No.002 ショッピングにて
なんか遊びに行った気分じゃなかったんだって
家を出る2日前、僕はあかねと宗光に半ば強引に家から引きずり出されて3人でショッピングモールへ出かけた。家からバスで20分。そこにはここらへんの地域で最大規模のショッピングモールがある。
「人が多くて嫌だなぁ……」
「たまに来てるでしょ?しずかちゃんから聞いてるんだから」
「どうせクレーンゲームとかプラモ買いに来てるんだろ?たまには俺たちとも遊ぼうぜ?」
たまにだ、たまに。しずかめ……いちいち言いよって。
「平日は人が少ないからいいんだよ。まぁ発売日が土日のものとかは頑張ってくるけど」
「たまにはもっと違うこともしようぜ?」
「そうよ。どうせしばらく来れないんだから」
そんな事言われてもなあ……自分は家でのんびりが良いんだよなぁ。別に外に出たくないとか外で体を動かしたくないとかそんなわけではないのだが。
そんなことを言ってると宗光が、「とりあえず今日はとりあえず遊びまくろうぜ‼」と言いながら、ゲーセンへ駆け出していった。
「相変わらずあいつは遊ぶの好きだな……というか結局いつも僕が行ってるとこじゃん」
と、僕達も笑いながら追いかけていった。
「わぁ‼これ今回のアニメのやつじゃん‼プライズ出とったのか」
500円で獲れた。
「これはロボットもののヒロインじゃん‼これも獲ろ」
700円。
「あの抱きまくらちょっとセクシーで良さそう‼」
600円。
「これは……よくわからんけどかわいいし獲ろ」
300円。
「あの~、優木さん?」
「何?あかねも獲ってほしいものあるの?」
「じゃぁそこの可愛いぬいぐるみ……じゃなくて、そろそろ獲るのやめにしません?周りの人の注目浴びてるし、店員さんもなんか見てるし」
危ない危ない。いつもの癖で乱獲するところだった。……もう遅かったか?
「すまん。宗光は?」
「あっちで小さい子どもたちと何かしてる」
指をさされた方向を見てみると、子どもたちと宗光がなんかリズムゲーム?音ゲー?みたいなものをしていた。自分はクレーンゲームとかは得意なのだが普通のゲームは昔からしていなかったせいなのかからっきしだ。
宗光の家のゲームで遊んだ時は2人に全戦全敗という成績も残している。傍から見ると大きくてちょっとちゃらそうなお兄さんの周りに小さい子供が群がっていて異様だな……
宗光はその格好に似つかず意外と小さい子供たちにもウケが良いからいつも気づけば囲まれていることが多い。でも宗光の格好のせいでお店ではいつも店員さんがよく監視している。
「宗光〜、そろそろ行くぞ〜」
「おう‼」
そういうと、僕等は店の外へと出ていった。
ちなみに、出る直前に、店員さんから、「何と言うか、すごいですね・・・次からは気をつけて行動してくださいね」と言われた。うん、今度行くときは気をつけよう。前に1回出禁にされた店があるけどそんなことにはもうなりたくないしな。
「あっちに行ったらどんなことさせられるんだろうねぇ……長岡さんって軍の人なんでしょ?」
「宇宙に行くらしいよ。お父さんが言っていた」
「えっ?マジかぁ」
「俺がご飯買ってきてやったのに何呑気にびっくりするような話ししてんだよ」
「あぁ、ありがとう宗光」
「それで、僕等は宇宙に行く羽目になるのか。何かやばいことに僕等突っ込んでるような気がするのだが気のせいか?」
うん、思ったけど考えないことにしておこう。
「まあそうだよねぇ。でも考えていても今は無駄か」
そんなこんなで僕達は食べ歩きをしたり遊んだりしていたとき、異変に最初に気づいたのはあかねだった。
「ねえ、優木、宗光?なんか私達つけられていない?」
「えっ……」
全然気づかなかったのだが宗光は、
「ゲーセン出た後から急につけてきているな……今まで何もしていないから大丈夫だろうとは思うけど……」
宗光がちょっと前から急に周りを気にしだしたのはこのせいか……
「まあ僕達になにもないように監視しているんじゃないかな?」
「そうだね。何もしていないし、尾行していた人もなんというか素人くさかいし僕等の仲間だと思うなぁ……」「優木って最初に気づかないのに気づいたあとは何故色々とわかるんだろうか?」
あかねがそう言ったが、僕にも何となくで言っているので、わからないものは何も言えない。
「ねぇ。良いこと思いついたんだけど?」
あかねが悪そうな顔をしているよ……こういうときのあかねは何しでかすかわからん。
「あの人達を脅かしてみない?」
「えぇ……」
「やって見る価値はあるな!優木曰く素人らしいしね」
「多分だよ‼そんなんで命狙われていたらどうするの‼」
「大丈夫大丈夫‼そんなんだったらとっくに狙っているよ」
でも……大丈夫かなぁ?
「じゃあ優木とあかね、俺の2手に分かれて通話しながら行動しよう」
「了解」
「分かったよ……」
『俺の方に来たわ。位置見せるから後ろに回り込んでくれ』
『分かった』
「ほら、優木行くよ」
「……あかね。急ぐぞ」
これは予想外というかまずいかな?
「何で?」
「もう1人つけてきている」
とりあえず撒いたほうが良さそうだな。
『宗光、こっちにも人がいた。ちょっと撒いてから脅かす』
『まじかよ。もう1人いたのかよ。まぁ分かった』
「とりあえず人混みの多いところへ行くぞ、あかね」
「分かったわ」
「なんとか撒けたな」
「そうなの?」
「たぶん……」
人の気配がしなくなったし、人が多いから見失っているだろう。
『宗光悪ぃ』
『遅いぞ優木、じゃあ頼む』
『了解』
「じゃああかね、驚かすか」
「そうね。さっさと行きましょう」
「……あの人だよな?」
「多分そうね」
「どうする?」
まさか肩を叩く訳には行かないからな。
「2人で話しながら後ろから近づくか」
というわけであかねと喋りながら若い人のもとへ近づくと、その人はどこかへ行ってしまった。
『結局あれは何だったんだろうね〜?』
『まあ何もされなかったから良いけど』
『あまりむちゃするなよ本当に……』
僕等は家に帰ってきたあとも通信をしていた。
『でも何ていうかまだ若い人だったよね?』
『そんな感じだったかなぁ』
そんなこんなで通話を楽しむ夜だった。
家で過ごす最後の日は、部屋の片付けやら引越し業者に持っていく荷物を引き渡したりして、あっという間に過ぎていった。出発前の最後の夜、生活に必要なものが殆どなくなった部屋で過ごしていると、しずかが突撃してきた。
「お兄ちゃん。いよいよ明日ほんまに居なくなってしまうんやね……ねぇ、本当のことを教えてくれない?なぜそんなところへ行くのかを……噂とかを聞いたりいろいろ調べたんだけど、極稀に生徒全員が行方不明になったり、あまり姿を見せなくなってしまうクラスがあるって調べたら出てきたんだけど……お父さんに聞いてもはぐらかされてしまうし」
言いたいのは山々だが……
「もしそうであったとしても僕は死ぬつもりはないし、ちゃんと帰ってこれるように頑張るから大丈夫だよ!」
そう言うと、しずかは少し心配そうな顔だったが、最初よりは安心して戻っていった。まあ自分が一番心配というか、ちょっと期待しているところもあるというかはある。でもまあそんな急に宇宙に行って死にたくはないからな。まあみんなのためにも絶対に死なないぞと思っていると、今度はお父さんが入ってきた。
「優木、明日はいよいよだな」
「そうだね。お父さんは?」
「数日したらまた戻る」
「そうなんだ……」
「優木、私からはこれを渡しておこう」
そう言ってお父さんはロケットペンダントのような、ザラザラだけど何も彫刻されていないものを渡してきた。
「これは?」
「お守りのようなものだよ。これから先何かに役に立つかもしれない。大事に持っていてくれ」
「分かった」
にしてもなんだこれ。開かないしなんかよく見ると金属みたいな変な物質だな……まぁありがたくもらって持ち歩こう。
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