「ゼラ・ニィー」「フローレンス・ケイト」(3)
更新いたしました。
「前方、世界樹確認できました」
キイーが「ゼラ・アナ」の操舵室で声を上げる。
「そちらも見えて来たな、高度をそのまま維持していてくれ、シャトルーズは再び高度を上げて少し先行する」
アキラがそう言うとチャアはシャトルーズを上昇させる。
「チャア、世界樹の左舷側、黒い大洋の方の魔獣の監視を頼む。今の所、高高度を飛んでいる魔獣はいないようだが・・、発見次第警戒態勢を取る」
「はい、そろそろ群れを成す小型の魔獣が見えてくるはずです。こちらに向かってくるようなら迎撃よろしくお願いします」
暗黒大陸「ベニン」の港街は「わ」の国の影響力が強いためその反対側に新たな拠点と地下迷宮への侵入口を捜すことがまず差し当たっての任務となる。
「他人に身を任せての移動は、思った以上に怖いものだな」
ニィーがコンテナ前方下部に付けられている小さな丸い小窓から外を眺めながらケイトに呟く。
「飛行ユニットを装備しない私達のゴーレムではある程度、地下迷宮に近づいてもらわないと如何しようも無いもの」
「迷宮には飛行ユニットを持ち込めないしな、ユニット無しで飛べるアキュラが羨ましいよ」
「皆はゴーレム以外で飛行する乗り物に乗るのは初めてなのによく耐えてるとは思うけど、すぐ慣れるわよ」
軍の輸送ヘリで運ばれ慣れていたケイトは只一人ベルト付きの座席でくつろいでいた。
途中何度か小型の魔獣の群れを追い払うと、なるべく広い岩場の丘になっている場所を探す。
「距離的にも、このあたりだろうな」
「そうですね、これ以上世界樹には接近しない方が良いでしょう」
チャアも同意する。
「少しおうとつが有るがあの広場に着陸できますか?」
チャアが「ゼラ・アナ」に同化しているフェアリースライムの「ドーア」にたずねる。
「可能だと思います。キス、着陸態勢に入ります」
「了解」
キスが答えながら垂直降下用の補助脚を出す。
アキラが上空で見守るなか「ゼラ・アナ」は危なげもなく静かに着陸した。
コンテナが積降ろされ中から皆が降りてくると予定通りケイトがまず青いゴーレム「ブルーズ」を呼び出す。
「ビー。行くわよ」
フェアリースライムの「ビー」と共に「ブルーズ」に乗り込む。
「アキュラ、準備は出来たわ」
「ケイトさん、コンテナ警備よろしくお願いします。キイー、キス、「ゼラ・アナ」発進してくれ」
「了解」
二人が答える。
船本体が上昇すると、ニィー達はコンテナの設営作業に入る。
「ゼラ・アナ」が加速し巡航速度に入るとドーアが警護に付いてきたシャトルーズに声をかける。
「ここまでで、大丈夫です。皆さんの無事の帰還と任務達成をお祈りしております」
「ありがとう」
チャアが答えると「ゼラ・アナ」は見る間に北の空へと向かっていった。
「さあ、これからが本番だな」
アキラはチャアに同意を求めるとシャトルーズは皆の待つ、仮設の拠点へと再び飛びたっていく・・。
次話もどうかよろしくお願いします。
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