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世界最強の元一般人――異世界ラノベの主人公に憧れた俺、最強でも現実は甘くなかった  作者: ITIRiN
第6章:王の顔と、隠しきれない素顔

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第64話:緊急会議開始

あれから俺は、本当に後ろを振り向かずに会議室まで歩いてきた。

そのせいで、ミナとマイカ以外――誰がついてきているのか分からない。

確認のため、俺は振り返る。


今回会議に参加するのは……

うちの国からは俺・ミナ・マイカ。

ギルドからはクロエ。

マリノ王国からはブノワの親父とレオンの親父、か。


「みんな好きな所に座ってくれ。あと、メモとか議事録は机の上に置いてある紙とペンでどうぞ」


そう言うと皆、大人しく席へ着き、地球の物を見ても特に驚く様子もなく会議の準備を始めた。

恐らく俺がいない間に、何回か会議か何かで使ったのだろう。

一々説明をしなくて済むのは楽で助かる。


そんなことを考えながら、俺も壁の中に収納していた大型テレビを手前に出したり、自分のPC等を用意し――


「んんっ。本日はお忙しい中、私の呼び出しに応じていただき誠にありがとうございます。

僭越ながら今回の会議は私が中心で進めさせていただきますので、多少の不手際などは目を瞑ってくださると助かります」


「ミナ、あの人誰?

私の知ってるソウジ君は、会議前にいつも『面倒くせぇ~』って言ってる人であって、こんな真面目な人じゃないんだけど」


「そういえばマイカさんは、一度もこっちのソウジ様を見たことはありませんでしたね。

……あれは主に外交の時の態度と言いますか、超真面目モード時のソウジ様って感じですかね」


「えっ⁉

あれって陛下のおふざけじゃないんですか?

私はてっきり、この前ティア様とうちに来た時みたいに、私を揶揄っているのかと……」


流石に今日の議題は、いつもみたいにダラ~っと会議を始めるような物じゃないと思って真面目にやれば――一言目でこれかよ。


「ソウジ殿はあまりこういう場には慣れていないでしょうし、別に普段通りの喋り方でも構いませんよ」


「前回みたいに突然我慢の限界がきて爆発されても困るしな」


あれは今まで背負ったことのない責任とか緊張があったからで、敬語を使うことによってストレスが溜まったり、泣いたりはしねえよ。

あと、その“自分の子供の成長を見守る”みたいな顔やめろ。


……これ以上余計なことは言わせない。このまま進める。


「……今回、牢獄付近で起こった爆発事件に関しては、既に知っていると思いますので説明を省こうかと思うのですが……問題ないでしょうか?」


そう聞くと、微笑ましそうな顔をしている子と、ニヤニヤしている子が二人いる以外、特に問題はなかった。

なので俺は話を進めることにした。


「では、まずはこちらの画面をご覧ください。

……この画像は、爆発が起こる前――つまり元国王や貴族が収監されていた時の牢獄周辺を図で表したものです。


この図を見て分かるように、私は牢獄の周りに“外からは侵入不可、そして中からは脱走不可”の結界を張っていました。

あと、自分で言うのもあれですが……あの結界を正面から破壊出来る者は、少なくともこの大陸にはいないでしょう」


まあルナとあいつなら余裕で出来るだろうけど、あれは例外だ。


「息子よ、話の途中で悪いのだが、幾つか質問をしてもいいかな?」


後でまとめて質問を受け付けるより、分からないことがあればすぐに答えた方がいい。

そう思い、質問を許可すると、早速ブノワの親父は――


「まず、牢獄の内部構造はどのようなものになっていたのだ?

これが一部屋ずつ分かれていたのか、それとも一つの大部屋だったのかで、かなり変わってくると思うのだが」


「牢獄内に関しましては前者ですね。

実際、彼らがどのような部屋割りで使っていたかまでは、私も知りませんが」


「では次に、その牢獄から外に出ることは出来たのか?」


「はい。別に牢獄から出たところで、私が張った結界がありますので、それに関しましては当人らが自由に出入り出来るようにしていましたよ。

……まあ、それが今回の失敗の一つでもありますが」


そう言うとブノワの親父は納得したらしく、一度頷いた。

他の人達から追加の質問もなかったので、次に俺は爆発が起こった当時の映像を流す。


……それを見たクロエが、目を丸くして言った。


「えっ⁉

なんで誰もいないところで突然爆発が起こったんですか?

私はてっきり、数人がかりで何かしらの魔法を使ったのかと思っていたのですが」


「では、先程の映像に“特殊な加工”を施した物をご覧ください」


そう言って、もう一度同じ映像を流す。

今度は一人の女性が映し出された。


そいつが結界の前で何やら作業を行い――数分後、爆発が起こる。


「さて、これを見て分かる通り、この女性は透明になれる魔法か何かを使っていたことが分かりますが……

そんなことはどうでもよく、問題は――結界の前に設置された、この“四角い箱”です」


「いや、私達としては、ソウジ殿に掛かれば隠密行動が意味をなさないのは勿論、記録まで残せることの方が問題なのですけど」


「でもそのおかげで、この国での犯罪率は格段に下がっているっていうデータも出始めてるんですよ。

まあ警備室側が先に情報を入手して、それを未然に防いでいるだけであって、ソウジ君のおかげで国民の意識が変わったとかではないんですけど」


そういえば、そんな報告書が上がってたな。

数は少ないくせして、一つ一つの文字数が多いからパラパラっとしか読んでないけど。

今日の夜……は無理そうだから、明日ちゃんと確認して、次の日に会議が必要そうならやるか。


まあミナ達が何も言ってこないってことは、急ぎの件ではないんだろうけど。


「ですが既に、他国とは比べ物にならないほどの治安の良さを維持していますし、

あとは犯罪者に対する処罰等をどうするかを決めるのが重要かと」


「日本人の犯罪に関する考えは、かなり厳しめだと聞いてはいたが……少し厳しすぎるのではないか?

あんまりあれだと、その内シワ寄せがくるぞ」


「犯罪者や盗賊の数より、法律を守って暮らしてる人が多いのは、どこの世界も同じことです。

それなのに、わざわざ前者の奴らのストレス解消などの為に、後者の人達が被害を被るのはナンセンス。

それに、世界は広いですからね……」


親父二人は、かなり真面目な顔になる。


「ちなみにソウジ殿が、我が国と正式に同盟を結んだ場合、どのくらいの技術提供をしていただけると考えればよいのでしょうか」


「あまり母国の宰相に、こういうことは言いたくありませんが……

いくら同盟を組んでいるとはいえ、技術提供等は“提供される側”が同レベルのものや金額を提示して、初めて交渉が行われるものです。

……あとは、言わなくても分かりますね?」


「たった二週間で、息子殿をここまでに仕上げてくるとは……

あのティアという娘も、油断出来ないな」


多分だがブノワの親父は、俺の考え方が一般人――しかも平和ボケの日本人のものから、

一国の王としてのものに変わりつつあることを言っているのだろう。


……長引く前に本題へ戻そう。


「ミナの言っていることが正しいのは勿論のこと、

貴方達が欲しがっているであろう技術を、そちらの国でも使いたいのであれば、かなりの国内整備や自衛能力が必要になりますよ。


犯罪者には犯罪者なりに罪を犯す理由があり、

便利すぎる力には、それなりの“リスク”がありますからねえ」


「なるほど……少し私達は、目先の利益ばかりに考えがいっていたようですね。

長年宰相をやっていながら、お恥ずかしい」


まあ今回の件に関しては、一概にレオンの親父が悪いとは言えない。

誰だって、自分の常識を軽く超える技術や力があれば、そちらにばかり考えが引っ張られるのはよくあることだし。


……なんて、地球の技術を元に作ったシステムをドヤ顔で使ってるだけの俺が言えることじゃないけど。

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