イエローGET大作戦!(3)
あれほど抵抗されたのは初めてかもしれない。
ライはあの後、廊下に蹲っているパープルを発見した。
声をかけても反応せず、そのまま抱き上げようとしたのだが何度やっても手を払われた。
さらに逃げようとしたので後ろから抱きしめ拘束すればライの腕の中から逃れようと身体を捩って暴れたのだ。
「パープル、落ち着きなさい。あれは惚れ薬のせいだ。わかっているんだろう」
「・・・っ・・は、なして・・・下さい・・っ!!」
俯いていて顔は見えないが声が震えていて泣いているのがわかった。
腕に力を込めてさらに拘束すればパープルが大人しくなったので、はーと息を吐いてパープルの首筋に顔を埋めた。
しかし。
「・・・離して下さい。私、帰ります」
「あのな、パープル」
「わかってます。あれはドクの惚れ薬のせいでライ様は何もしていない、そうでしょう?」
「・・・そうだ」
分かっているのならなんなんだ、と眉を寄せれば腕を解かれる。
そして元の部屋に戻りつつ堅い声で言った。
「今日は、帰ります。なんだか疲れたので。皆連れて帰りますね」
「待ちなさい。こんな状況で帰せるわけがないだろう。一体なんなんだ」
腕を掴み振り返らせれば傷ついたような顔。
その目に涙を溜めてライを見れずに目線を彷徨わせていた。
「・・・パープル?」
「・・・ごめんなさい。分かってたつもりなんですけど、心の準備もしてたつもりなんですけど、駄目、だったみたいです。結構キツイんですね」
「・・・何を言っている?何の心の準備をしていたと?」
「振られる準備です」とぽつりと零したパープルの腕を衝動的に掴んだ。
「何の心の準備をしている!?恐ろしいことを言うなっ!!私がいつお前を・・・」
「ごめんなさい。今、私頭おかしいんです。分かってるのに、変な風にしか考えられなくて。だから頭の整理をしたいから、帰らせてください」
「ごめんなさい」と言って腕を突っぱねてくるパープルに、今は何を言っても無駄かと腕を放しパープルが身内を回収しに部屋へ戻っていくのを頭をがしがしと掻きながら見送った。
そんなことがあった後だからこそ、ライは激しく衝撃を受けた。
「すき。好き。好きです。大好き」
「ごっめーん!!ライちゃん!!パープルちゃんも惚れ薬飲んじゃった!!」
にやにや笑う博士にしな垂れ掛かり頬を染め、ぽーっと見上げながらハートまで飛ばしているのは紛れも無くパープル。
ライは余りの怒りに血管が切れそうなほど顔が引きつった。
「・・・貴様、3秒以内にその手を離せ。でないと殺す」
腰に回したその手を、と低く唸る。
バチバチバチ・・・っと雷が漏れ出す。
博士はにやにやしたまま腕を放し、これ見よがしに手を上げてみせる、が。
「やだぁ!離さないでよぉ・・・!!好きぃ」
「っつ!・・・パープル、こっちに来なさい」
博士に抱きつき告白を繰り返すパープルに顔は引きつるばかり。
ライは手を差し出してパープルを呼ぶが、ギッと睨まれた。もちろん初めて。
愕然とした。
「何言ってるの?意味わかんないし・・・博士ぇ、好き」
「パ、パープ・・・」
「・・・いやー、すっげー感動する。あのパープルちゃんが俺に笑顔を・・・・」
ガーン、とショックを受けているライとは対照的に博士はジーン、と感動している。
そうしている間にパープルは手を動かし博士の顔に手を掛けていた。
顔を近づけ博士の顎に噛み付いた、その時。
「・・・・!!」
「・・・え?あ、ブルーちゃん・・・おはよー・・・っておい!待て待て待て!!これは違うんだよ!!」
パープルを片腕に抱きつつ、膝の上には気を失ったままのブルーを寝かしていたのだが、覚醒した。
しかもパープルが博士の顎に噛み付くと言う際どいところで。
博士とパープルがいちゃついているのを下から見上げ、大きな目を更に大きくしてガーン・・・と大きな口を開けていた。
むくりと起き上がり、パープルの肩に手を置く。
「・・・パープル、博士のこと好きなの?」
「うん、大好き」
「・・・そっか」
「お、おい・・・?ブルーちゃん?」
おそるおそるブルーの肩に手を置くがその瞬間ぎっと睨まれ手を叩かれた。
「博士のくそ馬鹿!最低!」
「え、俺?!ちょっと待って!ほら、これ。パープルちゃん飲んで!!」
「うん、飲む」
「おお・・・あのパープルちゃんが・・・って違う違う違う!!ブルーちゃんちょっと待ってぇ!!」
博士に渡された解毒剤を素直に飲むパープル。
その間博士はもがきまくるブルーを拘束するのに必死だ。
ブルーはショックと怒りと悲しさとでぐちゃぐちゃだった。
だから、それが何か分かっていなかったのだ。
「離しやがれっ!!」
「あ!・・・・ごくっ」
ブルーはそこらへんにあった物を投げつけたのだが、それは惚れ薬の入った瓶で。
見事にすっぽりと博士の口に入った。
しかも飲み込んでしまった。
あちゃーっと焦った様子もなく、冷静に気を失ったパープルを抱き上げているライを見てにやりと笑う。
口に銜えたままの瓶を抜き取り少し残っていることを確認した博士はライを楽しげに呼んだ。
「ライちゃーん!・・・きゃー!こっち向いてぇ!!ライ様ぁー!!・・・あ、やっと向いた。・・・それっ!」
「・・・むぐっ!な、に!?・・・・・あ」
「あ」
明らかに文句を言うために振り向いたライの口目掛けて瓶を投げつけたのだが博士はうっかりライを見てしまったことに気づく。
ライも怒鳴りつけようと博士を見てしまった。
つまり。
「ライちゃん、結婚してくれ」
「ああ、明日にでも」
「いたっ!!」
博士がライの手を取った瞬間抱き上げていたパープルを思いっきり落としてその衝撃でパープルが目覚めた。
打ち付けた腰を擦りながら頭上で繰り広げられている博士とライのラブシーンをぽかん、と見上げた。
ブルーもぽかん、と2人を凝視している。
しかしパープルははっとして博士のポケットから覗いていた解毒剤を奪い2人の口にそれを放りこんでみる。
「な、いきなりなにすんだよ!パープル!・・・ああ、ごめんな、ライちゃん。今続きを・・・」
「ぎゃぁぁぁぁあー!!やめてよ!!やーめーろー!!!」
「は、博士!!駄目ですよっ!!そんな・・・あ」
ぶちゅう、っと博士とライの唇が重なったと同時に2人の瞳が全開に見開かれる。
お互いに突き放すように離れごしごしと口を擦りだした。
「げーっ!!マジかよ!!ちゅーしちゃった・・・。ブルーちゃぁぁん!口直しさせ、て・・・」
解毒剤が効き、正気に戻った博士はブルーを振り返るが、ブルーは目に涙を溜めてその場に崩れ落ちていた。
「・・ライさんがライバルだなんて・・・勝ち目皆無じゃないですか・・・うう・・・うえ・・・」
「無理、無理だよぅ」とブルーはぷるぷると震えている。
ぽりぽりと頬を掻いた博士はブルーの腕を掴み引き寄せて口付けた。
「ん!?んむむむむ~!!・・・ぷはっ!!いきなり何すんだぁ~!」
「だから口直しさせてって言ったじゃん。・・・よいしょっと」
「わきゃぁ!」
軽々とブルーをお姫様抱っこして博士はさっさと帰ってしまった。
残されたライはその場に膝をつき起き上がれないで居た。
口を片手で押さえ俯いたその姿にパープルはおろおろするばかり。
「あ、あの・・・あんなの気にすることないですよ。不可抗力だし・・・」
「・・・・」
無反応なライを見てパープルは先ほど出て行った博士とブルーを思い出し、きゅっと口を引き結んだ。
ライに手をかけライの唇の端にちゅ・・と可愛らしいキスをする。
するとライがやっと驚いたように顔をあげた。
「く、口直しになるかわかりませんけど、その・・・」
「・・・・」
今度はパープルが俯いておろおろしている。
ライは口の端を撫で呆然としていたがにやりと笑ってパープルを抱き上げた。
「ひゃあ!な・・・ど、どうしたんですか」
「・・・口直しさせてくれるのだろう?」
「!」
見上げて来るライの嬉しそうな顔を見てパープルはそのまま連れて行かれた。
そして残された者たちは。
「イエロー、お願い。あたしのこと好きになって?」
「う、う~ん・・・」
「悩んでんじゃねぇ!本気で切れるぞっ!!」
ピンクに見上げられ悩んでいるイエローをレッドがブチ切れ寸前で締め上げている。
ピンクを引き寄せよとレッドが奮闘するが「やめてよっ!」とピンクが嫌がるためなかなか難しい。
さすがに普段温厚なレッドでも我慢しきれないものがあった。
ピンクを自分の胸に押し付け拘束し、普段からは想像もできない鋭い目つきでイエローを睨みつける。
「・・・いいかげんにしろよ。早く解毒剤を持って来い」
「っつ!・・・すまん。行ってくる」
解毒剤を持っているであろう博士を追ってイエローが部屋を出て行く。
それを見送り、胸の中でもがくピンクを見る。
「離してっ!もぉやだってばぁ!」
「・・・ピンク」
「な、何?そんな怖い顔したって許してあげないんだからね!早くはなし・・・」
「ピンク」
伝わって来る怒気にびくぅ!とピンクが竦むと、それを見たレッドが優しく微笑んだ。
怯えるピンクの頬を愛おし気に撫でる。
「・・・しばらく大人しくしてたら怒らないから。な?」
「う、うん」
「よし、いい子だ」と固まったピンクを撫でるレッドはいつも通りの優しいレッド。
今だ惚れ薬の効いたピンクは嫌なはずなのにそのままイエローが戻って来るまでレッドの腕の中で大人しくしていた。
そして今回最もついてなかった人。
「イエロー様ぁ~!!この胸さえ無ければわたくしを愛してくださいますの!?・・・だって勝手に育ったんですものぉぉ!!」
自慢の巨乳をゆっさゆっさと揺さぶり一人男泣きするドクであった・・・・。




