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トレジャーハント~未開の地は金の香り~  作者: よちゃ


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13/13

はじめての仕事end

町に戻った三人は、その足でまっすぐトレジャーハンターギルドへと向かい、ギルドマスターの元へ報告に赴いた。

引きずってきたグラスラバットの巨体を改めたギルドマスターは、目を丸くして唸った。

「……間違いない。これはレッドコウモリの変異体だ。こんな個体、これまで誰も見たことがないぞ」

ギルドマスターは表情を引き締め、三人に深々と頭を下げた。

「中位魔法すら跳ね返すような危険個体が潜んでいたとは……完全にこちらの調査不足だ。Dランク程度の依頼で受けていい相手じゃない。本当にすまなかった」

謝罪するギルドマスターに対し、ジェイ・ジェイは豪快に笑い飛ばした。

「ハハッ! 気にするなオヤジ! 無事に全員生きて帰ってきたんだ、何の問題もねぇよ!」

「ええ、想定外の連戦にはなったけれど、無事だったからいいわ」

無事を喜び合う三人。……だが、ギルドマスターがふと首を傾げて問いかけてきた。

「ところで……本題の『ハードメタル』はどこにあるんだ? 採掘してきたんだろう?」

「「「………………あ」」」

その瞬間、三人の動きがピタリと止まった。

レッドコウモリの大群、フクロフクロウとの死闘、激しい崩落、そしてグラスラバットとの決戦──。怒涛の展開の連続に、本命であったはずのハードメタルの採掘など、綺麗さっぱり頭から吹き飛んでいたのだ。

「……おいおい、まさか忘れてきたのか? 依頼内容はあくまで『ハードメタルの採取』だぞ。素材を持ち帰れていない以上、今回の初仕事は**『失敗』**扱いだ」

「「「えええぇぇぇぇっ!???」」」

ガーンとショックを受ける三人。しかし、ジェイ・ジェイがすぐに気を取り直して胸を張った。

「ま、待てよオヤジ! 依頼は失敗でも、この見たこともない新種の変異体があるだろ! こいつを買い取ってもらえれば、報酬なんてタンマリ入ってくるはずだぜ!」

『そうだよ! 中位魔法も効かないすごいモンスターなんだから!』

淡い期待を抱く二人。だが、ギルドマスターは苦笑いを浮かべて首を振った。

「いや……気持ちは分かるがね。いくら変異体で強くても、元がただのレッドコウモリじゃ素材としての価値はタカが知れてるんだよ。精々、普通のコウモリ数千匹分……数日分の食費になれば良い方だな」

『『『がーーーん……っ!!!』』』

努力と苦労に見合わない現実に、アリーシャたちは愕然としてその場に崩れ落ちるのだった。

その日の夕方。

成果ゼロ、報酬もスズメの涙という悲惨な初仕事を終え、アリーシャはすっかり落ち込んだ様子で自宅へと帰宅した。

『ただいまぁ……お父さん……』

「おや、アリーシャ。おかえり。……なんだか随分と疲れ切った顔をしているね?」

出迎えてくれた父親に、アリーシャは今日起きた数々のハプニングと、ハードメタルを忘れ、苦労して倒したボスも大したお金にならなかったという事の顛末をトボトボと話した。

「ははは! 初陣からそんな大冒険になるとは驚きだね。でも、全員無事で何よりだよ。さあ、美味しい晩御飯でも食べて元気を出そう」

『うん……ありがとう、お父さん……』

父親の温かい言葉に包まれ、食卓につこうとした──まさにその時だった。

トントン。

控えめなノックの音と共に、家のドアが開いた。

「夜分遅くにすみません、お邪魔します……」

そこに立っていたのは、アカツキだった。

その手には──あの**『フクロフクロウの袋(リュック)』**がしっかりと抱えられていた。

『えっ……!? アカツキちゃん!? なんでそれを……!?』

目を丸くするアリーシャに、アカツキは少し気まずそうに視線を泳がせながら鞄を差し出した。

「……今回の依頼、報酬が出なかったでしょ。だから約束通り新品を買ってあげるのは無理だったんだけど……帰り道に露店を覗いたら、ちょうどあのフクロフクロウの袋が安く売られてるのを見つけてね」

「報酬が出なかったからこれくらいしか買えなかったけれど……はい、どうぞ」と小さく呟くアカツキ。

約束した新しいリュックとまではいかなくても、アリーシャが欲しがっていた素材をわざわざ自分のポケットマネーから露店で探して買ってきてくれたのだ。

新しい仲間のどこまでもまっすぐで温かい気遣いに、アリーシャの胸にジーンと愛おしさがこみ上げてきた。

『アカツキちゃん……ありがとう……っ! 私、すっごく嬉しいよ!!』

「ちょ、ちょっと抱きつかないでってば……!」

顔を真っ赤にするアカツキの手を、アリーシャはぎゅっと握りしめた。

『ねえ! ちょうどこれからお父さんと晩御飯を食べるところだったの! アカツキちゃんも一緒に食べていって!』

「えっ……? でも、ご家族の邪魔に──」

「いいんだよ、アカツキさん。アリーシャの新しい仲間なんだろう? 遠慮せずに上がっていきなさい。今日は腕によりをかけた料理がたくさんあるんだ」

父親も優しく微笑み、アカツキを食卓へと招き入れた。

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

温かい湯気が立ち上る食卓。

美味しい料理を囲みながら、今日の冒険の失敗談やジェイ・ジェイの呆れた豪快さ、そしてこれからの自分たちの夢について、笑顔で語り合うアリーシャとアカツキ。

初仕事は燦々たる結果だったかもしれない。

けれど、かけがえのない仲間と絆を手に入れたアリーシャの物語は、ここから本当のスタートを切るのだった。


今回の成果

フクロフクロウのリュック Fランク

仲間 priceless

とりあえずキリの良いところまで。

また暇な時続き書くので皆さんも暇な時覗きに来てくださいね。

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