第三十四話 学園生活
間に合った…
明日の授業の準備をしてからベッドに横になったであった。
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~674年、水の月、第11日~
学園に入学してから10日間が過ぎた。特に何も変わり無く過ごしているだけでこれと言った問題は無かった。ただこの学園は6の倍数の日が休日で、その時に学園を出たいと思い前日から申請をして出ていってスラリンのレベル上げをしたことが一番直樹達にとっていい思い出だった。
なぜかと言うと一条達と決闘を行ってから翌日学園にて、アルフィンの勧誘では無く直樹達の勧誘になったことが直樹達自身も想像していなくて辟易としていたのがアルフィンにとっては笑い話だろうが直樹達にとっては堪ったものでは無かった。
また決闘で直樹達の実力を知ったSクラスの生徒の反応はあまり芳しい物では無かった。彼、彼女達は直樹達を遠巻きに見ながらヒソヒソと話しているのだ。直樹達がその話している方を見るとビクッ!として震えるため怖がられているのだと判断出来たがSクラスの者達ですら畏れられる俺達って一体と言うのが直樹達の感想であった。
だがそんな直樹達に変わらず接してくれる者がいる。それは───
「ねぇ、今日の組手の相手頼んでもいい?」
ビビだった。彼女は何故か直樹達を恐がらず普通に接してくれた。理由を訊ねると、「あんた達がただ暴れる獣ならともかく普通に話せる相手を怖がるとか無いから」と返された。直樹達にとってそれは嬉しく思っていた。
「今日は誰とやりたい?」
直樹がそうやって訊ねるとビビは笑って答えた。
「勿論リョウヘイに決まってるじゃない」
これには訳があった。
まず直樹が組手を組んだ時だが、直樹が加減をしたつもりでも意味がなく思い切りビビを吹き飛ばしてしまいビビのトラウマになったらしかった。
宮本は組手をしながら教えるのだがそこまで上手く教えられずに微妙な雰囲気になってしまった。
佐東は組手をしっかりするのだがお互いに無言になるので空気が重たいらしく合わないなと言われて終わった。因みにその後に寮の部屋で膝を抱えて蹲っていたと智哉から直樹達は聞いていた。
智哉はあれだ。パートナーとなる相手がいるから女性と二人きりはちょっと…ということで組手は遠慮していた。直樹達はこの時「「「「リア充爆発しろ!」」」」と叫んだとか叫んでないとか…
それで良平だが……良平は戦闘経験が一番少ないが戦闘の要点をしっかり押さえてるため一番組手相手として助かるのだとか。ただスパルタなのは言うまでもない。
「だよなぁ~。んじゃ今日の武術授業の時は宮本とでもやろうかな~」
と直樹が言うとそこに待ったをかけるものがいた。
「直樹君は僕とやらないか!!」
それは決闘で敗北した一条だった。
「嫌だ」
「僕は考えたんだ。君達が拒否をするのは僕達のことをあまり知らないからじゃないのか、と。だから少しずつ君達と距離を縮めていきたいんだ。どうかな?」
「めんどい。って言うかそもそも拒否した理由なら話しただろう?俺達はお前達と一緒にいるのが恐いんだって。お前達が俺を殺そうとした奴じゃない事は分かってる。お前達は弱いからな。だけどそれは知ったこっちゃない。ただ同郷の者が襲った、その事実だけでお前達は危険なんだよ。分かったか?」
直樹が一気に捲し上げるように言うと、一条達も気をされたように言葉が詰まり顔を俯けるだけだった。
「そんじゃ諦めるこった。しっし」
追い討ちを掛けるように直樹が言うと一条達はトボトボと席に戻っていた。
「直樹が悪役に見えて堪んない」
「どっからどう見ても悪役だろ」
「お似合いだ。プッ」
「否定できないね…」
「おい、悪役に失礼だろう。あんなやつクソ以下だ」
「お、お前らなぁ~!!」
直樹がアルフィンを含めた良平達に怒ろうと席を立った時にチャイムが鳴り、同時に担任のマリアが入ってきた。そしてマリアが直樹の方を向いたと同時にチョークを眉間に投げてきた。
それをいつも通りに止める。そしてもう何度目かという質問をする。
「何で俺にいつもチョーク投げるんすか?」
「お前が何かしてると思うからだ」
「なんで前提で投げるんすか!?」
「いちいち確認を取ってから投げるとか馬鹿のやることだろう」
「だからって急に投げるのは先生としてどうなんすか!?」
「所詮チョークだ」
「何を投げたって問題でしょう!?」
「いつも煩いな。まぁいい号令!」
すると学園2日目に委員長に決まった眼鏡をかけた灰色の短髪の青年、キルロが声を出した。
「起立!礼!着席!」
いつも真面目なキルロとその制服を直樹は見ていた。
この学園の制服は緑が主となっていて他の部分には白が多少用いられていてブレザーになっている。中にはYシャツを着て男子はズボンで女子は膝丈のスカートで模様はチェック、色はグレーと緑となっていた。この世界にチェックがあることを初めて知ったが学園に創始者が異世界人っぽいのでそれが関係していると思った。だがその制服を着ていない生徒もいた。それは貴族を中心とする者達だった。
そもそも制服は着ても着なくてもいいらしい。着る必要がある時は学園から連絡があるそうだ。ただ殆どの生徒がこの制服を着ている。理由は制服は戦闘での耐久性もバッチリで、動きやすくできている。その為に制服の仕立てが遅れ入学式が終わってから配布されたらしかった。
そしてその制服の首元にバッジが付けられている。始めそんな説明も無く箱に入っていたので直樹はいらない物か判断に迷っていると良平達が部屋にやって来てどうするか迷い、保留となった。次の日マリアから説明があり、それはクラスバッジらしくよくよく見ると「S」と描かれていた。これは重要なものらしく首元に着けて無くすなよと念を押して言われたため今もしっかり首元に着けてある。
そんな制服を直樹達も着ている。制服よりも上等な服を持っていたがやはり学生は制服でしょ!という意見に纏まり制服を着ることとなった。アルフィンも直樹達に合わせて制服を着ている。アルフィン曰くどちらでも良いがみんなと同じ方が良かろうとの事だった。この時に直樹達がアルフィンをからかい、『ライトニング』を使われるという事態に陥ったりもした。
今はマリアの授業、世界史という奴なのだが…
「まずは前回の授業のおさらいだな。なんで674年前に暦が始まったかだ。これはまぁ常識だからな。初代勇者が魔王を倒した年からとなっている。このクラスにも勇者がいるようだが、魔王を倒した後に暦は出来ずに終わるだろうが名は残るだろうから気にするな」
「改めて言われなくても理解してますよ…」
「ハッハッハ、すまんな。まぁそれでも頑張って魔王を倒してくれ。それで1年目に何が起きたかというとだな、教科書の13ページを開いてくれ。そこにはここ、ラスウェル王国が出来たと書かれている。それで………」
と授業は進み、直樹がウトウトしだして睡魔に負けて目を閉じた時だった。
額に物凄い衝撃が走り直樹は飛び起きた。
「て、敵襲か!?」
「お前!私の授業でなに寝てるんだ!」
「う、すみません…」
今回は自分が悪いと思い素直に謝って座るった。そして机の上を見るとそこには白い粉や破片があった。
周りのアルフィンや良平、いつもは遠巻きに見ているだけの生徒も直樹の方を見て笑っていた。
そして痛む額を手で触ると白い粉が手に着き、直樹は自分の額に何が当たったか即座に理解した。
「チョークかよ…」
小さい声で呟き窓の方を見てハァと溜め息をついてから机と額を綺麗にした。
そして
「まぁこういう生活も悪くねぇなぁ。けどやっぱ他の生徒とも仲良くしてぇよなぁ…」
と言って授業の話を集中して聞こうとした。だがもう一度同じ事が起きたのだった。
次回更新は1月26日の20:00頃です。
訂正です。
授業の話を集中して聞こうとするのだった。
→授業の話を集中して聞こうとした。
に変えます。




