「ゼラ・ニィー」「フローレンス・ケイト」(5)
更新いたしました。
「大きめの魔獣見つからないな、以前の最下層では沢山いたのにな」
既に数時間、アキラはシャトルーズで世界樹の上空を旋回していた。
「よほど活動範囲の広い魔獣じゃないと地上までわざわざ出てこないんじゃないでしょうか?」
チャアが疑問を投げかける。
「迷宮内で一生を終えてるのかな?そんな事は無いと思うんだけど・・」
「確かにそうですよね・・。・・え!上、世界樹の樹頂より大型の魔獣が二体・・グリフォンだと思われます」
アキラ話素早く姿勢を変え世界樹の樹頂を見上げる。
「あ、最下層で見かけたよ、同じ固体かな?」
グリフォンはシャトルーズを遠巻きに旋回するがやがて降下していく。
「襲ってくる様子もないし、付いて来いって感じだよな」
「ついて行きますか?」
「もちろん」
グリフォンは地面との境の幹の捻じれた部分の隙間にわずかに見える空間に飛び込んでいく。
「あそこか!」
シャトルーズが潜り込むと意外と広い縦穴の空間が広がっていた。
「下って行きます」
チャアが慎重に速度を調整し後を追う。
「かなり降下したな」
「はい、しかし薄暗いですが下層よりに確かに明りがきてます」
シャトルーズはサバンナの様な広い空間に飛び出る。
「ここは・・」
「ええ、迷宮の最下層の空間です。更にこの下に私達のいた地底湖が広がっています」
グリフォンは更に地底湖の空間迄シャトルーズを案内すると、ひとたび旋回すると一鳴きして再び上方へと帰って行った。
「つがいのグリフォンだったよな、多分、子作りのために地上に出てたんじゃないかな」
「そうですね、世界樹の樹頂に巣を作っていたのかもしれませんね」
「ああ、多分わざわざここまで、もう一度戻ってくれたんだろうなシャトルーズの為に」
「ここの主がこの子だからでしょうね」
「シャトルーズってこの下層の階層守護者で間違いないみたいだよな」
「凄い子なんですよね・・」
目の前に広がる地底湖を見つめながら二人は感嘆深げに会話をする。
「・・再び戻ってきたんだな」
アキラは夕方に拠点に戻ると休息を終え見張りに立っていたニィーに、早速報告をする。
「そうか見つかったのか、しかも迷宮の最深部までの最短ルートとは」
「ああ、しかし決して魔獣を攻撃しないでくれ、シャトルーズの傍に居たら攻撃されることはないし、地底湖のある場所はセーフティーゾーンにもなるはずだ」
「大丈夫なのか?」
「言いにくいけど、シャトルーズそのものが、あそこでは階層守護者そのものなんですよ」
「・・、なんだそれは?」
「今日の晩飯の席で皆さんに詳しく説明しますよ、驚く話だとは思いますけど・・」
その夜は、アキラとチャアの最初に訪れた時の地下迷宮での話で盛り上がり続ける事となった。
次話もどうかよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




