No.004 説明
なんかすげぇ役職になったんだって。
「これから話すことは連邦の最大の機密であります。くれぐれも他人には話さないように最大の注意を払ってください。この秘密が漏れた場合は、漏らした本人だけでなく、それを聞いた人にも不自由なことが起こってしまうこととなります」
まじかよ……この言葉によって、この部屋の空気が一気に緊張したのが分かった。
そこからの話は本当に衝撃的だった。まず、僕達は父さんに聞いた通り、マジで宇宙に行くらしい。そこで何をするのかと言うと、いわゆる異世界人の動向を監視したりするそうだ。
40年前に終わった世界戦争の前、まだ地球が平和だった頃に異世界人がこの地球に侵略してきた。その時は何とか追い返したものの、その時の利権や異世界人の置き土産、勢力などを争って起きたのが世界戦争らしい。ちなみに異世界人の置き土産は、連邦になった時に全て地球から無くされて、宇宙だけにしか使われないというルールができたらしい。
何でも宇宙のものは地球にとってオーバーテクノロジーのものもあり、それによってまた新たな戦争が起きかねないということだからだそうだ。
「と言うかその前に根本的なところが抜けているんですけれど」
そう先生が話しているときに質問をした生徒がいた。琴丘広海だ。
「なぜ一般人の、それも高校生がそんな事をしなければならないのですか?」
それを聞くと先生は、
「あまり詳しいことは今は話せませんが、素質の問題です。また、先の大戦で日本の人口の殆どが死んでしまったことによる圧倒的な人材不足もあります」
「私達は誰も行くとはいってないですが?」
ごもっともで……そう自分は思ったが先生は、
「連邦軍の徴兵制度を活用させてもらってます。もちろん、それなりの額の給料を支払わせていただきます」
世界連邦には16歳以上に緊急の徴兵制度があるが、実際に自分に使われるとは思ってもいなかった。
「……そういう事を言っているわけではないのですが」
そう琴丘は言ったが、先生はそれからも同じことしか言わない。
「まぁ良いじゃん。たぶん今の言動的にちゃんと考えられていて、素質があるからこそ私達が選ばれたのでしょ?」
そうポジティブに捉えて発言したのは隠岐ななみだ。
「そうですね」
「じゃあなんとかなるんじゃない?」
そんなもんかなあ……
「とりあえず、皆さんにはグループごとに分かれて1,2ヶ月程度、高校の授業と合わせてそれぞれの分野の研修をしてもらいます」
そう言うと、先生は紙を配って書いてある部屋へ行くように指示をした。
「優木はどこなん?」
話が終わってそれぞれが部屋を探している時、そう宗光が紙を見せながら聞いてきた。
「僕とは違うね」
僕は作戦司令室だが、宗光は小会議室だ。場所は真反対か。
「あれ、でも優木はあかねといっしょじゃないか。まあお互い頑張ろうぜ」
そう宗光は笑いながら、職員の人に案内されて逆の方向へ行った。気楽なやつだなと苦笑していると、あかねが後ろから声をかけてきた。私達も行きましょう。あかねはそう言って僕の手を引っ張って僕らが行く部屋へと向かった。
部屋へ着くとそこにはもう先生がいて、5人の生徒が椅子に座っていた。
「好井優木君と水都あかねさんですね。1番前の指定された席へ座ってください」
そう言って僕らが座ったのを先生が確認すると、部屋を暗くしてスライドを立ち上げて話しだした。
「改めまして私は長岡黒矢。世界連邦日本地区軍特殊作戦宇宙軍の指揮官です」
ちなみにこの人の見た目はは30代後半、父さんと同じぐらいだ。
「あなた達にはさっき話した通り、宇宙に上がって船に乗ってもらいます。あなた達の任務はこの地球の生物ではない異世界人、私達がストレンジャーとよんでいる人たちと戦うことです」
「どんな船に乗るんですか?大きさは?他にも船はあるんですか?」
そう言ってすごく興味深そうに目をキラキラさせながら聞いたのは、玉川二葉だ。めっちゃキラキラしてる。……まあ僕もだけど。
「船は宇宙戦艦です。この秘密を知っている人たちからは、君たちのような人が乗る船を、DP艦と読んでいます。大きさはだいたい280メートルちょっとですね。まぁ地球で言ったらまあまあ大きい部類ですね」
それで分かるものか?僕はそういう系は詳しいので分かるのだが、この部屋の中で僕と玉川ぐらいだぞ?たぶん。と心のなかで突っ込んでいると、
「旧帝軍の一番大きい戦艦で260m程度ぐらい。現代の空母は330mぐらい」
パソコンを触りながらそういったのは琴丘だ。
「まあだいたいそんな感じです。名前はスクール隊特殊宇宙多目的戦闘艦、DP-206、ネリネ。他の船はあと6隻あり、他の地区の人達が担当しています」
「この国は7地区に分かれているのでは?あと1隻は?」
思わず気になって僕は聞いた。
「今は7番艦が空白となっています。7地区の船は、今乗る船と条件を満たす生徒がいないので、乗り手がいないのです」
そういうと、先生はネリネの解説をし始めた。
まず、ネリネは宇宙に存在している地球の戦艦の中で最新の船らしい。エンジンは地球で使われているようなエンジンではなく、特殊な燃料と宇宙にある放射線などを組み合わせて使っている。また、艦の中央付近などから伸びている羽は、メインスタビライザーと呼ばれており、地球にはない特殊合金で作られ、これにエネルギーを与えることでエンジンを使わずとも船を動かしたり、いわゆるバリアを展開することもできるらしい。
「ちなみに推力は世界連邦軍正規軍の船の約2.5倍に相当します。ネルネは連邦軍の宇宙における最新技術を詰め込んだ船です」
するとあかねが立ち上がった。
「その船はどこにあるのですか?この地球にあっても宇宙にあっても誰かが望遠鏡とかで気づいてるのでは?」
「その心配はありません。ネリネは宇宙基地にて最後の仕上げをしています。しかも、いまあなた達が見ている空は本物の空ではありません。40年前の戦争終了後から宇宙からの驚異を守るべく、極秘裏に地球を覆う特殊なエネルギーシールドが作られました。そのため今の空からは宇宙基地や船、その船が戦闘しているところは見られないようになっています。また、宇宙へは沖縄から宇宙エレベーターを使って上がることが出来ます」
「沖縄は新型の核攻撃で未だに人が住めないのではないですか?」
「それは表立ってのことです。事実としては、異世界人に唯一上陸を許してしまい、焼け野原となったところに新たに宇宙と往復する基地が作られました。なのでそういった人以外は基本的に行かないので、当然民間人は住んでいないです」
なんとも壮大なスケールの話だが、事実でなければここまでやばい施設に入れたり、このような話を聞かせたりはしないだろう。
他にもネリネに関する様々な事を聞いた。動力源はさっき聞いたとおりで、船の後ろ、両端に4つのスラスターがついていて、その間、船の真ん中にメインスラスターがついている。メインスラスターは状況によって様々なものに付け替えることができるらしい。例えば、メインスラスターからブースターに付け替えることで、より遠くのところへ行ったりもできるそうだ。また、宇宙用の戦闘機が6機搭載できる格納庫があり、予備パーツを組み立てればもっと増やすことも可能なのだそうだ。
「どこかのアニメみたいにロボットではないのですか?」
玉川がそう聞くと、
「技術的には可能なのですが複雑な動きにはまだ対応しきれていない部分もあるので実践に持ち込めないです」
とのことだ。他にもクラスの人数では、特に船や戦闘機の整備に対応しきれないので、ネリネ専用のAIロボットが複数体いるらしい。
また、戦闘用にエネルギー弾と実弾とで使い分ける事ができる連装砲の主砲が前に2門、下に2門、後ろに1門ある。また、同じような砲でも主砲より威力が小さくエネルギー弾だけで、砲身が1つしかない副砲が左右側面に2門ずつ、下に2門、後ろに2門ある。また、地球と同じようなミサイルを搭載できる発射台が6つ、艦の各部にある。ミサイルの種類は対艦ミサイル、対ビームミサイル、散弾ミサイルなど、そして対空兵器としてCIWSやチャフも艦の各所に搭載されている。また、他にも色々とあるが最終兵器としてしか使え無さそうだ。
「ところで、誰が指揮を取ったり操縦するのですか?」
「それは説明で時間を食ってしまいましたが、今から発表します。まずここにいるメンバーはブリッジ、艦橋乗員として乗ってもらいます。ブリッジクルーは、この艦を統括する事が多いので、頑張ってください。まずは艦長ですが、好井優木さんよろしくおねがいします」
「えぇ‼僕ですか⁉」
このとき僕はすごく驚いてしまった。まさか自分がそんな重要なところになるとは思わなかったし、この中で知っている人物では、あかねのほうが適任だと思ったからだ。
「なんで僕なのですか?」
「貴方はそうかもしれませんが、軍の判断で艦長は決まったのです。よろしくおねがいします」
「私も優木が艦長のほうがいいわ」
あかねが言うことは信頼できるが、他の人達が僕のこと知らないのにうなずくか?僕の表情が読み取れたのか、先生は
「他の人達には他の人達に適任の役があります。正直に言うと、今回のネルネのメンバーは、過去の先輩たちの中でも、飛び抜けて良いメンバーが揃っています。私達はあなた達の活躍に期待しているんですよ?」
ちなみに他のブリッジクルーは、機関士が玉川二葉、操舵士が月丘有次、レーダーとシステムが琴丘広海、砲術長が大往時広、通信士とオペレーターが鏡孝宏、そしてあかねは副長だ。正直あかねが副長ですごく安心する自分がいた。そう思っていると、またあの変なやつが部屋に乱入してきた。
人物設定もあげました‼この世界観についてもざっくりとですが人物設定のあとがきで書いています。
今後ともよろしくおねがいします‼