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ステラセイド  作者: うつつ戯言


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20/20

魔族との邂逅⑦

 俺と魔族であるギヴァーの『星の聖戦ステラセイド』が幕を開けた。


 互いのライフが数値化され、空間に浮かび上がる。


 【プレイヤー:10】

 【エネミー:10】


「先攻は俺だ。緑のマナを追加する」


 マナを追加したギヴァーが獰猛な笑みを浮かべ、手札からカードを一枚フィールドへ叩きつけた。


 同時に、ギヴァーの背後の光(マナを表す光)が5つ消費される。


「クラス6『緑角の小悪魔』をガーディアンゾーンに召喚!」


 魔方陣から、鋭い緑の角を生やした小柄な悪魔が実体化し、ギヴァーの前に舞い降りる。


 どうやら、奴が使うのは緑属性のデッキらしい。緑マナを一つ得たことで、緑のクラス6ユニットを5コストで召喚している。


 白属性しか戦ったことない俺にとって、初めての属性の相手だ。油断はできない。


 登場した小悪魔が怪しげな光の魔法を放ち、ギヴァーの背後にマナの光が一つ生み出された。


「召喚時効果でエクストラマナを一つ獲得だ。俺はこれでターンを終了する。さぁ、何ができるか見せてみろ」


 【プレイヤー:10】

 【エネミー:10】


「俺のターン、黒のマナを追加する」


 後攻の俺に与えられたマナは、今追加した黒マナを合わせて7マナだ。俺は手札を確認し、冷静に戦術を組み立てる。


 緑属性の特徴の一つとして、エクストラマナを活用した戦術があると、エルマさんに教えてもらったことがあるが、実際はどのような動きをしてくるか分からない。


 だが恐らく、エクストラマナを蓄積し大きなアクションを起こしてくるはずだ。このターンはそれに備えて、何が起こっても対応できる盤石な状態にしよう。


「黒魔法、クラス3『黒の奔流』を発動!」


 手札からカードを放つと、黒い魔力の奔流が空間を駆け抜け、俺に新たなカードを1枚もたらす。そして役目を終えた『黒の奔流』は、魔力の溜まり場であるアナザーフィールドへと配置された。


「さらに、クラス4『黒の盾兵』をガーディアンゾーンに召喚!」


 影の中から漆黒の重装甲を纏った盾兵が、俺の前に実体化する。


「バトルフェイズ! 『黒の盾兵(BP5)』で、『緑角の小悪魔(BP7)』にアタック!」


「ほう?BPで負けているユニットで突っ込んでくるか」


「 『黒の盾兵』はガーディアンゾーンにいる時、BPが+2される! さらに、アナザーフィールドに黒魔法のカードが存在するため、追加でBP+1だ!」


 『黒の盾兵』の身体から、黒い魔力が溢れ出す。合計BPは8へと跳ね上がり、盾兵の強烈な突進が『緑角の小悪魔』を弾き飛ばし破壊した。


「少しはやれるみたいだな。ガーディアンが破壊されたことで、俺はエクストラマナを追加する。さらに『緑角の小悪魔』の破壊時効果で、エクストラマナを獲得だ」


 ギヴァーはガーディアンゾーンのユニットが破壊された時に受けれる恩恵を、手札補充ではなくエクストラマナを選択した。


 『緑角の小悪魔』が光の粒子となって消えるのと同時に、ギヴァーの背後にエクストラマナの光が二つ灯った。


 奴は既にエクストラマナを3つ獲得している状態だ。まだ序盤だが、次のターンから大きなアクションをしてくる可能性がある。高クラスユニットを出されると、それを倒すためにマナを消費してしまい、ギヴァー自身にダメージを与える手段が限られてくる。


 それを見越し、俺は今の段階で少しでもダメージを与えることを選択した。


「残り2マナを使い、スキル『魔装剣』を発動! 」


 俺は手にした狩猟剣に魔力を纏わせ、『魔装剣』を構築しギヴァーに斬りかかる。漆黒の斬撃が、ギヴァーの身体を切り裂く。

 

 「ぐはぁッ」


 星の聖戦では、プレイヤーに対して外傷は与えられないよう護られているが、痛みは感じてしまう。


 俺の放った『魔装剣』によってギヴァーのライフ3を削り取った。


「ターン終了だ!」


 【プレイヤー:10】

 【エネミー:7】


「ククッ……この痛みが……戦っていることを実感させてくれる!」


 ギヴァーはダメージを受けたというのに、むしろ歓喜に打ち震えるように肩を揺らした。


「さぁ!ここからが本当の戦いの始まりだ!超越宣言オーバーターン!」


「なにぃ!?」


 先攻2ターン目で、超越宣言オーバーターンだと!?


 ゲーム中に一回しか宣言できない代わりに、勝負を決めるための様々な恩恵を得れる貴重な超越宣言を、こんな早いタイミングで使うのか!?


 奇抜な戦術に驚愕していた俺を見て、ギヴァーは嘲笑うかのように語りかけてくる。


「この程度のことで驚いているとは。貴様の実力も底が知れるな」


 ギヴァーは緑マナを追加し7マナ、さらに超越宣言のボーナスによってエクストラマナを獲得。合計4個と脅威的な数のエクストラマナを所有している。


「貴様はこれから圧倒的な絶望を知ることになるだろう。出でよ、我が最強のしもべ! クラス8『緑角の獣王ベヒモス』を盟約召喚!!」


 空間がひび割れ、そこから山のような巨体で緑の角を持つ魔獣が、咆哮を上げて実体化した。


 クラス8……初めて対面したがなんて圧倒的な存在感だ。ベヒモスが放つプレッシャーだけで、ガーディアンゾーンに立つ俺の盾兵の重装甲がミシミシと悲鳴を上げている。


 俺の持っている最もクラスが高いイヴミラでもクラス7だ。クラス8、一体どれほど強力なユニットなんだ……。


「ベヒモスのオーバースキル発動! 手札3枚をエクストラマナに変換する。さらに変換した枚数分、俺のライフを回復する!」


「なっ!?」


 手札を3枚消費するとはいえ、ライフ3回復とエクストラマナ3個獲得を同時に行う脅威的な能力に、俺は動揺した。


 ギヴァーの周りに癒しの光が広がり、ライフが全回復する。背後には大量エクストラマナが漂っていた。


「まだまだァ! クラス4『緑角の小鬼』を召喚。召喚時効果でエクストラマナを1つ消費し、1枚ドロー! 」


 生み出したエクストラマナを消費して、手札補充を行えるのか。これが緑属性の戦術……。


「さぁ、絶望のバトルフェイズといこうか!」


 ギヴァーが意気揚々と腕を振り下ろす。


「バトルフェイズ開始時、ベヒモスの効果発動! エクストラマナを2つ消費し、BPを+3、さらに『貫通』を得る!」


 ベヒモスの巨体がさらに膨張し、BPは圧倒的な13と到達する。


「踏み潰せ、ベヒモス! 『黒の盾兵』をスクラップにしろ!」


「くっ……!」


 『黒の盾兵』は、ベヒモスの巨大な足に踏み躙られ、一瞬で光の粒子となって破壊された。ガーディアンゾーンの『黒の盾兵』が破壊されたことで、俺はエクストラマナを1つ追加した。


 だが、貫通効果を持つベヒモスの攻撃はおさまらない。ベヒモス(AP4)のダメージが衝撃波となって直接俺を襲う。


「がはァッ!」


 俺は圧倒的な衝撃波に吹き飛ばされ、結界の壁に激突する。激しい痛みが全身を襲う。


 俺が立ち上がる暇も与えんと、ギヴァーは再びユニットに攻撃命令を送る。


「さらに『緑角の小鬼(AP2)』でプレイヤーにアタック!」


 小鬼の鋭い爪が俺の身体を切り裂き、さらに2ダメージを受けた。


 【プレイヤー:4】


「ハァッ……ハァッ……」


 ユニットニ体の攻撃を受け、ライフはあっという間に半分以下になり、危機的状況に陥った。あの魔族、実戦では大したことないと思っていたが、星の聖戦においてはかなりの実力者かもしれない。


「どうした? もう立てないのか? ならばトドメだ! フィナーレフェイズ!」


「マジかっ!」


 先攻2ターン目にも関わらず、ギヴァーの繰り出す猛攻に驚愕した。超越宣言、そしてフィナーレフェイズ。それぞれ破壊力はあるが、マナを大量に消費する大きなアクションだ。基本的にはマナが増えてきた後半に行うことが多い。それを僅か2ターン目から出力を落とさずプレイできるマナの数……これが緑属性の戦術か。


 ギヴァーはエクストラマナの光を2個握りつぶし、巨大な魔法陣を展開する。展開された魔法陣は、周囲の空気とマナを吸引し圧縮していく。


 この技はまさか……


「今度こそこの技で消し去ってやる! 奥義、『魔刃旋風ヴォーパル・ストーム』!!」


 魔法陣からすべてを切り刻む風の刃が発生する。


「この奥義は、俺がこのターンに消費したエクストラマナの枚数分のダメージを貴様に与える!」


 このターンに消費されたエクストラマナは、小鬼が1個、ベヒモスが2個、そして奥義発動のコストで2個。つまり合計5ダメージということになる。


 俺の残りライフは4。5ダメージを受ければ敗北してしまう。


 「暴風の刃に切り刻まれろ!!」


 放たれた『魔刃旋風ヴォーパル・ストーム』がこの身体を切り裂こうとしたその瞬間。俺は正面に手をかざした。


「させるかッ! エクストラマナを消費し、スキル『魔装の盾』を発動!!」


 俺の手のひらの先から、分厚い漆黒の盾が実体化する。


「『魔装の盾』の効果!アナザーフィールドに黒魔法が存在するため、受けるダメージを3軽減する!」


「チッ、姑息な真似を……!」


 風の刃と漆黒の盾が激しく激突する。盾は砕け散ったが、『魔刃旋風ヴォーパル・ストーム』の威力は弱まり、俺の受けるダメージは2まで抑え込まれた。


「俺はターン終了だ。首の皮一枚で繋がったな、アルス」


 【プレイヤー:2】

 【エネミー:10】


「ハァ……ハァ……」


 特大のダメージを負い、俺の息は荒くなっていた。


 まさか、先攻二ターンに合計10ダメージ以上与えてくるとは予想もしていなかった。


 盤面のユニットは0体、ライフは僅か2しか残っていない。このギリギリの状態でギヴァーの前に聳え立つクラス8のガーディアンユニットを倒して、ライフを削りにいかなくてはならない。


 あまりに絶望的な状況だ。


 ……だが。


「ふっ……あははっ」


 俺は膝に手をつきながら、自然と笑みが溢れ出していた。


「強がりか? 哀れな奴め」


「違うさ。……ああ、最高だよ。これほどの絶望的な劣勢! これをひっくり返せなくて、何が『一番星命者ステラホルダー』になるだ!」


 全身の痛みに耐えながら身体を起こし、真っ直ぐにギヴァーの目を見据える。


「いくぞ、俺のターン!」


 俺の闘志の炎は燃え上がっている。

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