第四部 “悪戯”
見た目は大人に近づいたのに、キリュウは言語能力をどんどん失っているようにしか思えなかった。先程から、
「あはははは!」
という高笑いしかしなくなっている。
そのくせ、繰り出す攻撃はどれも当たったら重傷を負いそうなものばかり。みんな上手くかわせているけど。
しかし、そんな状態なんて束の間で。キリュウが突然動きを止める。かと思えば、
「百鬼夜行!」
行動パターンを急に変え、明確な技を繰り出し始めた。威力は先程よりも上がり、明らかに僕を狙って来た。もしかすると、“首輪”が関係してるのか?
「ふ〜、危ない危ない。このまま意味もなく暴れちゃったら、エネルギーの無駄遣いだったよ〜」
キリュウはいつもの腹が立つ笑顔に戻り、僕の方を見て来た。目を逸らそうとするけど、逃れられなかった。……全身が全く動かない……。
キリュウはそんな僕の元へ来るも、突然現れたツーハの技に視界を奪われる。……普通に危なかった。ツーハは一瞬にして消える。
「へぇ……な〜んか小細工してるみたいじゃん?」
と、キリュウは不敵に笑うけど、見えない拳に殴られる。あれはフウワのか。
「ありゃ。これは……面倒がいっぱいだ。父さん、やっちゃっていい?」
こちらが『父さん』の返事を聞けないけど、恐らくOKが出たのだろう。
「いっくよー!」
キリュウは繭みたいなものに包まれ、動かなくなった。普通にチャンスに見えるけど……罠、なのか?
「フィラ」
コナが話しかけて来る。
「……コナはどう思う?」
「私には判断しかねますが、繭から出た後のキリュウは更に強くなると予想します」
「だよね……」
繭の内部から感じる妖気は、数刻前のキリュウとはまるで別物だった。……なんだこれ。
私、フウワもまた、キリュウの繭に対して何も出来ないでいた。
でも、すぐに気づいた。この不思議な妖気は……ギルド様とそっくりである事に。
極め付けに、繭から出て来たキリュウの姿さえも、ギルド様になっていた。
「邪魔が入らなかったら、声とかもそっくりに出来て再現度上がったんだけどな〜……まいっか!フォニックスのみんな〜、見てる?キミたちの上司とクリソツでしょ?」
……ここにライトがいなくて良かった。
「全然違うが?やっぱお前クズだな」
「え〜ひどいな〜。キミらだって人殺しじゃないか」
「否定はしない。お前の、故人を愚弄するような態度がクズだと言ってるんだ。分からないのか?」
「こわいな〜、そんなに怒んないでよね」
……怒り、か。これも否定できないな。
「……そんなに殺して欲しいか?」
ならばいっそ、お前にぶつけてやるよ。




