第150話:過保護な彼女と距離感
説教を聞きながらのドライブを楽しみ、フードコートで適当に昼飯を食った後、次はどこに行くのかと思えば二人して「帰るぞ」とか言い出したので、ちょっと不思議に思いながらも大人しく日本の家へと帰ってきたのが午後二時半過ぎ。
そしてそこから、まだ家に帰りたくない自分以外を城の方へと送ってやり、俺は一人ソファーに座ってさっき買ってきたピ○ブイを携帯モードでプレイしていたら……何の用かは知らないが突然マイカがやってきて、勝手にテレビモードに変えた挙句隣に座ってきたというのに何も喋らないので、こちらも黙ってそのままゲームを進めていき――
《では はじめに きみの なまえを おしえて もらおう!》
うーん、いつもなら本名以外で設定するんだけど今回はどうすっかな。
「なあ、この主人公の名前なにがいいと思う?」
「………………」
「ソウジでいっか」
《きみの ライバルの なまえは……?》
今のポ○モンってライバルの名前まで決められんのか。面倒くさいしアベルでいいや。
《うむ かれは アベル と いうのか!》
【いよいよ これから きみの 物語の はじまりだ!】
【夢と 冒険と! ポケ○トモンスターの 世界へ!】
【レッツ ゴー!】
なんだこれ。俺の知ってるポ○モンと全然違うんだけど……ってかポ○モン捕まえるのムズッ!
「それで、いったい何に怒ってるんですかマイカさん。あとその保冷バッグの中に入ってる苺のムース食べていい?」
「あっちの世界で外に出る時とか学校に行く時はちゃんと保護魔法を使って自分の目を守ってるのに、それ以外の時は魔法を使わずにサングラスをかけてたのはなんで?」
《ソージ! イ○ブイに 名前を つけたら どうじゃ?》
【イ○ブイに ニックネームを つけますか?】
{はい} ←
いいえ
【ニックネームは?】
マイ|_____
やっぱやめよう。
はい
{いいえ} ←
「実際は何ともないけど、持続系の魔法を使ってると気持ち的に疲れるから」
ちょっと今回はポ○モン図鑑を全部埋めたいからティアとアベルにもやらせよう。
「それってもしかして普段私達にかけてる防御魔法なんかも含まれてるの?」
「いや、そっちは悪いけど俺が勝手に服じゃなくて各自の体に付与させてもらって、何か危険が迫った時のみ発動するように設定したから問題ない。建物関係も全部同じ」
これを分かりやすく説明すると、自分の目に保護魔法をかけている時は常時スイッチがON状態なのに対して、防御系の魔法は基本OFF状態で、何か危険が迫ればONになる(エコモード的な)……みたいな感じである。
「あと、俺だけ未だに自分の体じゃなく服にそれを付与してる理由は、ティアとの模擬戦時に勝手に発動されると面倒だからであって、何にも嘘はついてないからな」
「……その言葉が嘘じゃないのは分かったけど、じゃあなんで私に今回のことを教えてくれなかったの? 少し前にこれからは一人で抱え込まないでって、どんな形でもいいから私に頼ってって言ったよね?」
にしても今日は快晴なのに加えて太陽の光がいい感じで部屋に入ってきてるせいか、カーテンレース越しでもちょっと眩しいな。
「それに関してはちゃんと覚えてるし、その言葉を聞いた時は凄く嬉しかったけど……もし嫌な顔をされたらとかって考えたら中々言い出せなか―――――っ‼」
ゲームと話に夢中になっていたせいでカーテンレースの方の注意が疎かになっていた俺は、端のフックが壊れてレースが垂れ下がったことへの反応が遅れ、流石にこれはヤバいと思った瞬間――
隣に座っていたマイカが自分の胸元へと俺の頭ごとぐいっと引き寄せてくれた。
「―――目! 目は‼ 大丈夫? 痛くない?」
助けてくれたところ悪いんだけど、このままだと窒息死するから少し腕の力を緩めろ! ……って、今は魔法が使えないんだった。
「ぅんんーーー‼」
「この感じだと間に合った……のかな? よかった~」
「もくあい! ほのへへたとほれのえじゃはくおうあひぬ‼」
「え? あーそっか。このままじゃ息ができないのか。でもここで腕を緩めてもしものことがあったら嫌だし……うちかマリノにある城内ならどこでもいいから、このままの状態でそこに転移ってできる?」
その二つに何があるのかは知らないが、少なくともここにいる限りこのホールド状態から解放されそうにないので、大人しく自分の部屋のベッドへと転移した。
* * *
その後、やっと離してくれたかと思えば今度は無理やり真正面を向かされ、ちゃんと見えているのか、本当に何ともないのかなどの確認作業が行われ――
「これで満足したか? つかポ○モンの続きやりたいからゲーム機取ってきていい?」
「さっきあんなことがあったばっかりなのにいいわけないでしょうが! というか今日はもうこの家から出るの禁止! 分かった?」
「………嫌だ」
「わ・か・っ・た?」
「………………」
こうやってマイカが過保護なまでに心配してくれているのは嬉しいし、目のことは自分の我が儘のせいでもあるということは分かっているのだが――
今まで普通だったことがそうじゃなくなったせいで、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていたのか、徐々に苛立ってきたのもあって無視すると、
「ソウジ君の目に関しては今後絶対に失明とかしないように気を付けるって約束してくれるならこっちからは特に口出ししないってさっき私達で話し合って決めたし、少なくとも室内では普段通りの生活が送れるようにってことでティアがこことマリノの城内にソウジ君専用の保護魔法をかけてくれたから、そんな拗ねないの」
「………何時まであっちの家に行っちゃ駄目なんだ?」
「今ティアが日本の家にも同じ保護魔法をかけに行ってくれてるはずだから、それさえ終われば何時でもいいんだけど、私との約束を破ったから今日はもう行っちゃ駄目」
「………寝る」
完全に不機嫌モードに突入した俺は魔法を使っていつも着ているジャージに着替え布団の中に頭ごと潜り込んで目を瞑っていると何も言わずにマイカが入り込んできてそのまま俺の頭を自分の胸元へと、しかし先程とは違い優しくゆっくりと抱き寄せてきて
「今度は苦しくない? 大丈夫?」
「………わざわざ服を脱いで下着のみで布団の中に入ってきた理由は?」
「だってそのまま布団に入ったら服がしわになっちゃうし、だからといって今からシャワーを浴びてパジャマに着替えるのもな~と思って。それにソウジ君って私達の下着姿も結構好きでしょ?」
なんだその答えになってるけど答えになってない返答は。
「前半は兎も角後半に関しては言ってることとやってることが矛盾してると思うのは俺だけか?」
「ソウジ君は私達の下着姿を見るのが好き、なんて一言も言ってないから全然矛盾してないよ。ぎゅ~~~♡」
「………なんのことかサッパリ分からんな」
「ふーん。じゃあさっきから私の右胸の上にあるこの左手は何かな?」
そう言いながらマイカは自分の右手でそれを覆ってきたかと思えば俺の左手ごと大きく円を描くように、決して真ん中付近には触れないようにゆっくりと動かし始めた。
「自分のオ○ニーのために人の手を勝手に使うのやめてくれません? というかどこでこんなエロい触り方を覚えたんだよ」
「ソウジ君は直接私達の体に触るよりも服や下着越しの方が好ってことは知ってるし、……はぁ、はぁぁ……んっ、あとこんなエッチな触り方を私に教えたのはソウジ君で…ぁん、しょうが」
これに関しては少々性癖というか個人の感じ方が関わってくるので分かる人にしか分からないだろうが、女の子の服や下着と男の物のそれとでは素材が違うせいかまったく肌触り心地が違う。
その為それの感触に慣れていないこちら側からすればそれだけでも変な気持ちになりそうになるというのに、それを好きな女の子が着ている状態で触れるともなれば興奮しなわけがないし、下着に関してはあの滑らかな感触と刺繍部分の凸凹の感触が好き過ぎてヤバい。その二つが同時に味わえるデザインの物だともっとヤバい。
そしてもう一つの理由は
「だって『服とブラ越し』・『ブラ越し』・『直接』触るのでは揉み心地とか全然違うし、特にブラを着けてる状態で触るあの独特の感触は他では絶対に味わえない良さがあるからな。……それにマイカだって最初から直接触られるより順番に触られた方が好きだろ?」
「んっ、んん……、あっ、はぁぁぁーっ……、それは確かにそう…だけど。……そろそろ、直接ん、んんっ……はぁっ、触ってほしぃ」
「うーん、でもまだ左側はマイカが勝手に人の顔をぐにぐに押しつけてただけで触ってないしな」
なんて少々意地悪なことを言ってやると自分でブラのホックを外したのか右側のカップが重力に従って俺の顔の上に落ちてきたとほぼ同時に、マイカが人の手をそちらへと誘導しようとしてきたので少し力を込めてそれを阻止すると
「はぁっ、ねぇ……、―――も―――も触って、よ。……そんなに焦らしちゃ…んんっ、やだ」
普段は自分から積極的に動こうとしてくるマイカが俺におねだりしてくるなんて珍しいな。
………まさかとは思うけど四人でどんなセッ――をしたとか、どんなプレイが好きとかっていう話をしてたりしてないだろうな?




