十歳になった少年アルト
なろう系に近い設定ですが、世界観は古典的なハイファンタジーのイメージを崩さないような内容を想定して書いています。
なろう系が苦手な人に、またはなろう系しか読んでない人が、異世界を舞台にした作品に違った魅力を感じてもらえたらうれしいです。
お笑いがほしい人は別の作者のものを読みましょう。
少年少女の成長物語がテーマです。
おもしろおかしい作品が読みたい人は、ほかの作者の作品をおすすめします。
「アルトも十歳。明日は儀式の日よ。心の準備はいい?」
「神殿で加護を授かるんだ。おれの話したことをおぼえているな?」
「うん」
少年のアルトは父の言葉にすなおに頷いた。
父のロベルトは創造の神グライクの加護を与えられ、鍛冶屋の才能を伸ばして生活をしていた。
本人は十歳になる前から「自分は戦士になるんだ」と息巻いていたようだが、彼の運命は剣をにぎることではなく、剣を造るほうだったのだ。そして父はそのことに不満を感じ、ぶちぶちと文句を言いつづけていたらしい。
べつに創造の神グライクの加護を得たからといって、絶対に戦士になってはいけないということはなく、なろうと思えば戦士になって傭兵組合に入ったり、軍に入って兵士になることもできるのだが、ロベルトはそうはいかなかった。
うかつにも少年ロベルトは、グライクの加護の中でもそこそこ貴重な「魔法印付与」の才を与えられたことをもらしてしまい、彼の父親によって強制的に鍛冶屋に奉公に出されてしまったのだ。
「どんな加護を与えられても、絶対に人にしゃべってはいけないぞ」
そんな父親の体験談はともかく、希有な才を手に入れた人の多くはその能力をひけらかしたり、あるいはその能力を有効に使う道を選ぶものだから、父の言葉にはそれほどの重みはなかった。
しかし例外もある。
かつて幸運の神によって「天の運気」の能力を与えられた人物がいた。
その人物はあらゆる幸運に恵まれ、たいていのことがその人物の望むままの結果を引き寄せるのだった。
その能力のことを話してしまったその人物は、多くのやくざな連中から狙われることとなった。当然だろう。その能力を使って賭博をすれば、毎回思うままの結果を得られるのだから。
彼の人生が狂わされたのは言うまでもない。
アルトはそうしたことがあるのを知っていた。
だから少年は自分が神からどんな能力を与えられても、人には教えないと決めていた。




