ジーザス
ショクブツ達を蹴散らすボートを見つめるアラン。すると一部のショクブツがこちらに気づいて迫ってくる。ボートに夢中なアランはそれに気づかない。「危ない!」という、タケルの叫び声で我に帰るアラン。アランの視線にショクブツのツタが突然現れる。思わず目を瞑り身構えるアラン。発砲音が聞こえ目を開けると、刀を携えたベックと銃を構えたアランの姿が映る。ベックの持つ刀は刀身が青白く光っており、電気を帯びていた。ベックが柄を軽く叩くと、頭の部分から電池が放り出される。「やるじゃないか」とベックに語りかけるカート。ベックは「水辺じゃ扱えねえ」と吐き捨てる。ショクブツ達は湖の浅瀬を走りながらアラン達に襲いかかってくる。カートは的確で素早い射撃でショクブツ達を粉砕していく。
「何が起きてるんだ、、」とボートを操作しながら呟くシモンズ。「兄様!岸でショクブツと戦う人影が!」と機関銃を操りながらハンナが叫ぶ。シモンズは舵輪を勢いよく回し、アラン達の方へと舵を切る。
ショクブツ達と交戦を続ける、カート、アラン、ベック。「ボートがこっちに向かってくるよ!」とユースが叫ぶ。「チャンスだ!」と叫ぶカート。ボートとアラン達に挟み撃ちされるショクブツ。ベックは、刀に電池を装着し直し、出力を上げる。すると刀が眩しいほどに青白く光る。ベックは
電気を帯びた刀を逆手持ちし、助走をつけてショクブツに投げる。刀がショクブツに刺さると、刀を中心とした2メートルほどの範囲に大きな衝撃が起こる。まるで落雷が落ちたかのような衝撃によって、ショクブツ達が倒れていく。範囲外にいたショクブツ達は機関銃で一掃され、村への脅威は去った。
ボートがアラン達に近づき、「あなた達は、村人ではなさそうですね」と語りかける。「なぜ旧時代の武器を持っているのですか?」と冷静に力強く質問する。
ベックは「挨拶もなしに、いきなり質問か?」と、怒りの表情で問いを返す。シモンズは冷静に「失礼しました。気が動転していまして、」と答える。「私はシモンズと言います。後ろにいるの彼女はハンナと言います。」と淡々と話すシモンズ。「俺はカート!よろしく!」と元気よく語りかけるカート。「ほらベック君、相手もちゃんと名乗ったんだし、自己紹介ぐらいしたら?」と戯けてベックに絡むカート。ベックは「今、俺は虫のいどころが悪いんだよ」とカートを払いのけて車に戻る。
「俺達を村まで連れてってくれ!」と叫ぶアラン。「ショクブツは去ったが怪我人とか、助けを求める人がいるかもしれない」とアランは必死の形相でシモンズに訴える。「本気で言っているのか」と呟くシモンズ。「現実を受け入れてください。私達は火を消すために村に行きます。ここら辺は"緑の自然"が残っている貴重な地ですから。」とシモンズは冷たく言い放つ。動揺して顔を曇らせるアラン。
するとカートが、割って入るように「頼む連れてってやってくれ」と真剣な趣でシモンズに語りかける。シモンズはカートの目を見つめた後、「あなたも来るならいいですよ」と願いを聞き入れる。アランとカートが、ボートに飛び乗ろうとすると、タケルが「俺も行くぜ!」と同行しようとする。するとカートが「セレーナと見張をしていてくれ」と優しく静止する。「でも、、」と言うタケルに「セレーナはショクブツを見るのが初めてなはずだ。お前が付いていてやれ」と言うカート。タケルは「分かったよ」と渋々了解する。
「行くなら、早くしてください」と声をかけるシモンズ、「今行く。」と応え、二人はボートに飛び乗った。アランがボートに乗り込み振り返ると「俺も行く。」と仏頂面のベックがボートに足を踏み掛けていた。「別に構いませんよ」と愛想の無いシモンズは、ボートを発進させる。
走り出したボートの上でカートはアランに語りかける。「前もって言っとくが、この先は地獄だ。」とカートは話す。アランは「それでも俺は」と呟き、「救える命があるかもしれない、その可能性が少しでもあるのなら、諦めたくはないんだ。」と力強く言い放つ。
「助かってる人なんているわけないのに、」と呟くユース。すかさず反論するタケル。するとアルがタケルの胸ぐらを掴み「どう見たって、助かっている人間がいるわけがないだろ!」と叫びかかる。「アル!」と叫ぶユースの声で「悪いな、つい、、」と我に帰るアル。「俺たちは、襲われた村をいくつも見てきたんだ、、」と話すユース。「それに、アルと兄貴の村はショクブツ達に襲われて、、」と続けて語るユース。「生き残ったのは俺と兄貴だけだ」とアルが呟く。
村に上陸したシモンズとハンナはすぐさま消化活動を始めた。カートが「あんた、あの二人の手伝いをするのは好かないだろう?」とベックに語りかける。「だったらなんだよ」と返すベック。「カートについて行ってくれ!」と明るく話すカート。「なんで、ガキの子守をしなきゃならねーんだ、、、ってあいつどこ行った?」と呟くベック。気がつくとアランは、生存者を探しながら、炎の中を走っていた。「あいつ、死にたいのか!」と叫び、アランを追いかけるベック。アランは村の中心部に着く。助けを求めている人がいないかと周囲を見回すアラン。しばらくして、ベックが追いついてきた。「お前なぁ、、」とベックがアランに駆け寄り声をかける。すると、アランは周囲の悲惨な光景に耐えきれず、嘔吐をしてしまう。「ったくしょうがねえな」と気だるそうに呟くベック。
そうこうしていると突然「生き残りか?それとも後に来た奴らか?」とどこからか声が聞こえてくる。二人は慌てて周囲を見渡す。すると一人の少年が炎の中から現れてくる。すぐさま睨みを効かせ、刀を構えるベック。「勘違いするな。俺は後から来た身だ。」と少年は呟く。「お前もよその村から来たのか?」と警戒しながら尋ねるベック。少年は鼻で笑いながら、腕に装着したアーマーに電池を装着する。ベックは舌打ちをしながら刀に電池を入れ、少年に飛び掛かる。