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崖へ⑤

 少女の前には次々と料理が運ばれてくる。

 どれも凄く美味しそうだ。

 本でしか見た事のないご当地料理を見て、目を輝かせずにはいられない。


 あの後、何故か族長の家まで運ばれ座らされたと思ったら、この様なおもてなしをされ始めた。


 その横でこの族長の家まで運んでくれた鳥人はニコニコしている。


「あ、これ美味しいよ!これも美味しいから食べてみなよ!」


 そう言いテキパキと料理取り分けたり、使用人に指示を出したりしていた。

 族長の家なのに勝手な事をして大丈夫なのかと心配になる。


「ありがとうございます。あの、あなたは一体……」


「ああ、俺?俺はあの族長の弟なんだー。だから平気平気。

 ……それよりも俺は、魔族を飼い慣らしている君に興味があるんだよねぇ」


 先程までの無邪気な表情とは打って変わって、こちらを見透かそうとする視線を送ってくる。


 料理に手を出そうとしていたのがピタリと止まる。


「君さ、あの魔族をどうやって飼い慣らしてるの?悪魔族だよね、彼。しかも凶暴だったって聞くよ。ねね、何かコツとかあるの?」


「飼い慣らしてなんていません!私はカシムに恩があるし、夢を叶えてあげたいから一緒にいるだけです!」


「ふぅ〜ん、本当にそれだけぇ?」


 依然としてジロジロと不躾な態度で見てくる相手に熱が込み上げてくる。


 本当にそれだけなのだ。

 なのに何故こんなに言われをしなければならないのか。

 一言言ってやりたくなる。


「だとしても、君達の旅はここで終わりになるだろうね。族長が負けるわけないし。これから君達とどうやって遊んでいこうか今から楽しみだよ」


「こちらこそ、カシムの仲間になってくれること、後でお礼を言ってあげますね」


 強気な視線がぶつかり合う。

 絶対に負けないという自信を持っている。


 族長弟はフハッと息を漏らし、再び元の笑顔に戻った。


「まあ今は決着がつくまで食べて待っていようか」


「そうですね。これから長いかもしれないですからね」


 料理を口に運ぶ。

 うん、思った以上に美味しい。



 -------



 一方、カシムは一時間が経ったあたりで既に飽きてきていた。

 無理もない、ただ飛んでいるだけでアクションは何もないのだ。


 初めのうちは族長が色々と言ってきていたので相手をしていたが、今はとても静かになってしまった。


 少しでも体力を温存しているのだろうか。

 翼のみを動かし、他はじっとしている。


 仕方ないので、空間魔法内に入っている本を取り出し読む事にした。

 タイトルは【うっそ〜!女の子ってこんな事考えているの?!】である。


 昔も今もリリアムの扱いは難しい。

 すぐに頭から内容は抜けてしまうが、ふとした瞬間に思い出せるかもしれないと何度も読んでいる愛読書だ。


 競争の最中だというのにくつろぎ始めたカシムを見て、族長は苛立ちから声をかける。


「ちょっと!今、私と競争中でしょう?!何くつろいでるのよ」


「ああ、少々暇なのでな。お前も本読むか?」


「読まないわよ!!そんな事してて負けて吠え面かいても知らないんだからね」


「私の心配をしてくれているのか?」


「してないわよっっ!!!」


 何をそんなに怒っているんだろうと顎に手を当て、首を傾げる。

 族長はゼェゼェ言いながら、付き合ってられないとそっぽを向いてしまった。




 それから実に26時間が経ち、族長が先に地面に手をついた。


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