作戦②
この少女が何をしたいのかわからない。
しばらくの間、少女の鼻歌と衣擦れの音が部屋に広がる。
ソーシウスは初めての感覚にふわふわしていた。
今現在、もしかしたら危機的状況なのかもしれないが、そんな事どうでも良かった。
この夢の様な気分を出来るだけ長く感じていたい、そう思った。
やがて、一曲分踊り終わったのだろうか、少女の鼻歌が終わる。
ユラユラ揺れていた身体や手は離され、少年は少し寂しい気持ちになった。
「付き合ってくれてありがとうございます。初めて同じ位の年の人と踊りました」
それを聞いて、少し優越感が込み上げる。
彼女ともっと話をしたい、もっと一緒にいたい。
ーー回想ーー
「それで、どの様な作戦なのだ?」
ある程度、城の従者から話を聞き終わり、カフェで作戦を練る。
ギズベリン王国のカフェと違い、とても質素な造りをしている。
やはり、金回りも悪いと言う事だろうか。
そこへケーキと紅茶が運ばれてきた。
リリアムはそれを口に運ぶと、悪い意味で何とも言えない味に唸る。
「あの王様の寝室に忍び込んでみようと思うの。で、直接ゲルガについて聞いてみる」
「そんな事をしたら、衛兵を呼ばれるのではないか?」
カシムも紅茶を傾ける。
こちらも何とも言えない表情を浮かべる。
彼の言葉にリリアムはそう言われると思ったとばかりに得意げな顔をする。
「だ・か・ら、魅了魔法を使うんだよ」
人差し指を立て、宙に丸をクルクル描く。
魅了魔法とは文字通り、相手の心を惹きつけて夢中にさせてしまう魔法である。
与えられた本の中に魅了魔法があった為、森の魔物達で色々試していたらしい。
もっとも、人間に使用するのは今回が初めてになるそうだが、問題はないだろう。
「そんなわけだから、夜になって王様が一人になったら作戦決行だよ!」
生き生きとした彼女を見て、カシムは小さく溜息をつき、肩をすくめた。




