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出発③

 少女に言われ、うーむと腕を組む。

 正直なところ、結局行くのだからどちらからでも変わらないだろうと思っている。

 だが、リリアムが説明してくれたのだから一応考えるフリをしてみた。


「……魔族領からにする」


「わかった。ここから近いのは何処の種族だろう……」


 空間魔法から地図を取り出し、現在地と照らし合わせる。

 距離的に人魚族が一番近い事がわかった。


「よし、人魚族から攻めていくよ!方向はー………あっちだね」


 西の方を指差し、残っているサンドイッチを平らげ、その場所を後にした。




 ------




 人魚族。

 マーリオットの全ての海に住んでいる、上半身が人で下半身が魚の人種。

 他の種族からの侵攻もないので、警戒心が少ないフランクな種族である。



 カシム達は浜辺で砂の城を作っていた。

 というのも、リリアムが初めて来た海に大興奮して遊びに付き合わされているのだ。


 砂浜のいたるところに綺麗な貝や石がある。

 少し波が高いが、海風が気持ちいい。


「カシム!ここ穴掘って!」


「む?…ここか?」


 カシム自身もこういった遊びはやった事がないので、新鮮な気分で取り組んでいた。




 時間を忘れて遊んでいたら、すっかり日が落ちてしまった。

 砂浜のそこかしこに二人が作り上げた作品が点在している。

 それをお互い満足げに見つめた。


 流石に冷えてきたので、流木を集め、火をつける。

 物によってはしけっていたので、乾かす担当と火起こし担当に分担した。


 少女にとっては初めての野宿なので目を輝かせながら準備を進める。


 ある程度場が整ったら、夕飯を取り出す。

 遊びがてら魚も獲れたので火にかざす。


「見て見てカシム!流れ星!!」


 男が上を向くと満天の星空に雨の様に降り注いでいる星が見えた。

 思わず感嘆の声を上げる。


 長年生きているが、こういうのをまじまじと見た記憶はない。

 いや、存在自体を気にした事がなかったといった方が正しいだろう。


 リリアムを拾ってからというもの、色んな事知るきっかけになった。

 これからも共に色んなものを見ていこう。


「カシム、そろそろ寝よー」


 食事を終え、少女は寝袋に入るとすぐに寝息をたてはじめた。

 それを確認すると、自分達を覆う様に視認阻害魔法をかけ、寝袋に入った。



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