フウちゃん登場!
「い、やぁぁぁぁぁ!!」
いきなり胸を後ろから鷲掴みにされてピンクはすぐさま後ろにハサミを放った。
しかしハサミは宙を舞い、かしゃんっと音を立てて地面に落ちる。
周りをきょろきょろと見渡すがそれらしい影は見当たらない。
「た、ただ揉みされた・・・!!」
悔しげに下唇を噛んでピンクはがくっと項垂れた。
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「わきゃぁ!」
ブルーは後ろから掬い上げられるように抱っこされたのだが手の位置がおかしい。
脇に手を入れ、その手がもろに胸に当っていた。
抱っこされ、足が宙を彷徨う。
じたばたと暴れるがびくともしない。
すると足元で「キキー」と甲高い音がしてそちらに気をとられた瞬間、ぱっと手を離された。
そのままどんっと地面に腰を打ち付けてしまい、悶絶しているうちにその声が遠ざかる。
そして足音も。
はっとして顔を上げればそこには何も居なかった。
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「っ!!!」
お尻を揉まれ、ぴきっと固まる。
そのままやわやわと揉まれるが誰か分からない恐怖から動けない。
このまま後ろから刺されて殺されたらどうしよう、とか考えていると突然見知った顔がのぞきこんできた。
「こんなとこでどったの?」
「・・・歯ぁ食いしばりなさい」
「え!?なんで!?」と焦っているイエローを涙目にぎっと睨みつけるパープル。
イエローの顔を見て安心する日が来るなんて、不覚すぎる。
そこではっと気づく。
今、パープルは本屋さんに行った帰り道。
「ちょっと出て来る」と言って出てきた時、イエローは皆と広場に居たはずだ。
「・・・あんた、つけて来たわけ?」
「パープルちゃんの行くところにはいつも居るぜっ!!・・・ぎゃぉぉお!!」
ぶっ飛ばした。
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「と言う事があったんですよぉ!!」
「本当に許せないんだけど!!パープルだって被害に遭ったって言ってたし」
2人に詰め寄られ博士はどうどう、と諌める。
最近出没するという痴漢に今、街は混乱していた。
何故博士に詰め寄っているかと言うと、今基地に博士しか居ないからだ。
肝心なときに居ない戦隊メンバーに苛立ちながらピンクは憤慨して、ブルーはぷりぷりと怒っている。
「皆が居ない今、私達で何とかするしかない!」
「そうなんだぞ!ぶっ殺せぇぇぇえ!!」
「血祭りじゃぁぁ!」と叫ぶブルーは言葉とは裏腹に全く怖くない。
怖い言葉を使っていながら楽しげにおー!っと奮闘しているブルーは馬鹿で可愛いなぁ・・・などと博士がにやにやして見ていることには気づかないでいる。
おー!と掲げたブルーの手を取ってそのままブルーをくるくると回し、自分の胸に抱きこんだ博士は「うーん」と考え込んだ。
「それさぁ・・・キキー!とかラブリーに鳴くやつ近くにいなかったか?」
「あ!そう言えば甲高い鳴き声を聞いた気がします!」
「あー・・・」と言ってぽりぽりと頬を掻く博士は明らかに心当たりがある様子。
ピンクとブルーはずずいっと博士に詰め寄った。
「博士、心当たりあるんですね!?白状してください!ただで触られたなんて許せないっ」
「そうですよ!ブルーなんてぷらーんでぶらーんってされちゃったんですからねっ!!」
「いや、ブルー・・・それ意味わかんねーよ」
「お馬鹿さんだな~」とブルーの頭をわしわしとする博士とそれに反抗して「なにおぅ!?」と反撃しだしたブルーは楽しげで。
間違いなく話がそれていく。
「ん?博士、なんか寒くないですか?」
「あ。ほんと、だ・・・・!!」
ブルーの後ろ。
ピンクが背筋が凍るほどの笑みを博士に向けていた。
思わず姿勢を正して腰を90度に折る。
「すみませんでした」
「よろしい」
「!?・・・?・・?」
博士とピンクのやり取りを疑問符いっぱいに見つめるブルーだった。
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「で、なんで城?」
「いや~ここに来ないと始まらないしぃ・・・ちょうどパープルちゃんも居ないしライちゃんからかい放題だしね~」
ふ~ん、と言うピンクはどうでもよさ気で博士は苦笑するしかない。
見た目は砂糖菓子のように甘くほわほわしているのに、中身はどこか冷めたところがあり自分に正直で貫き通そうとする頑固なところがある。
なかなか腹黒なのだがそれが気にならないほどの外見。
それに引き換えブルーには裏表がなく、感情の起伏をそのまま態度に表しわかりやすい。
元気でノリがよくて楽しい。
でも疲れている時は要注意。邪険にされて傷つくから。
パープルもわりと分かりやすい。
嫌いなものは嫌い、好きな物は好き。人によって態度がころころと変化する。
態度でまる分かりなのだが末っ子で甘やかされて育ったせいか甘やかされると拒まないので意外と扱いやすいところがあったりする。
敵と宣言しておきながら我が物顔で城を闊歩する3人に城の住人達は苦笑するばかり。
来ることを部下から聞いていたらしいライが「無限に広がる〇宇宙!」とか言って扉を開いた博士をぎろり、と睨みつけた。
「・・・お前もいい年をしてそのようなことばかり・・・ああ、もういい。用件だけ言ってすぐに帰れ」
「おっぱい触られちゃった!」
「そうか、帰れ」
「えー?なんだよ~。用件だけ言えっていうから俺なりに凝縮して完結に話したのにっ!」
「帰れ」
「ライちゃんつめたーい!そんなんだからパープルちゃん実家に帰っちゃうんだよ!」
「なっ!何をでたらめなことを!!・・・・まさか本当に帰ったのか」
博士の後ろにピンクとブルーしか居ないことを見て取り、若干焦るライ。
博士がニヤニヤして焦らしていたがピンクが呆れたような顔をしてずばっと言う。
「確かに今日は居ないですけど、そんな理由じゃありませんから。って言うかパープルがライさん嫌いになるなんて地球が滅んでもありえないですから」
「あー!なんでそんなこと言っちゃうかなぁ!せっかく無表情で怒りながらも内心どきどき!なライちゃんを楽しんでたのに!!」
「博士・・・しょーもないですよ」
「まったくだ」
ブルーとライに畳み込まれるように言われてさすがにちょっとだけ肩を落とす博士。
「ちぇー」っと子供っぽく拗ねていると、ピンクが後ろでちっと舌打ちをしたため、瞬時に真顔を作り話し出す。
「ライちゃん、あいつ今ちゃんと飼育小屋にいるか?」
「何・・・?いや、最近大人しかったから確認はしていないが・・・・まさか」
「そのまさか」
博士の言葉にライの眉間にぐっと皺がよる。
「・・・被害者は?」
「ん~・・・今んとこうちの子達だけど」
「うち、と言うと」
「もちろんパープルちゃんもだから!」
ウインクをして舌までだして楽しげに答えた博士を見もせず、手元にあった書類をぐしゃ・・・と握りつぶしてしまったライはドクを呼んだ。
今日も溢れ出しそうな乳房を頼りない服で半分だけ覆い隠すという際どい格好をしたドクが現れると同時にライが指示を出した。
「ドク。私が良いと言うまでその場で飛び跳ねろ」
「はい。・・・わかりましたわ?」
意味が分からないながらも指示通りその場でぴょんぴょんとドクが飛び跳ねる。
それに合わせ、ドクの大きな胸がぶるんぶるんと揺れるものだから博士が「ぉぉお・・・」とガン見してブルーに足を踏まれた。
「いってぇ!」と博士が足を抑えると同時に「きゃぁぁぁぁ!」とドクの悲鳴が響いた。
「お、お止めなさい!わたくしの身体は全てイエロー様のものですわっ・・!ぁあん!」
急に出たドクの喘ぎに全員がドクに視線を向けると、そこには大男。
2メートルはあるであろう慎重にうす緑の髪はワンレンで肩の上あたりで揃えている。
胸元から半分以上はみだしているドクの胸をあえて下から掬い上げるようにもみもみ、と揉んでいる。
服の下に手を滑り込ませて。
つまり生。
「ちょ、お、お止めなさいと言って・・・ぁん!ああん」
「やわらかーい。きもちいいなぁー」
目の前で繰り広げられる危ない光景にピンクとブルーは赤面した。
しかしガン見である。
「はー・・・」と重たいため息を吐いたのはライ。
「フウ、いい加減にしろ!いつも言っているだろう!?それは犯罪だと!」
「でもー・・・ライ様ぁ。僕、柔らかいものが大好きなんですー」
「だからキキの世話を言いつけたはずだろう?・・・いいからドクを離せ。見苦しい」
「み、見苦しいってライ様・・・酷いですわ・・・」
「・・・はーい・・・ごめんなさいー」
名残惜しそうにドクの胸から手を離したフウ、と呼ばれた男にピンクはつかつかと歩み寄った。
その気配に振り返ったフウの顔を見たピンクはひくっと顔が引きつる。
ほわわ~んとした可愛らしい顔と和やかな空気。
見ているとこちらまでにこにこ、と釣られて笑いそうになってしまう。
それでもピンクは踏ん張った。
「あ、あなたね!いきなり胸を触って来るなんて非常識よ!それもあんな・・・もろに・・・!!」
「え~・・・君誰ー?」
「わわわ・・・!ピンク、落ち着いて!」
ぴきっと固まったピンクをブルーが諌めるがフウがぺと・・・とピンクの胸に手を当てた。
「きゃあ!」と反射的にフウの手を払い落とす。
フウは手をわきわきさせて考え込んでいたかと思うとぴんっと指を立たせた。
「あーあー!思い出したぁー。小さいけど形が良かった子だぁー」
「な!・・・あ、ブルー!」
「な、ななななんと!」
「あー・・・こっちの子は小さくて軽くてふわふわな子ー」
胸を触られて人物確認をされたピンクとブルーは呆然としてにこにこと笑っているフウを見上げる。
にこにこ、にこにこ。
怒っているはずなのに、許してしまいそうになるほど悪気のない無邪気な笑顔にピンクとブルーは屈してしまう、が。
「・・・フウ、お前金取んぞ」
「あー、博士ー!久しぶりー」
「お、おう」
ブルーを触られてむっとした博士だったがフウの独特な空気に呑まれた。
呆れつつも笑い返してしまう。
ライは眉間の皺を解しつつまたもやため息を吐く。
「フウ・・・キキはどうした。お前が犯罪に走らないようにわざわざキキをお前に任せたのだぞ」
「あー!そうだった!ライ様ぁーキキに子供が生まれたのでーそれを報告しようと思って外に出たんですよー」
「!・・・そうか、それはめでたいな。しかし、それならまっすぐここに来なさい。全く人騒がせな・・・ほら、謝罪と自己紹介を」
「はーい」と返事をしたフウはにこにこーっと笑ってピンク達を振り返った。
「ごめんねー?嫌だったのー?」
「え、あ・・いや、もう別にいいよ・・・」
「ほんとー?ありがとー」
お花が見えるほど満開の笑みを向けられついにピンクとブルーもほにゃ、と顔が緩んでしまった。
「僕ー、フウって言います。20歳ー。柔らかいものが大好きなのー。だから、女の子大好きー。あ、キキもぷにぷにしてて大好きー」
「キキって?」
「キキはねぇー黒くてー小さくてー柔らかくてー可愛くてー癒されるんだよー」
「これくらいなのー」と胸元で50cmくらいの幅を作っている。
「そうなんだ」とピンクとブルーはにこやかにフウの話に相槌を打つ。
最後ににこっとフウが笑う。
「よろしくねー」
「「うん!」」
にこにこーっと笑い合ってフウとピンクとブルーは握手をした。
おっぱい星人フウちゃん登場なのですー
ブルーアホの子ww