第7回
お披露目から約5か月が経った2023年1月、全メンバーが出演する新春恒例の劇場公演が行われた。その終盤に「20期生ついに劇場公演スタート」と発表された。20期生は全員、その場で歓喜の涙を流した。彼女たちにとってのこの5か月間はレッスンや冠番組に忙殺されながらも、まだAYB32のメンバーとして目立った活動ができていないという、焦りの時期でもあった。
そして、2月になり20期生の新公演「青春フィロソフィー」公演が始まった。
「AYB32劇場は私の人生を変えてくれた場所です。昔、私はこの劇場の観客席にいました。今でもここに立てているのが信じられないです。」
天野舞はファンの前で涙ぐみながら語った。
「先輩方がキラキラと踊っているこのステージに立ててとても幸せです。」
天野舞に続いて、メンバーの山村碧も語った。
「最初は不安な気持ちもあったのですが、20期生全員で初日のステージに立つことが出来て嬉しいです。今、本当に幸せです。私はダンスも歌も苦手なのですが、ファンの皆様に認めてもらえるように20期生全員で精一杯頑張ってきました。見守っていてください。」
20期生で最年長の白石ひなのこの言葉をYouTube限定の生配信で目にし、僕は目頭が熱くなった。
白石ひなは劇場に立つまでにどんな努力をどこまでしていたのか、それは、一人一人のコメントが終わった後に始まった曲から、痛いように伝わってきた。
僕は全13曲の劇場公演の内、5曲限定の生配信を食い入るように見つめた。傍らには母が洗ってくれたシャインマスカットを置いていたが、それに口をつけることすら忘れて、僕はただ画面に見入っていた。
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