第三十二話 巻き込まれ
少し遅れましたすみません!
直樹達はそんなアルフィンを黙って見ることしかできなかった。そして出来れば友達でいたいなぁと思うのだった。
「僕はいけない事を言ってしまったのか?」
一条は直樹達の反応を見て苦々しそうにそう呟いた。柳室はそんな一条を気遣って声を掛けた。
「仕方無いよ。だって知らなかったことだったんだもん」
「いや、でも…」
一条はずっと戸惑っていた。しかし他の3人は割り切っているのか関係無いという顔で佇んでいた。
しかしその空気も長くは続かなかった。何故ならアルフィンが口を開いたからで、直樹達も張り詰めた雰囲気になった。
「成る程な…全てに納得がいったぞ」
何故か頷いた後に清々しそうに言うアルフィン。直樹達はそんなアルフィンが疑問でならなかった。アルフィンもそれは理解していたのか説明をしてくれた。
「別に俺はナオキ達に怒っている訳じゃないぞ?誰にだって言いたくない事はあるものだからな。ただ今までのナオキ達、特にナオキの異常性をずっと考えていたが分からなくてな。お前達が召喚者と聞いて納得が言ったという訳だ」
直樹達はそれを聞いて全員が安心してホッと一息を着いた。あの、佐東も安心するということはやはりアルフィンはこのメンバーに馴染みつつあったのだろう。
「よ、良かったぁ。俺達結構焦ったんだぜ?召喚者だからアルフィンに近付いたとか思われるんじゃないかって」
「あぁーそんな事思いもしなかったな。そもそもお前達にそんな真似ができるとも思わんが」
「俺達だってそんぐらい出来るっての!」
「ほぉ。じゃあ今までのは全部演技だったのか。俺は悲しいな…」
「それは違うんだよ!」
「ハハハ。今回は俺の勝ちだな」
「チキショー!負けたー!」
「そもそもそんな勝負いつから始めてた!?」
直樹とアルフィンは笑い合いながら言い合ってその姿は誰から見ても仲のいい友達同士にしか見えなかった。そしてやはり智哉のツッコミが入った。
「あのぉー、僕達を忘れないで欲しいんだけど…」
躊躇いがちに一条が話掛けてきたが今の直樹達が止まる筈も無く、空気のように一条達は扱われた。これには山上が我慢ならずに怒鳴り声を上げた。
「お前らいい加減にしろよ!こっちが下手に出りゃいい気になりやがって!」
「ちょっと健人!落ち着いて!」
「輝止めるな!俺は我慢ならねぇんだ!」
しかし、怒鳴られて我慢できるものと出来ない者がいた。そう、直樹と佐東だった。ここでいつもなら宮本も入るのだが、宮本は今回傍観に徹した方が面白そうという理由から身を引いていた。
「おい。今俺達は楽しんでんだよ?邪魔するっていうなら高く買うぞ?」
「喧嘩売るなら殺っちゃうぞ?」
しかも2人の言葉に殺気付きだ。もう既に学生レベルを越えている2人からの殺気に王宮でぬくぬくと育ってきた温室育ちの山上が勝てる筈も無く、押し黙るだけとなった。
2人は山上だけに殺気を放っていたので一条達はただ山上が言い負けただけだと思っていた。そうして空気が悪くなると一条が話を戻そうと直樹達、というよりもアルフィンに話掛けてきた。
「河内君達とアルフィン皇太子の関係性が気になるけど、今はその話をしに来た訳じゃないんだ。アルフィン皇太子、僕達召喚者と供に魔王討伐に力を貸してください」
それにアルフィンは迷惑そうな顔をしながら直樹達の方を見た。直樹達はどうするんだ?という風な顔で見返したがその時にアルフィンの口角がニヤっと上がったように見えた。そしてアルフィンが一条に返した。
「私も皇太子だからな…うむ。ナオキ達よりも強いと言うのなら安全だと思えるからな。ナオキ達よりも強いなら力を貸してやってもいいぞ」
「っておい!アルフィンそれって俺た「河内君達より強いと証明すれば良いんですね?」はぁ…これ戦う的な展開になるの間違い無いじゃん…」
「面倒臭いな…直樹だけで戦ってよ」
「俺も今回は傍観で」
「俺は手伝う」
「どっちでもいいね」
直樹達は直樹と佐東が戦うみたいな雰囲気を出していた。一方、一条達は
「アルフィン皇太子、その条件で本当に良いんですね?」
「構わんぞ。そちらもその条件でいいんだな?」
「ええ。構いません。みんなもいいかな?」
「しゃーねぇーな。輝の為にも手伝ってやるか!」
「2人だけにやらせる積もりは無いぞ」
「私は足手まといになるかも…」
もうヤル気満々になっていた。
そして一条とアルフィンは直樹達の方を向き言った。
「「決闘だ(よ)!」」
「やっぱりか…」「頼んだよ」「見応えあればいいな」「殺ってやろう」「俺出るのかな?」
と慣れたような反応をし、内容を聞くことにした。
「僕達が求めるのは、アルフィン皇太子の協力だね」
「私が求めるのは、勧誘をしないことだな」
「俺達のメリットは?」
「僕達は何をすればいい?」
「疑問に疑問で返すなよ…そうだな、俺達とは金輪際最低限関わらないことかな。おっとそんな目をするなよ。理由があるんだよ」
一条は悲しそうな目を向けてきたが直樹達も理由があるので引けなかった。大きな理由は以前弓で射られたことで一条達が関係していると決まっている訳でも無いんだが…
「俺はお前達にしてやれることは無いぞ?」
「お前は友達だから手助けしてやるよ」
「フッ、せいぜい期待させてもらおう」
「期待して待ってろ」
アルフィンと直樹は拳を打ち付けあった。そして再度一条達の方に向き挑発した。
「誰と誰がやる?俺と佐東で相手してやるよ」
「あ、俺は出ない方に決まったのね」
「ごめん智哉。今回は正直言って俺だけでも大丈夫だと思うけど佐東もやる気だしさ」
「いや、全然構わないよ」
この話を聞いていた一条達は直樹の目論見通りに苛ついたようで、あっさりと乗ってきた。
「僕達は4人全員でやらせて貰うよ。これで負けても文句は無しだよ?」
「勿論さ。むしろこっちこそ2人はでごめんな。1分持たねぇかもだわ」
「それは河内君達が1分掛からずに負けるって意味かな?」
「どうだろうな?」
「直樹、それブーメランだよ。疑問に疑問で返してるよ」
「うぉぉぉぉぉ!!しくったぁぁぁぁ!!」
「「「「うるさい!!」」」」
「いったぁ!酷い!暴力反対!」
「あー、はいはい。このバカに構ってると時間が足りなくなるから、それで一条君はいつ決闘する?」
「できるだけ早い方がいいと思ってるから今日学校が終わり次第、訓練場借りれないか誰かわからないけど担任の先生に聞いてみようと思ってる」
「こっちはいつでもいいから。おっとそろそろ先生が来たんじゃないかな?あ、あとこれからは俺達の事を下の名前で呼んでくれ。頼んだよ」
「「「「??」」」」
良平が言うとアルフィンや一条達は頭の上に"?"を浮かべながら首を傾げていた。
すると教室のドアが開いた。そこにいたのはいかにも怠そうにした出る所はしっかり出て締まる所はしっかり締まってるグラマラスな眼鏡をかけた女性が入ってきた。手には立方体の箱を大量に抱えていた為そちらの方に目がいくが、それでもその体型は見事だった。
そしてその女性が教壇の前に行き箱を置くと口を開きそうになったので良平がサイレントの魔法を切った。
「お前らー!席に着け!これからの日程やそれ以外の説明をするぞ!」
そう言われて一条達は直樹達とは逆サイドの席に座り、他の生徒達も席に着いた。
「よし、全員座ったな。まず私はこれからお前達のクラスの担任を勤めるマリアだ。よろしく頼む。」
「似合わない名だ…」
直樹が小声で呟くと前方からチョークが飛んで来た。直樹はそれを人差し指と中指で挟んで止めたが、他の人は殆ど気付いていないようでマリアの方を向いていた。
直樹は冷や汗をかいて、黙ってマリアの話を聞くことにした。
「それじゃこれからの日程だが1月後には1年生だけのランキング戦がある。それに向けて授業は主に武術と魔法が組まれている。まぁSクラスのお前達なら余裕だろう。他の授業も世界史や算術、薬学、錬金術などと言った授業があるからな。授業時間が1つあたり60分でそれが6時間行われるからな、覚えておけよ。そしてこれが教科書と制服だ」
そう言ってマリアは箱を1人1個ずつ配り始めた。人数は23人と入学式の時に見た人数300人程に比べると明らかに少ないので他のクラスよりも少ないことが予想できた。
「その箱は1度開けるともう同じ効果は使えない魔道具だからな。初代学園長が大量に作っているお陰でまだあるが今は開けないで置けよ。寮に返ってから開けるように。わかったな!」
「「「「「はい!」」」」」
「よし!後は特にすることもねぇんだよな他のクラスはまだやる必要があることがあるけどSクラスは以上に少ねぇんだよな。何かしたい事はあるか?後1時間で今日の時間は終わりなんだが…」
「はい!」
「ん?ああお前は今日新入生代表挨拶をしたイチジョウだったな?なんだ?」
「はい!僕達とかわ…じゃなくて直樹君達と決闘をさせてください!」
「決闘だぁ?何故だ?」
そう聞かれて一条が先程の内容を話した。
「面白そうだな!よし!私の権限で第一訓練場を借りてやるよ!それじゃお前らは第一訓練場に集まっとけよ!」
生徒の中には不満を言う奴もいたが、他の生徒は好奇心などで動き出したので結果動き出した。
そうして直樹達と一条達の決闘が決定した。
次回の更新は1月23日の20:00です!
決闘の行方は如何に!?
訂正です
正方形の箱 → 立方体の箱
にしました。




