18.五月雨ちゃんと翔君
授業が終わった放課後帰りに支度をしていると、騒がしい声と共に五月雨がやってきた。お昼の後に彼女からラインが来て、今日、俺の部屋で映画を観る事になったのだ。
「翔先輩、約束通り今日は家に行きますからね。逃げちゃだめですよ」
「なんで俺が逃げるんだよ……待ってるに決まってるだろ。あ、あれか、昨日一緒に帰らなかったかかまってほしいのか? まったく五月雨は甘えん坊だなぁ……いってぇ!!」
なんだかんだ懐かれていて悪い気がしない俺は五月雨の頭を撫でてやったが、ぱちんとはじかれた。このクソガキ本気ではたきやがったな!!
「だから、頭ポンポンはイケメンだけの特権って言ってるじゃないですか、せっかくセットした髪形が乱れるからやめてください!! 罰として今日のお菓子は翔先輩のおごりです。キャラメルポップコーンを所望します」
「くっそ、ラブコメ読みすぎて、もはや、何が正解かわからなくなってきたんだが!? やっぱり頭ポンポンはだめなのか!?」
「あー、今日は妻田の部屋で二人で映画だっけ? いいなぁ、僕もバイトが無かったら行きたかったんだけどな……」
「まあ、俺達は今度の円卓会議があるからいいだろう」
「そうだねぇ、すごい楽しみだよ。今回のは僕のおススメだからね」
「円卓会議……? なんか二人とも気持ち悪い笑みをしててきもいんですけど……」
五月雨がキョトンとした顔をしているが、俺と中村はにやにやと笑いあう。そう、円卓会議とはそれぞれの推しエロDVDを発表しあうのである。ちなみに前回の優勝者はAVマスターの安心院である。などと思っていたら、視界の端に黒川を見つけたので声をかける。
「お疲れ様、黒川」
俺が手を振ったけれど、彼女はそのままスルーしていってしまった。気づかなかったのだろうか? それとも俺はお昼になんかやってしまったのだろうか?
「どんまい、妻田……またフラれたね」
「だから、フラれてねえよ!! 挨拶しただけだろ!!」
「恋人でもない女の子に頭ポンポンするような人ですからね、またなんかやらかしたんじゃないですか?」
「うっせー、そういや、頭ポンポンはだめみたいだけど、壁ドンはどうなんだ? 最近練習してるんだが……」
「うわぁ……妻田……それはモテないよ」
「アウトですねぇ……常識で考えてそれで喜ぶ人間はいませんよ……これもただしイケメンってやつだけです。まあ、それでも試しに私にやってみてください。そのまま蹴り飛ばしてあげますよ」
馬鹿な……俺の鍛錬は無駄だったのか……衝撃の事実に嘆くのだった。俺のエア壁ドンの成果が発揮されることはなそうである。
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