驚愕③
ハァ……ハァ……。
呼吸が苦しい。
肺が締め付けられる様だ。
普段戦闘訓練をしているとはいえ、ここまでの速度を出した事はない。
しかし、今止まれば、あの男に捕まってしまう。
そうしたら、この少女の身も危ないのではないか。
この城は外敵が来ても良い様に足止め等が出来る構造をしている。
男がいくら城にいたとしても、生まれた時から城にいる自分の方が部がある。
それに王族にのみ継承されている隠し通路もある。
少年は迷わずその通路を選ぶ。
外に出る為には遠回りになるが、敵に追い付かれるリスクは格段に低い。
石造りの通路に足音が響く。
長年使われていない為、虫やねずみがいる。
換気もされてないせいで空気が重く、息が詰まりそうだ。
それでも足を止めるわけにはいかない。
少女だけでも逃さねば。
しばらく走っていると外に出る扉が見えた。
背後を見ても、追いかけてくる気配がない。
少し安堵をしつつ、扉を開け走り込む。
これで逃げ切れたか?!
だが、少年の期待は虚しく、目の前に広がるのは見た事のない光景。
森の中のはずなのに、草の一本も生えていない。
それどころか、辺り一面何もない。
あるのはどこまで続いてるのかわからない赤黒い空間。
背後を確認するが、扉も無くなっている。
「閉じ込められた………」
いや、まだ諦めるのは早い。
入ってこられたという事は、出る方法もあるだろう。
ソーシウスは少女を床に横たえる。
あの男が来るまで足掻いてみよう。
そう思い、魔力を練り出すが。
「お〜ま〜た〜せ〜」
男が声高らかに姿を現した。
くそっ…まだ何も出来ていないのに!
無意識に震える。
「さっきはビックリしたわん。ガクガク震えてるだけだと思ってたのにぃ。」
悩ましげな顔をする。
「で・も、勇ましいのも好きよぉ?それから心をへし折った時の意気消沈した感じとかも最高よねぇ」
片目を瞑り、投げキスをする。
こんなふざけた奴になす術がないのか。
一矢報いたい!
少年は再び身体強化魔法を付与する。
手には護身用の為のナイフを構えた。
幸い、今のところ男は少女に手を出す気はなさそうだ。
訓練はつんでいたが、実戦は初めてだ。
どうやったって、自分は死ぬだろう。
でも……!!
ここで折れたら、リリアムに軟弱者だと笑われる!
リリアム!!リリアム………!!!
「うああああああああ!!!!!!!」
ソーシウスは男に飛びかかった。




