19.五月雨ちゃんと翔君2
女の子が自分の部屋に来るというのは男子高校生にとっては一大イベントだと思う。ラブコメならばそこでちょっとしたアクシデントがあったりしてヒロインとの距離が縮んだりもするものだ。だが、五月雨に限ってはそれはない。だって、子供の時から何回も行き来しているんだぜ。今更である。
「あらー、五月雨ちゃん相変わらず可愛いわね。まるでSSRの美少女よね。うちの配布男子高校生と交換してほしいわ」
「えへへー、ありがとうございます。翔兄にもいいところはありますから……多分」
母さんも騒ぎ立てるでもなく当たり前のように会話をしている。五月雨は俺の母の前では翔兄と呼ぶ。元々そういう風に呼んでたからな。付き合いが長い母も五月雨をまるで娘のように思っているので違和感はない。ていうか配布ってひどくない? むしろあなたの家に俺が配布させられたのだが……
「あ、これシュークリーム買ってきたんでどうぞ。友達がバイトしているカフェのやつで結構おいしいんですよ」
「ありがとう、後で紅茶を持っていくわね。翔、五月雨ちゃんが可愛いからって変な事したらだめだからね」
「はは、こんなガキにするわけないじゃん!! 五月雨いくぞ」
「あ、またガキ扱いした!! わたしだって華の女子高校生なんですよ!! 先輩と違ってモテるんですからね。私のクラスの男子が家に遊びに行ったことを聞いたら無茶苦茶羨ましがりますよ!!」
「はいはい、嬉しい嬉しい。あ、ポップコーンとコーラ買っておいたぞ」
そんな風に騒ぎながら五月雨を引き連れて、俺は自分の部屋へと向かった。さっき、うちに来るのがいきなり決まったのであまり掃除をしていないんだよなぁ……とりあえず魔法陣は押し入れにしまってあるが、部屋は汚いままである。まあ、五月雨だし、いっかーなどと思っていると五月雨が俺の本棚を見て本をとった。待ったそれは……
「またラブコメ増えてますね、こんなん読んでるから先輩はモテな……きゃーーー!!」
「あ、それは……」
俺が止める間もなく、パラパラと読んでいた五月雨が顔を真っ赤にして悲鳴を上げて本棚に戻した。目新しかったからだろう、こいつピンポイントで俺が隠してるエロ本を見つけやがった……
「エロ本を隠すならもっとちゃんと隠してくださいよ!! ちょっと読んじゃったじゃないですか!!」
「いや、人の部屋のものを勝手に読むなよ……てか、相変わらずそっち系はだめなんだな……」
「別にいいじゃないですか!! こういうのは将来の彼氏と一緒に学んでいけばいいんですよ!!」
顔を真赤にしてこちらに抗議をする五月雨だった。高校デビューをして外見こそ今風になっているものの、やはりこういうところは昔と変わらないなと思い、俺は少し微笑ましくなる。
「いいから早く映画を観ましょう!! まったく翔兄ちゃんはエッチなんだから……」
「男はみんなエロいんだよ。ほら、これでいいんだろ?」
俺がニヤニヤと笑いながらパソコンをつけると、彼女も頬を膨らませながらベットに座った。まあ、中身は某騎士王の映画ではなく、ホラーなんだけどな。
その五分後五月雨の悲鳴と何かを殴る音が俺の部屋に響くのであった。
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