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No.003 いざ出発

いよいよ本部に連れていかれたんだって

「気をつけていくんだよ?」

「お兄ちゃん何かあったら家帰ってくるか私に相談しなよ?」

 うん。帰ってくることはあるけど相談はしない。

「まぁ、私も近くにいるだろうし何かあったら私に相談しなさい」

「分かった」


「私はスルーなの……」

「それと昨日渡したやつは首にでもかけて無くさないようにね?」

「そんなに大事なものなの?」

「そうだよ?まあ役に立つ日が来ないことを願うが」

「そう言えばあれ開けることできなかったんだけど?」

「いずれ開けれる。……らしい」

「えぇ……」

 家を出る日、そんな事はあったものの、僕は家族全員に見送られながら家を後にした。



「「おはよう!」」

 僕が歩いてすぐの公園へ行くと、そこには宗光とあかねが待っていた。公園から家の近くの駅までは近くのバス停から15分。そこから集合予定の駅までは20分。電車の中で僕達はただ静かに目的の駅への到着を待っていた。集合の駅へ到着する直前、あかねが、


「絶対にここに帰ってこなくちゃね」と言ってきた。

「そうだね」

「当たり前じゃないか」

 と、3人で笑って言いあった。


 集合15分前に、僕らは集合場所に定められている6地区で最も大きい駅に着いた。駅に入ると、改札前の広場で黒服でとても目立つ人が立っていた。

「……目立つね」



 通り掛かる人達はぎょっとしてるし、先生の周りを通る人はほとんどいない。しかし前に教室で見たような高校生達が周りに集まっていて、ちょっと異様な光景になっている。駅員さん飛んでこないかなぁ?そんな様子に僕達は苦笑しながら、長岡さんの元へと行った。


「「「おはようございます!」」」

「みなさんおはようございます」


 そうその人はほほえみながら返してくれた。案外いい人なのかと思いながら、サングラスぐらい外してくれないと、周りの視線が痛いと思ってしまった。しかしそんなことは口には出せずに、僕は周りを見渡した。今ここにいるのは、僕と2人の他に10人ほどいる。5分立つと、その数はちょうど先生を除いて20人ぐらいとなった。


 待ち時間の間は、僕らは3人で話をしていたが、みんなはそれぞれのグループで話していたり、スマホをいじっていたり、本を読んでいる人もいた。

「あかねちゃん‼」

「佳代ちゃん!」

「宗光くんと優木くんもおはよう!」

「おう」

「おはよう」


「いやぁ、いよいよだねぇ……3人共これからよろしくおねがいします」

「おう!」

「佳代さんはどこの人だっけ?」

「兵庫の上の方よ」

「そっか……ここまで来るの大変だろ?」

「まあでも鉄道は速いからね。でも7時半ぐらいの列車に乗ったけど」

「だよなあ……」

「でも一本で来ることが出来たし、お金はあのフリーパスで必要なかったし」



 そうなんだよなぁ。実は高校に行った日にメールと一緒にすべてのバス、鉄道、飛行機が無料で乗れるフリーパスが送信されてきたのだ。ただ、どこから乗って何をしているかは記録がつくから悪用したりは出来ないが。

「あれ便利そうだよなぁ。何でも乗れるし」

「だよねぇ。バス乗ったときに使ったけど別に何も思われなかったし」

「そろそろ集合時間の九時になるね」

「そうだな」


 これから何するんだろう、まじで……何度も言うが、不安とともに期待も僕の心のなかにはあった。



 集合時間の9時になると、あの大廣以外の全員が集まった。

「大廣くんは途中からの合流となるので、今から皆さんには特別列車に乗ってもらって1地区に向かいます」



 と言って、先生は歩き出した。世界連邦が運営している高速鉄道、ファストレインは全線地下を走っており、7地区すべての主要駅や1部の大きな駅、他の大陸とも結んでいるすぐれものだ。にしてもファストレインって、ファストフードかよ……まあ自分としては地上の列車でゆっくりと景色を見ながら乗るのが1番良いのだが。ファストレインは速いけど高いし。


 でもこのおかげで飛行機に匹敵する速度で地下を駆け巡っているので一定の需要はある。時速800kmで走るこれは真空式超高速電導リニアと呼ばれていて、駅の区間以外は真空で走っているのでとても速い。そんな高速鉄道の貸切列車に乗って約2時間ぐらい。僕達は1地区の世界連邦軍の建物がある近くのターミナル駅についた。


「めちゃくちゃでかいなここ……ここには何でもあるから1回来てみたかったんだよなぁ」

 そう僕が言うと先生は、

「ここには様々な軍の施設があるため、沢山の人が行き交うし、貨物列車や軍事用の列車も到着するので必然的に大きくなるんです。広さは1地区のターミナル駅よりも大きいですよ」

 と言った。


「それならここをターミナル駅にすればいいじゃん」と宗光が言うが、近くに大規模の陸,海,空それぞれの軍事基地があって商業的には儲けられるが、軍人以外は普通の人が住むことはあまりないし、何かあったときには軍の指揮下に置かれる予定だから一般の駅にはしにくいと先生は答えた。軍専用の改札から外へ出ると、そこには一台の電気バスが停まっていた。


「迷彩色のバスなんだ……」

「みたことねぇなこんなバス……」


 そのバスに乗ると、このバスは静かに走り出した。そして僕等は日本地区軍の本部がある建物の方へと向かい始めた。世界連邦軍日本支部の本部は、1地区の中心より少し離れた、海の近くのところにある。父さんから聞いた話では、軍の敷地の中には、本部がある建物、防衛用基地、空港、演習場、研究所、軍人さんたちの寮やマンションなど、ある意味1つの大きな街が出来ている。ちなみに父さんも普段は本部で働いているらしい。


 また、その駅から基地へ行く反対側の道を行くと、海軍基地もあるそうだ。しかし僕等はそれらの建物を横目に見ながら、隣りにある森の中の方、演習場と思われるところの横をずっと進んでいった。

「森の中で外がよくわからんな」

「秘密基地に行っているみたい」


 だろうな。自分でもそう思うが、多分そういうところなんだろう。しばらく道なりに進んでいくと、突然目の前に頑丈な門が現れた。バスはそこで一度止まると、バスのセキュリティーチェックをし始めた。バスのチェックが終わると、門番の人がバスの中へ入ってきた。


「これから少しセキュリティーチェックをさせてもらうために皆さんに協力してもらいます。証明用の端末をスキャンさせてください」


 そう言うと、一人一人スキャンして確かめていく。これだけの人数をスキャンするのはめんどくさそうだなぁ……そこから先も何個か同じような門を抜けてチェックされると、目の前に大きな建物が現れた。着きましたよ、と先生は言うと、バスを降りてすぐにその建物の中へと入っていく。僕達は、慌ててその後を追いかけていった。


「なんか広いな……」

「こんな山奥にこんな建物があるんだね……」

「セキュリティーも厳しそうだし」

「だよなあ。明らかに異常だよここ」



 建物は地上4階建てだが、とにかく大きい。入り口は吹き抜け構造になっていて、中にいる人達は僕らの方をちらちらと見ているひとがほとんどだ。そりゃそうだろう。こんな軍事基地に高校生が入ってくることなんてほとんどないのだからなぁと思っていたのだが、じゃあここは一体どういったところなのだろうと心のなかで考えていると、少し広めの会議室みたいなところに僕達はたどり着いた。



「今からここでこれからのことについてと、私達の組織についての説明などを話させていただきます」

 そういうと、先生は画面を暗くして、衝撃的なことを話し始めた。


昨日より5日間連続投稿中‼

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