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戦えない俺がなぜか最強扱いされてるんだが、バレたら死ぬらしい  作者: Vasy


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1 プロローグ 最強の爆誕

「俺は絶対最強になってやる!」


「はは、コーザはずっとそればっかりだな」


「ふふ。ねぇ、ラグは?最強に、なりたい?」


「え?俺?…うーん、最強は依頼断れないんだろ?ある程度でいいかなあ」


「なんでだよ!最強こそ最強だろ!」


「ははは、ラグらしいな」


「…そういう男の子もいるんだね」


…はぁ。

この森に入る前に会話していた内容だ。


他愛もない、本当に新人がよくする雑談。

将来はどういう冒険者になりたいか。


アイツらとパーティを組んでから4回目の依頼クエスト


「コーザ、ケイメン、ティプリ…」


「どこ行ったんだよ…」


俺は仲間とはぐれて迷子になっていた。


目的は分かっているし、森の中にいることも分かっている。

森ではぐれたし。


なので目的を達成できそうな場所を目指して歩くしかないな。

今回は薬草の採取だ。

湖のほとりに生えているらしいから、水辺を探せば合流できるだろう。


この国、いや他の国もだが。

四大魔王という人類の敵に脅かされて数十年。


街の外には魔獣や魔族。

必然的に冒険者という職業が生まれた。


俺は特に夢とかは無かったけど、稼げそうだし、やりたいこともなかったし、冒険者になった。


この国では珍しい茶髪、そしてダルそうに見える垂れ目が災いして面接で落ちまくった結果、自暴自棄になったとかではない。


「……はぁ。仲間がはぐれたらすぐに大声出したりとかしないのかねぇ」


それとも、気付かないほどに存在感が無かったのだろうか。

そんなことを考えながら水音らしき音が聞こえた方向へと歩みを進める。


大きな藪をかき分けて、やっと視界が開けたと思ったら。

そこには白銀の毛が美しい、とてつもなく大きい狐がいた。


…あ、いや、狼かも?


藪をかき分けていたので、ガサガサと音がする。

そのため狼としっかりと目が合った。


じっとコチラを射止めている狼。

デカさが異常だ。

腕の1本が森の木よりもデカい。


こんな大きい獣がこの森にいるなんて聞いていない。


闘ってみるか?

いや、足が震えて立っているのもやっとだ。


敵いそうにもないし。

気持ちで負けている。



「あー。ラグール・リビビ、俺の人生はここで終了か…最悪だ…」


半ば諦めかけていた時、右の方から俺が出た時のようなガサガサ音と、何かを引きずるような音が聞こえてくる。


目の前の獣も音のする方を見つめている。

俺なんて気に留める必要もないとの判断だろうか?


と言っても俺も音の方向を向いているのだが。

俺の場合は勝てそうにないからっていう一種の諦めだけどな。


もしかしたらコーザ達だろうかと少し安堵したが、アイツらが合流したとして、この獣の餌が増えるだけだと考え直した。


むしろアイツらじゃない方が良いーー


大きな藪の陰から飛び出してきたのは、またとてつもなく大きい頭。


しかも死を感じるたぐいの頭。

蛇だ。

目の前の獣に負けず劣らずのデカさの大蛇。


この森はどうなってんの?


「完全に終わったわ」


大蛇の口と獣の爪が正面から衝突する。

一拍遅れて空気が爆ぜた。


もちろん、俺も衝撃波に飲まれる。

頭が理解したときには空を飛んでいた。

そしてそのまま背中から大木に叩きつけられた。


「ぐへぇ!!」


まるでカエルが潰れたかのような情けない声を出して、俺の意識は遠のいていく。

気絶した方が、痛みなく死ねるかもな…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ぐっ…、っつ…!ガハッ」


目が覚めたら背中に激痛が。

そういえば木に叩きつけられたんだった。


「生きてる…?」


なんとか立ち上がった俺は生きていることに驚愕していた。


あの獣と大蛇は…?


太陽は既に沈みかけている。

かなりの時間が経過しているはずだが…


最後に立っていた場所へ視線を移すと、そこには俺の生存よりも驚愕的な光景が広がっていた。


さっきの獣と大蛇。

両者とも虫の息で倒れて睨み合っている。

こんなに綺麗な相打ちってなるものなのか…


いや、そんなこと言ってる場合じゃないな。

サッサとこんなところから離れよう。


木に叩きつけられた衝撃で落としたショートソードを拾い上げる。

激しい戦闘だったのだろう。

獣か大蛇のものか分からないが、赤黒い血がベットリと刀身に付いていて気持ち悪い。


後ろからグォォと力ない咆哮が聞こえてきたので振り返ってみると、どうやら獣も大蛇も事尽きたらしい。


急いで逃げる必要は無くなったかもな。

ふぅ。と息をつくのも束の間。

次は目の前がバキバキと音を立て始める。


「おいおい…勘弁してくれよ…獣で大蛇で?次は何だよ…」


「獣?大蛇?何の話だ?」


「ラグ!無事だったのね!」


…なんだコーザ達か。

安心したら膝の力が抜けた。

打ち付けられたダメージは結構きてるみたいだ。


「……え!?なにこれ!?」


「獣と大蛇…!これのことか…!」


「ま、まさかラグがこれを…!?」


…ん?

いや、待て待て。

普通に考えて勝てるわけないだろ。


説明しようとしたが、全く足に力が入らないし大声も出せそうにない。


違う違うと身振り手振りでアピールしてみるが、ぜんっぜん伝わらない。


「マジかよ!!」


「オマエこんなに強かったのかよ!」


「え!?これどうするの!?とりあえず報告よね!?」


「あぁ、まずは協会に報告だ!素材の一部だけ持っていこう。信じてもらえない」


「ま、待てって…」


「安心しろ!ラグの功績を奪ったりはしないさ!」


「素材も、全部ラグが持っていっていいから!運ぶのは任せて!」


ティプリは少しだけ、楽しそうに目を細めていた気がする。


「ち、ちが…」


「血…?どこかやられたのか!?」


「血なんて出ていないぞ…?そのショートソードの話か?」


「まさか外傷無しで勝ち切ったのか…?」


「だがかなり消耗しているな、こんなやつらを同時に相手していたら当然か」


俺を背負ってくれるケイメン。

コイツは本当にカッコいいやつだよ。

なあ、話を聞いてくれないか?


「俺は…何も…」


「無理をするな、しっかり休め。報告は俺たちに任せておけ!」


違うんだよ。

そういうカッコイイところは好きなんだけど、違うんだよ…


こうして、その日。

最強の冒険者が爆誕したーー

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