プロローグ quiet journey :霊
一日目:AM七時
ペロペロピ〜ン!
冥界からの歌姫、サリィです!
まぁ、ボクの紹介を少し。
本業はアイドル!『バトルプリンセス』のメンバーだよ!
でも、特殊能力がキョンシーだから、こんな二つ名って訳!
ボクたち潜入組は、囮組のおかげでひとまず敷地内に足を踏み入れた。
中はちょっと湿っていて、死の匂いがした。
とりあえず、中を調べないと。
ボクは普通の人には聞き取れない音域の声を出し、跳ね返ってきたものを聞く。
そして、フィラに念を飛ばす。
『ちゃんとメモしてね。
今ボクたちがいる西からの通路が幅2.5m、長さ35m。
東も同じ。
南北は幅5m、長さ30m。
中央の直径12mの広間で合流してる。この広間は上の階では吹き抜け。
予想通り二階建て。
部屋は道以外の各階四つずつ。
一階に動いている物体現時点で無し。
まずは一階から。
北西の部屋、おそらく死体置き場。
南西、柱状の物体大量に。
北東、おそらく一般的な医療器具あり。
南東、トレーニングジムらしき場所。
続いて二階。
動く物体、推定五万。
北西、会議室及び仮眠室と思われる。
南西、個室に別れている。おそらく被験体の居場所。
北東。大量の動く物体。しかし雑多。
南東。おそらく改造などを行っている場所。
以上』
無事連絡を終え、スインの透明化を使いつつひとまず広間に出る。
ボクはみんなにも建物の状況を小声で話した。
「ボクは死体置き場に行くね。ちょっとやりたい事があるんだ」
と一人で離れた。
幸い、死体置き場はパスワードなどのセキュリティが無かった。
そのまま入る。
死体は独特な臭いがする。
あ、誰か死んだな、って、通りすがっただけで分かる臭い。
死体と言っても、ちょっとマイルドに魚で捉えるとするならば、
丸々捨てるんじゃなくて、皮とか骨とかの、いらない部位が捨ててある様なイメージ。
困ったなぁ。これじゃ上手く紛れられない。
と一瞬思ったが、さらに奥には、外傷が何一つ無く、ちゃんと服を着た死体もあった。
ボクはここで潜入していよう。
ここなら、会議室の声が聞こえる。
ただ、若干まだ息があるのか、呻き声が時々聞こえる。
でも、助からないだろう。だって、欠けてるんだから。
ボクはキョンシーとなって、上の声に集中する。
「現在、アンドロイド24体で応戦中です」
「ネズミが一匹入っているかもしれない。十三番を出せ」
「承知しました」
十三番。多分、被験体のことだろう。
どんな能力を持っているかは分からないけど、あの四人をここで負けさせる訳にはいかない。




