#1:旅立ちの日。
はじまりはじまり。
「勇者エリカ・ソリトゥス」
僕の名前が呼ばれる。
僕は、3人の仲間と一緒に王の間に立っていた。
周囲にはたくさんの人々がいる。
「聖女アイリス・グラウベン」
僕の左隣に立つ、最愛の親友の名が呼ばれた。
神聖魔術の技術が高く、その慈愛に溢れた性格も含めて自慢の親友だ。
「戦士バスラ・カサブランカ」
僕の右隣で立っている、豪快な男の名が呼ばれた。
魔術的技能の才能はゼロだが、頼もしいほどの近接戦闘能力は彼がここにいる十分な理由になる。
「魔術師ディロス・アマリリス」
戦士の横で静かに立つ、物静かな男の名が最後に呼ばれた。
4大属性の魔法を操り、多くの研究で成果を上げる天才。
「ここに、王国軍第23魔王征伐小隊の出陣を宣言する」
周囲から盛大な拍手喝采が響き渡る。
多くの人々が僕たちの出陣を祝っている。
魔王征伐小隊。
これまでに何度も編成され、王国から旅立っていった部隊の総称。
現在残存している総数は19。
読んで字の如く、魔王を討つために編成された部隊。
僕たちはその23番目の部隊ということになる。
それは王国に住まう人々にとって最も名誉なことであり、祝うべきことだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「頑張ってこいよーっ!」
「必ず生きて帰ってきてねー!」
「待ってますよーっ!」
知り合い、親族、ファン。
たくさんの人々が僕たちの出陣を祝ってくれる。
嬉しいけれど、どこかこそばゆい。
「なんだか照れますね」
可愛いく頬を染めたアイリスがそう言った。
「同感だ、勘弁してほしいぜ全く」
「俺は悪い気はしなかったけど」
「僕は少しくすぐったかったな」
4人で何となく感想を言い合う。
僕たちは別に、昔から仲良しこよしだったわけじゃない。
僕とアイリス以外は征伐小隊に任命されてから初めての顔合わせが初対面だった。
アイリスとだけは幼馴染で、昔から面識がある。
「さて、俺たちはどこから行くんだっけか?」
「北回りのルートからだ。そっちはまだ魔族の影響が強いと聞く」
魔法で浮かべた地図を見ながら、ディロスはそう言った。
北部山脈はかつて、魔族に対抗する"帝国"という国があった。
今では魔族の領土と化しているが。
「役目でも決めておくか!俺は荷物係がピッタリだと思うが、異論ないか?」
「無いよ。じゃあ僕はご飯係がいい」
「昔からエリカは料理が得意でしたもんね」
「そりゃあ良いや!終わったら勇者食堂でもやるか」
「それもいいねぇ」
全員で声をあげて笑う。
別に、この旅を舐めてるわけじゃ無い。
油断もしていない。
ただ、この旅が後で楽しいと思えるようなものにしたい。
そう願って、僕たちは明るく笑った。
楽しみですね。




