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32.黒川の家2

 「お茶を持ってくるわね」と言われて聖が部屋を出て行ったので俺は手持ち無沙汰にしながら、部屋を見回す。洋服棚とかに手をかけたら俺の人生は終わるだろう。という事で俺は目立つサイズの本棚に視線を送る。聖はむっつりサキュバスだからこの中にエロ漫画とか混じっていないだろうか。

 丁寧に巻ごとに整理されている本棚には少女漫画と、友情をメインにした青春漫画、ライトノベルや小難しそうな本、後は黒魔術とか色々とオカルトなようなものがあるようだ。



「まあ、自分がサキュバスの血を引いているって知ったら気になるよな……」



 俺は何となくその中で背表紙が無い一つの本を取り出した。エッチな本だったりしたらからかってやろう。エッチな本だけカバーを隠すのってやるよな。一つ目の本に目を通すと達筆な字でかかれている。



『まさか、サキュバス召喚が本当に行われるなんて思いもしなかった。これで、私がサキュバスの血を引いているというのはゆるぎない事実になってしまったのだ。しかも、私を召喚したのはクラスメイトの妻田君だった。彼に触れてしまったが、大丈夫だろうか? 私に触れたせいで、彼の人生が狂ってしまったら申し訳なさすぎる』



 これ、聖の日記だぁぁぁ!! 俺は罪悪感に包まれて本棚に戻す。しかも、俺の事を無茶苦茶心配してるじゃん。本当にいいやつだな。続きを読んでみたいという気持ちにも少し襲われたが、なんというかそれは人としてダメな気がして慌てて戻す。

 コンコンとノックの音がしたので俺は扉をあけるとトレイに紅茶と俺が持ってきたシュークリームとクッキーをのせた聖が立っていた。



「紅茶でよかったかしら? あと部屋のものは漁ってないわよね?」

「え、ああ、漁るわけないだろ。何を言ってるんだ。紅茶もらうな」

「ふーん、ちなみにハレンチなものは一切ないわよ。残念ね」



 彼女はふふ、とからかうような笑みを浮かべる。あ、むっつりサキュバスって言ってたの気にしてたんだ。とはいえ、日記を見たことは絶対言わないほうがいいだろう。無茶苦茶怒られそうだしな……俺は紅茶を口にしながら思ったのだった。



「あら、このシュークリーム結構美味しいわね。意外とセンスあるじゃないの」

「ああ、五月雨のおススメなんだよ。このクッキーも美味しいな、適度な甘さで紅茶によく合うな」

「フフ、それは百円均一のやつよ、あなたって馬鹿舌ね。ラブコメみたいになんでも美味しいって言ってると後悔するわよ」

「理不尽に罵られた!! 本当に美味しかったんだが!?」



 そう言うと彼女はくすくすとからかうように、でも、どこか嬉しそうに笑う。



「今日は来てくれてありがとう、急だったからびっくりしたでしょう?」

「ああ、俺的にも女子の部屋に来れたのは嬉しいから構わないぞ。でも、確かに急だったな……一体どうしたんだ?」

「お母さんがね、友達を呼べ友達を呼べってうるさかったのよ。多分、私に友達いないんじゃないかって心配してたんでしょうね」



 そう言って彼女は少し遠い目をして語った。ああ、そうか、聖は中学から人と距離を取り始めてたんだよな……そうなると、友達と遊んだりするのも減るわけで……親が心配するのもわかる気がする。



「あ、でもお母さんに召喚の儀式の事は絶対内緒にしてね。変な心配をしてされたくないし……」

「変な心配って……お母さんも儀式の事は知っているんだろ? だったら説明すれば……」

「いや普通に考えてクラスメイトに召喚されて順守権とかあるっていわれた心配されるじゃない……それこそエッチな同人誌みたいなことになってるかもって思うでしょ」

「確かに……」



 まあ、自分で言うのもあれだがサキュバスを召喚しようとするやつなんて頭おかしいもんな、そして、会話がひと段落した後に、少し恥ずかしそうに言った。



「それで……この後って何をすればいいのかしら……おままごとってわけにはいかないわよね?」

「いや、高校生になってそれは……あ、調理実習の時に言っていた人妻プレイでもするか?」

「あなた、私を馬鹿にしているでしょう、私はむっつりサキュバスなんかじゃないわ」



 聖は唇を尖らせて抗議をする。そんな彼女に「悪い悪い」と軽く謝るとクスっと笑って「仕方ないから許してあげるわね」と言ってくれた。なんかムチャクチャいい感じじゃないだろうか?



「そうだな……こういう時は映画とかみるのはどうだろう? 聖はどんなのが好きなんだ?」

「そうねー、サスペンスも好きだし、ファンタジーも好きよ。せっかくだから、お互いのおススメを教えあいましょう。私も翔君の好みを知りたいしこっちに来なさいな」



 そう言いながら彼女は俺の横に座らせて、パソコンを起動させる。てか無茶苦茶近いんだが……肩と肩が付くっつくかくっつかないかの距離に俺はドキドキしてしまう。これは彼女いない歴=年齢の俺には刺激が強すぎる……

 そんなことを思っていると、どうやらシャットダウンされていなかったらしく、彼女が寝る前に見たであろうサイトが、表示される。『人妻とお料理教室』とかいてあり、サンプル画像で綺麗なお姉さんとAV男優がイチャイチャとしているシーンがあったりした。ああ、安心院から回収した時に内容が気になったんだな。



「……」

「……」

「これはちがうのよ……その……間違えて検索したの……」

「やっぱり、むっつりサキュバスじゃん」

「ううーーーー」



 そう言って顔を真赤にして呻く聖は無茶苦茶可愛かった。ちなみにその後は無茶苦茶セックスしたなどということはなく、聖が落ち着くのを待って普通に映画をみるのであった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 聖ちゃんのイメージが固定化されてきましたね(笑) ムッツリなのはサキュバスの血なのかはたまた、年頃の女の子故のものなのか・・・ どちらにしてもこれは可愛い!
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