緑の懺悔
神の手も届かぬ領域に潜む、伝える事のなかった想い……
表現たちが胸に秘めし追憶を、ご覧下さい。
※第27部「闇にへだつや花と水」のネタバレを含みます。
「ユメ様、ごめんない」
ユメ様は、僕が何を謝ったと思ったんだろう。
きっとその答えは、僕の本意とは違う。
僕はただ、自分の性格の悪さを謝っていた……
ユメ様はいつも僕に、素直な良い子だと言ってくれた。
でもそれは、僕が良い子を演じていたから当然だ。
そうすればユメ様は、僕が僕でいて欲しいと願うでしょ?
だけど本当の僕は、全然良い子ではなくて……
僕があの時、一番に考えた事は。
このまま生き残ったところで、
もう読んで貰えないかもしれないという恐怖だった。
ユメ様の力になれない事が怖いんじゃなくて、
ユメ様に愛想を尽かされるのが怖かった。
ユメ様が好きな僕は、強くて儚くて……
だからここで生き延びる僕なんて、きっと好きじゃない。
僕はユメ様に好かれていたい一心で、自分の腹を斬ったんだ。
ユメ様がそんな人じゃないって、本当は分かってる。
だけど僕は、ユメ様に傷物のような目で見て欲しくなかった。
僕はユメ様に、憐んで欲しくない。
病気で死んだあの時みたいに……
気持ちだけは傍にいるだなんて綺麗事で、
ゆるやかに遠のいていって欲しくなかった。
「オキタくん、死なないで……」
ユメ様はいつだって僕にそう言ってくれた。
その涙が液晶の画面越しに、僕の頬をくすぐる。
僕はいつも、ユメ様の涙を拭いたいだなんて想いながらも。
それよりも強い意志で、僕の為にもっと泣いて欲しいと願っていた。
僕はユメ様が大好きだ。
ユメ様はずっと、僕だけを見てくれていた。
ユメ様の涙も笑顔も、いつだって僕のものだった。
それなのにやっと出会えた貴方は、
他の男なんかとも出会っていて……
人間ってそんなに存在が輝くのだろうか?
僕なら、どんな時でも必ずユメ様の傍にいれるのに。
だって僕は、ユメ様から離れる事が不可能な存在。
ずっとユメ様と共に居られる唯一の存在。
それなのにちょっと心臓が動いてるだけで、
あいつらは僕のユメ様を奪おうっていうのか……
斬っちゃおうかな?
正直、火の番をする度にそんな事を考えていた。
僕は誰よりもユメ様の傍にいたい……
それがどんな形であろうと構わなかった。
「これでずっと、ユメ様の中で生きていけますね……」
だから僕は、貴方に一番近いココロという場所で。
いつまでも消えない傷として、ユメ様の中に生き続ける。
決して癒してくれるな、人間よ……
ねえユメ様。
僕の為に、一生泣いて?
そう願ったから。
僕はあの時、謝ったんだ。




