1回戦でも行っていたからもう説明しなくても良いのでは?と考えていた。だが、一応毎回するのが鉄則らしい。


「それでは殺すような行為は避ける様に。互いにいいか?」


「問題ありません」


「無論だ」


審判が最後の忠告をし、10m程間隔を空た場所にいる一条とセリヌッスは頷いた。それを確認してから審判は開始の合図を出した。


「それでは試合始め!」


合図と供に2人は走りだし間合いを詰めた。


『両者速いぞ!お互いに様子見などせずに一気に決着を着ける気か!!』


そして舞台の中心で2人の片手剣と細剣がぶつかり合う。筋肉がありあまり早く動けなさそうに見えるセリヌッスの方が先に突く。一条はそれを受け流したり避けたりと動き回る。


「出し惜しみは良くないよね」


「なっ!」


『おっと!一条選手は身体強化魔法を使ったのか!体が輝いて見えるぞ!早い!セリヌッス選手が押され始めている!』


一条が避けながら呟いた瞬間に動きが早くなった。一条は直樹達のような身体強化魔法を使ったのだ。だが、彼の場合は無属性が無かった。そこで代用したのが光属性だ。これは直樹達が身体強化を見せたら教えて欲しいと言われたのでなんとか考え付いた方法だった。直樹が「光って回復あるじゃん?それって用は筋繊維とか骨とか魔法で回復させてるってことは魔法自体はながせるんじゃね?」と考え付いてそれからいくらか検証を重ね、光属性の身体強化魔法が出来た。


それにより今度はセリヌッスが守勢に回った。しかしセリヌッスの細剣では武器で防御するのは難しく、躱すことしか出来ない。その状況でも躱しながら反撃をしているだが一条はそれよりも早く動くため捉えきれなかった。


「これで!!」


「甘い!───サンドバンカー!」


『一条選手が止めを刺しに行くが、これは上手いタイミングだ!見事に相手の体制を崩すことに成功したぞ!この後はどうする!』


一条が止めを刺そうと思い踏み込んだ瞬間、足場が砂になり体制を崩した。


セリヌッスは土魔法を使ったのだ。直樹達が遊び半分で創った魔法だが…


劣勢であっても最後まで諦めず冷静に対処していた証拠だ。止めと言わんばかりにセリヌッスが細剣を突きだそうとするが相手は更に上にいっていた。


「こっちの台詞だよ。───アイスロック!」


『一条選手はまだ諦めていなかったぁぁぁぁ!!どんでん返しだ!凄いぞ!流石勇者だ!』


一条も魔法の準備をしていた。これも直樹達が暇な時に創った魔法だった。ちなみに一条やセリヌッスが無詠唱で唱えているがそれは小声で今まで唱えていて聞こえないようにさせ、魔法を待機状態で保持していたからだ。待機状態にできるのは実力次第であるが2人とも1つは可能だった。


相手を拘束する魔法であるため対人戦では有効ではある。そのお蔭でセリヌッスの首から下は氷付けにされていた。一条はゆっくりと近付き剣を突き付けた。それにセリヌッスは1つ息を吐いてから声を出した。


「降参だ」


「勝者イチジョウ!」


『勝者は一条選手だ!良い試合をした2人に盛大な拍手を!!』


生徒達は宮本に従うのは癪だが確かに良い試合ではあったので1人が拍手すると周りが釣られる様に拍手し初めて行った。一条はその声や拍手を聞いて魔法を解除しセリヌッスと握手していた。


「いい試合だったよ。またやろうね」


「こちらこそまたお相手願いたいところだ」


『はぁー。面白くない試合だったな。何だ?我が物顔で俺達が創った魔法を使って。それで勝てて満足か?お前らはちんけなやつだな』


馬鹿にするような声が響いた。その声はこの2日間聞いたことがある声であった為に全員が宮本と佐東がいる方を向いた。


宮本は首を横に振って否定を表していた。それは誰もが認めていたからもう1人の人物だと思い隣に全員が目を向けたが誰もいない。だがもう1度その声が響いた。


『そっちじゃない。弱者どもが俺を見つけるのは難しいだろうからヒントをやろう。今見てる場所から真逆の方を見てみろ。』


そして宮本から真逆の方、つまり反対側を見るとそこには佐東がいた。ただここで黙って見るだけじゃない者がいた。昨日怒っていた教頭だ。舞台上に登って佐東の方を向いてから言った。


「これは何の騒ぎだ!今すぐ止めんか!」


他の生徒達は教頭を見てから昨日何て言っていたかを思い出し、ある1人が佐東に向かって言った。


「お前ら何か退学しろ!!」

「黙って聞いてりゃお前達の方がカスだろ!!」

「本当に最低よ!!」

「「「「たーいがく!」」」」

「「「「たーいがく!」」」」


直樹達はこの状況を何とか静めようと動こうとしたが遅かった。そして直樹達は佐東にもうこれ以上煽るような事はしないでくれ!と願いながら見ると何故か口の端がニヤッと上がった様に見えた。そして…


「良いだろう!こんな学園こっちから願い下げだ!!」


と高らかに言い切った。それを聞いた教頭は怒り心頭といった表情で言葉を発した。


「君はもう退学だ!!さっさと出て行きなさい!!それと、昨日そいつを庇ったやつは何処にいる?そいつも退学だ!!」


佐東はそれを聞いて闘技場の廊下に消えていった。良平は愕然としていて状況の整理が出来ていないようだった。


直樹が初めに動きだし、宮本と智哉と合流し教頭のところに行って何とか取り消して貰えないかと懇願した。が、勿論上手く行く筈もなかった。


「そんなに庇うなら君達も退学だ!さっさと出て行け!」


そう言われて直樹達3人も退学扱いになり、良平を回収して闘技場から立ち去った。こちらを見てきたアルフィンには頭を軽く下げる事しか出来なかった。


良平も復活をして状況を整理して歩いていると、廊下でやたら幸福そうな顔をしていた佐東を見つけたので直樹が問答無用で詰め寄った。


「お前のせいで退学だぞ!自分が何したかわかってんのか!!」


すると佐東はキョトンとして、直樹の後ろにいる宮本達を見るが怒っている表情だった。


「ちょっと待て。一体何の話かわからないんだが」


「すっとぼけてんじゃねぇぞ!まず謝れや!」


直樹が怒鳴りながら言っても佐東は疑問を浮かべていた。


「まず退学の意味がわからん。俺は今までトイレでお腹と格闘していただけだ」


「「「「は?」」」」


直樹達は胡散臭そうに佐東を見ているが、佐東の目は真剣そのもので嘘を言っているようには思えず首を傾げる事になった。


「いや、でも実際に佐東が言ってたしな…」


「ディスペル!」


宮本が佐東に魔法とかが掛かっているかも知れず確認するため魔法を使った。


「何故使った?」


しかし佐東の反応は変わらずに頭を悩ませる事になる。結果ここにいつまでいても仕方ないから寮に戻って取り合えず落ち着ける場所に行こうという話になった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~


寮に戻ってそれぞれの部屋に入り良平に荷物を回収して貰って準備が出来たので入寮以来世話になっていたメリダにお礼などを言った。


「達者でね。何故かここ数日あんた達の悪評が増え始めてるから気を付けなよ」


「メリダさん色々迷惑を掛けてすみませんでした。そしてお世話してくれてありがとうございました!」


「「「「ありがとうございました!」」」」


そうして学園の門から出てここに来る前に泊まっていた『ポカポカ亭』に行き、取り合えず10日間で取り、さっきの事とこれからの事を話し合った。


「うーん、で原因は一体何だったんだ?」


「これはあくまで仮説だけどいいかな?」


良平が4人に確認するように言うと全員が頷き話始めた。


「多分今回のはそれなりに計画されてた事だと思うんだ。佐東の一件があるでしょ?まず佐東がいないことが前提じゃないとあんな行動しても無意味だ。そして佐東に化けるあれは多分幻覚や幻術の類いの魔法の可能性とか、スキルという可能性もあるよね?それでなんだけど宮本ってさっきの佐東を見たとき"魔眼"を使ってたよね?」


「ああ。佐東にしては言い方がちょっと違って魔法で化けてるのかと思ってだな。だが魔力は使われていなかったぞ?」


宮本の"魔眼"は魔力を見ることが出来るだけだが、魔法を見破る事もできたのだ。


「じゃあスキルかな。それだと俺達と同じ召喚者の可能性が高いね。そんな人に変身する事が出来るスキルを持ってるのは召喚者位しか予想できないし、召喚者なら前に直樹を狙ってきたように俺達を狙ってきても不思議じゃないからね。ただ声はどうやって変えてたんだろうね?」


「それは魔道具じゃないかな?」


智哉が可能性のあるものを挙げる。


魔道具とは魔力を用いて様々な事が出来るようにしたものだ。様々な事と言っても用途によってバラバラではある。部屋のランプなど魔道具で出来ているものが多い。


「でもさっき宮本が魔力は見えなかったんじゃないのか?」


直樹が先程聞いたことは矛盾すると指摘すると良平が他の者を例に出した。


「じゃあ薬とかあるんじゃない?」


「あー、異世界ファンタジーだもんな」


これには直樹も納得できる部分はあり頷いた。


「でもそれなら誰がこんなことを?一条達では無いしさ…」


召喚者までは絞れてもそこからは誰か絞れなかった。


そうやって考えて話合っていると外は暗くなっており腹も空いてきたので宿の食事場に向かった。そして夕食を食べて風呂に入って5人でもう1度話すが精神的な疲れもあるせいか次の日にしようと言うことで本日はお開きとなった。


しかし次の日の朝も話し合いながら朝食を食べるが全然思い付かずモヤモヤした気分になったので森に行って狩りをしてストレスを吹っ飛ばそうとした。


夕方になり宿に戻り夕食を食べて、風呂に入り寝て明日の朝は久し振りに依頼でも受けようという話やランキング戦は誰が勝ったのか話をしてからそれぞれの部屋に戻り寝た。


翌日、朝食を食べてから冒険者ギルドに向かって中に入った。すると騎士達がいて直樹達を見つけるや否や近付いてきて、何か紙を前に突きつけられた。


「罪人である『グオノット』を捕縛する!」


突き付けられたのは罪状だった。


内容は場所はキリヤ学園で先日のランキング戦の時に直樹達『グオノット』が会場で暴れ、アルフィン=ネムスレッド=テラーブル第1皇子を殺害した容疑で逮捕する、という物だった。


直樹達は「そんな事はしていない!」や「アルとは友達なのに殺す訳無いじゃないか!」と訴えたが騎士達は聞く耳を持たずに直樹達に告げた。


「証人は沢山いるし、生徒達に聞いても「あいつらならやっても不思議ない」と言っていた。分かったなら大人しくしろ!」


直樹達は驚きで動きが止まり捕縛され騎士達に連れられて監禁されるのだった。



なんとかしっかり書けたと思います。

そして全然出てこなかったキャラを出して見ました。


次回更新は2月9日の20:00頃を予定しています。

できれば明日に投稿したいのですが時間が厳しいです…



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